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時代とともに活字も変わる、けど・・・スバラシイ星新一☆

 NHKドラマ「星新一の不思議な不思議な短編ドラマ」を観て、久しぶりに星新一を「読み直したい」と思って、自宅の本棚をあさってみた。
「あった」
 今回のドラマでは取り上げられていなかったけれど、私の中では名作本、昭和59年(初版昭和47年)「ちぐはぐな部品」角川文庫の第43版。
 読み返してみると…
 いや、読み返してみようとしたが…
 古い。
 いや、内容ではない。
 活字が、古い。
 専門家ではないので、昔がどんな字体で今がどんな字体なのか、詳しいことはわからない。
 ただ、この活字は「今ではない」というのだけはわかる。
 活字が古いだけで、こんなに内容って頭に入ってこないものなんだ…私は愕然とした。

 これじゃあ…どんなにお気に入りの本を大切に持ち続けても、そのうち、その活字が古びてしまったら以前と同じようには読めない、ということか…

 そうすると…
 電子図書は、その点、いいのかもしれない。
 活字を自由に選んで設定できる電子図書なら、その時代時代に合った、違和感のない活字にすることで、内容がスムーズに頭に入ってくるのに違いない。
 そういう点では、電子図書は画期的だ。星新一の「ちぐはぐな部品」も、kindle版も出ていた。
 ただ…
 私は、装丁も好きだ。
 内容だけではなく、装丁も含めて、その本の世界だと思う。家が、中身だけではなく外観もその家の味(一部)になっているように。
そして、古い活字も、読んでいるうちに少しずつ慣れてくるものだなぁ…とも思った。星新一だからこそ、かもしれない。

 思えば、星新一は、読書嫌いの子どもにすすめるといい本ベスト1だった。
 まず、一話一話が短い。それだけで、本を読むことが苦手な子どもにとってハードルが下がる。「とりあえず、少し読んでみるか」と本を開くことにつながる。
 次に、起承転結がわかりやすい。中には「え?」というものもあるが、たいていオチがハッキリしていてわかりやすい。一話読み終わった時にスッキリとしたカタルシスが得られやすい。
 そして第三に、SFという設定が、古びにくく、想像力に負荷をかけない。「年齢不詳」の人がいるように、星新一の作品は「時代不詳」。おとぎ話のようだ。ブラックだけど。特定の時代を設定している話は、その時代を想像しなくてはいけない。現代の話でも、自分が知らない世界の話であれば、その説明を読んで想像しなくてはいけない。星新一の「ぼんやりとした未来」という時代不詳の設定は、ぼんやりとした想像でも楽しめる。想像しなれていない、読書慣れしていない子どもでも楽しみやすい。
 古びた活字でもそうなのだから、今の活字で読めば、なおさら楽しめるのではないかと思った。
 が…
 新装版(2006年)の表紙を見たら…
 あまりにポップで、「やっぱり、昔の表紙が好きだなぁ」と思ってしまった。
 まぁ、何はともあれ…
 星新一は、スバラシイ☆