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M&A相談のポイント(買手様)

こんにちは。スモールM&Aアドバイザーの北林です。今回は、買手としてM&Aを考えている企業・個人様向けの、アドバイザー等とのM&A相談時のポイントを書きたいと思います。

ポイント1:相談料、相談数
 売手様の相談時と同様に、専業で行っているアドバイザー会社は無料が一般的、弁護士・会計士・税理士等の士業をメインとしている方々はタイムチャージ方式等で有料のケースが多いです。

 なお売手の相談と大きな違いは「圧倒的に買手相談の件数が多い」ことです。アドバイザー会社の多くは、問合せの7割8割以上は買手からの相談だと思います。売手と違い、買手側のM&Aの目的は事業拡大、新規事業・新規エリアの進出など、経営戦略のひとつなので、それほどM&Aを検討していることを知られても大きな問題になりません。
 そのようなこともあり、多くの買手様は多数のアドバイザー会社に売却案件紹介・相談をお願いしているのが一般的かと思います。

ポイント2:場所
 場所については、売手ほど慎重にならなくても良いと思います。ポイント1にあるように、買手側のM&Aの目的は事業拡大、新規事業・新規エリアの進出など、経営戦略のひとつなので、それほどM&Aを検討していることを知られても大きな問題になりません。最近は、中小企業でも大々的にWEB、マッチングサイト等で、買手としてM&Aをアピールしてる会社が多数みられます。とはいえ、M&Aは秘密保持が基本ですので、買手といえども周囲に最新の注意は払った対応をしましょう。

ポイント3:持ち物
 初回は、法人は会社案内(HP印刷)、個人であれば経歴書ぐらいで良いと思います。売手のように、決算書(直近3期分)などの財務資料を要望されるケースは少ないですが、ここ数年の「売上高、経常利益、従業員数」などの損益計算書情報は、頭にしっかり入れておきましょう。
 また、HP・会社案内がない会社様もまだまだ多く感じます。いざ、売手様に買手候補としての紹介をするとき、HP・会社案内がない会社だと、売手様が不安に思われる傾向にあり、紹介NGにもなります。
 アドバイザーとしても、会社の事業内容や規模等が、わからない買手様から相談されても、売却案件を紹介するのは難しい傾向にあります。これからM&Aを買手として考えている会社様でHP、会社案内がない会社様は、早速準備することをおススメいたします。
なお上場会社は、必要な情報が全て開示されているので、特に問題ございません。

ポイント4:相談内容
まずは以下の点について、買手様で事前にお考えを整理しておくとスムーズに進められると思います。

A)買収目的
B)買収事業、規模、エリア
C)買収予算

A)では、事業規模拡大、事業エリア進出、新規事業獲得、外注部分の内製化などが多いかと思います。とにかくM&Aを通して何を達成したいかまでを、落とし込んでみることをおススメします。

B)では、特に注意が必要です。言い方が難しいですが「広すぎず、狭すぎず」がベストです。できれば、事前に該当する会社がどれだけの数あるか、ざっくりでも良いので調べておくと良いと思います。

あまり良くないケース①としては・・
「いい案件あったら、なんでもいいので紹介してください。資金は豊富にあります。」
 このような買手様は、紹介しても全く進展しないのが、経験則としてあります。「いい案件」の定義も、買手様自身も曖昧の場合が多く、やはりA)買収目的がはっきりと定まっていないので、いざ案件を検討する段階で何がベストなのかわからず、とりあえずやめておこう。。といった感じになっているのではないかと思います。
 また、このような方々の中には稀に、M&Aの情報だけを取得するのが目的ではないか?という方々も残念ながらおられます。

あまり良くないケース②としては・・
「Aという事業を、B・C市内で行っており、従業員は**人以内で、売上高は*億円以上で、経常利益率は**%以上、資産超過で銀行借入はない会社があったらお願いします。」
 残念ながら、そもそもそのような会社がない。。という結論になるケースが多いです。上記の場合であれば、B・C市内にそもそもA事業をしている会社が0社。。のようなパターンが多いです。あまり条件を細かく設定するのは、しっかりM&Aを考えているという好印象を与えますが、ほとんどのケースでは条件に合致する会社がない、僅かしかないという結果になるケースが多いです。

C)も非常に大きいポイントです。概算でも良いので、予算はしっかり事前に決めておきましょう。その際に、手元現金でいくら、銀行からの借入でいくら、など資金調達の内訳も検討しておければベストです。
 なお、まだまだ、個人や中小企における、M&A資金融資は審査が厳しいケースが多いと感じております。それでも5,6年前の状況に比べたら、国行政、金融機関等も事業承継へ力を入れてきていることもあり、M&A資金融資の環境は改善傾向にあります。

そして、以下についても相談時にアドバイザーに確認しましょう。
D)買収の大まかな進め方(流れ)
E)アドバイザーの関与範囲
F)アドバイザー報酬(費用)

D)は、売却相談と同様に、聞いたことがないようなM&A専門用語が出てくるかと思いますので、意味をしっかりアドバイザーに確認しましょう。

E)では、Dで聞いたM&Aの進め方(流れ)において、どこまでアドバイザーが関与するのか確認しましょう。まれにマッチングのみ(売手をご紹介)までしか対応しないアドバイザー会社もあるので、注意しましょう。
また、仲介形式の有無も確認しておきましょう。

F)では、こちらも売手相談のときと同様に、「着手金、中間金、成功報酬」の有無、支払時期、特に計算式は十分確認しましょう。
例えば、成功報酬=基準金額×5%という場合、「基準金額」には何が含まれるのかしっかり確認することが重要です。
同じ5%でも、基準金額で大きく費用が異なります。譲渡代金(株式額or事業譲渡額、役員退職金、役員借入金などの合計)が基準の場合が多いですが、簿価総資産(時価総資産)を基準にするケースもありますので、しっかり確認してください。

相談終了後、まずは今後の案件紹介をスムーズに進めるために、まずは秘密保持契約書の締結を行いましょう。

同時にM&Aアドバイザリー契約(ファイナンシャルアドバイザリー契約)の締結をお願いされる場合がありますが、こちらは急いで締結しなくても、良いかと思います。弊社では、2次情報(案件概要書、IM)の検討御後に、1回目のTOP面談を実施するまでに、アドバイザリー契約を買手様にはお願いしております。

以上、買手様向けのM&A相談時のポイントでした。
少しでもご参考にして頂ければと幸いです。

ミツキタアドバイザリー株式会社
代表取締役 北林光明
https://www.mitsukita.com

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