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二人の母に電話をする

母の日は花を贈りたい。

私は子どものころから、母の日は花を贈るのが好きだ。

母が花好きというのもあるし、私自身が花が好きなこともある。

夫の母も花が大好きで何かしらの花を育てている。

それに、生きていて花をプレゼントされる機会ってそんなに多くないと思う。

人によるかもしれないが、少なくとも私はもらう機会がそんなに多くない。だから、受け取って喜ぶ姿が嬉しいし、私自身も花をプレゼントされると、とても嬉しい。

しかし、夫は花を贈る気持ちなんてちっともないし、花を贈るくらいなら実用的なものや、食べ物を贈ることが良いことだと思っている。

夫は自分自身が食べることが大好きなので、夫にとっては美味しいものを贈って食べてもらうことが自分の幸せなのだ。


こういった二人の意見が合わない時は、たいてい私が遠慮して夫が勝つ。


昔、花屋で働いていたこともあり、今回は特に世の中の情勢上、私は花に関わる人たちの少しでも役に立ちたいと考え花を贈りたかった。


しかし、一緒にネットで母の日を検索しても、お互いが納得するものが見つからない。私が今回は花を贈りたいと強く伝えたので夫が私に合わせてくれて花を調べるも、夫自身が「これ!」と思うもの、贈りたいと気持ちが向くものが見つけられなかったのだ。


私は、そんな時、自分の内側の部分(夫の内側の部分)が「違うよー、そうじゃないよー」と、何かしらのサインを送っているように感じる。こんな時は無理に進めない方がいいんだろうな。そう思って、

「だったら本人たちに聞いた方がいいんじゃない?」と切り出した。


母たちもある程度年齢を過ぎているので、私たちがいいと思ったプレゼントが実は合わなかった、いうことにもなりうる。しばらく会っていない母たちのこともよく分からない。この機会に欲しいものを聞いた方が良いでは?という事になり、久々に電話をした。


北と南、離れて暮らしているので、会う機会はほとんどない。

仲は悪くないが、しょっちゅう連絡を取ることもしていない。

母二人とも朝早く起き、就寝も早い。


特に私の母は、現在も働いており朝早い仕事。夜も次の日に備えて早く寝る。生活スタイルが合わないため、お互い迷惑をかけないように連絡は遠慮がちである。

「連絡がないってことは元気なんだろう。」

私の家族はそういった昔ながらの考えをもっていたりする。

虫の知らせじゃないが、ちょっと気になった時に連絡をする。そして、そんな時はたいていピンチの時だったり、落ち込んでいたり。はたまた、風邪をひいて直りかけ、そんな時だったりする。そしてお互いの話をしているうちに元気になって「じゃあね」と電話を切るのだ。


夕方、二人の母に電話を入れると二人とも無事につながった。

スピーカーにして夫と私、二人の声が聞こえるようにした。

自粛の事もあって、元気でやっているのか?仕事はどうしているのか?母と近くに住む兄弟家族の近況など、何気ない会話を交わし

二人の母は、

「あんたたち夫婦二人が元気なら、それだけで十分。電話で声が聞けただけで幸せ。ありがとう。」などというのだ。

その言葉だけでも、私たち二人はとても幸せな気持ちになり、やはりせっかくなので何か贈りたいから欲しいものや食べたいものはないのか?聞きだした。いろいろ掘り下げて聞いたものの、二人とも特に欲しいものが無いと言うので、最近食べられなくなったものやアレルギーなどを聞いて、夫が贈りたがっていた果物を贈ることにし、電話を切った。


自分に余裕がないときは、自分の意見を押し通したり、人任せに物事を押し付けてしまいがち。今回、何日もかけてお互いのしっくりくるプレゼントが見つからなかったのは、

「そろそろ二人に電話をしなさい」

と神様が私たちのお尻を叩いてくれたのかもしれない。

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