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クワイエット•クイッティングの背後にあるもの

クワイエット•クイッティング、聞き慣れない言葉ですが、日本語では「静かな退職」と呼ばれ、成果を追求せず、退職しないものの契約で求められている最低限のことだけを淡々とこなすような働き方をいいます。

アメリカのZ世代に広がっている働き方らしいのですが、日本の働かないおじさんを想起された方も多いのではないでしょうか。

会社で新聞読んで、だらだら過ごしているようにしか見えないおじさん、主要なプロジェクトには関与しておらず、何をしているかわからないおじさん。一昔前だと窓際族と呼ばれいたりしました。

このようにかつては、優秀だったはずの人達が全く覇気のない人になってしまっている状態を目撃したことがある人は少なくないでしょう。

ラダー型のキャリアでは、あるところまでいくと実力に応じてキャリアが停滞します。つまり出世ができなくなったところで多くの時間を使うようになりがちです。そして仕事の結果がみえるコンフォートゾーンの仕事を続けた結果、学びや成長するよろこびがなくなっていくのです。出世するというキャリア感しかないので、キャリアが止まってしまうのです。

すでに待遇もそれなりにいいので、自分のためではなく家族のためと言いきかせて同じような仕事を繰り返します。成長しようにもどこにいくのかと考えるのが、働かなくなった人たちです。
こういった人達が、若い時から不真面目だったかというと、むしろ反対で従順にまじめに言われたことをやってきた人達が多いのです。
言われた通りにしかしてこなかったので、働かない人になってしまったようにすら思えます。

そういえば昔の職場に一日中新聞を読んでいる部下なしマネージャーの人がいました。

話を戻しますが、前述のクワイエット•クイッティングを選択する若い人達の場合、少し状況は違っていて、熱狂して死ぬ気で仕事することは長く続かないし、やりがい搾取になっているケースもあります。私が若い時、「死ぬ気でやれよ、死なないから」とおっしゃっていた方は激務がたたり40代で亡くなりました。経営人材の高度化も進んでおり、外部から幹部候補を招き入れることが普通になってきているので、昇進も約束されていません。
中国企業のように経営人材になれない人は35歳で辞めてもらう、みたいな会社もでてくるかもしれません。そんな状況なので、昇進をキャリアの成功とする価値観が他の価値観に変わったのではないかと思います。悩みは理想に現実が追いつかないことから生じますが、現実を無理に頑張るのではなく理想をコントロールしはじめたのです。
なので旧態依然の情熱を持って仕事に熱中していることが、より高い理想を実現していると考えている人からしたら「働きながら、辞めてる人」というリビングデッドのような呼び名をつけられたのではないでしょうか。

そう考えると彼ら、彼女らは選択的に他のことに優先順位を持っている可能性があります。

ここが働かないおじさんとの違いで、おじさん達は、現実で行き詰まっているので、そこで留まっているのに対して、若い人達は理想をコントロールしているのです。

仕事、とくに昇進に優先順位をおかなくなった様子が静かな離職と捉えられているのでしょう。


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