書籍の"文庫化"について少し考えた

 たぶん気のせいではないと思うのだが、単行本が文庫化されるまでの期間がどんどん短くなっているようだ。
 文庫に入るのは一般的には3年と言われていたように思う。実際、確認すると3年から4年あたりが多いようだ。
 それが昨今、え? もう文庫が出たの? と感じることが増えてきていて、場合によっては1年足らずで文庫になっているケースもある。

 一消費者としては、これって「買い控え」が起こらないのかなあ、と単純に思ってしまうのですが、どうなんでしょう? 単行本に対する買い控え、ですよ。
 すぐに安い文庫が出るんだから今買わなくてもいいや。
 とか。
 正直、ぼく自身、「感覚的には単行本をこの前買ったばかりなのにもう文庫が出たの? なんか損しちゃったなあ。今度から買うの少し待ったほうがいいかなあ」なんてそんな気にも少しなりはじめているのだけど。

 あと、文庫の方が加筆があったり、短篇集なら収録作品が多かったりすることもよくあって。
 それがさらに「損しちゃったなあ」と感じさせることになる。
 だって、安くて"多い"のだもの。こっちのほうがお得に決まっている。

 先に買ったほうが損をするシステム。
 という感じになってくると……消費者がそんな感覚を感じるようになってくるとよくないと思うんですよね。売り上げ的には。
 もちろん、先に買えば「早く手にできる」「早く読める」ということはあるにせよ。
「早く手にできる」といっても文庫化の期間はどんどん早まりはじめているからそれもあまり意味がなくなってきてしまうしね。

 とかなんとか。考えていて。
 いや、そもそも「先に単行本を出して、あとに文庫を出す」というのがアレなんじゃないかと。
 これ、実は逆なんじゃないの?

 まず文庫を出します。
 その後、加筆なりして単行本を出します。
 単行本の方が高いけど、加筆はあったり収録作品が増えていたりで値段に見合ったお得感があります。
 そして単行本の方が高いので、文庫を先に買っていてもそれほど「先に買って損した」気分にならないはず。
 作りもしっかりしているし、保管用の愛蔵版としても打ってつけ(先に単行本が出るパターンだと内容が文庫に劣るのでそうはいかない)。
 文庫を読んだうえでなお単行本が欲しいと思った人が買えばいい。
 理にかなっている気がするんだがなあ。

 なにより、現在のパターンだと単行本が文庫より内容が劣るというのが気に入らなくて、単行本はえらそうな体裁をしているし値段もお高いんだから、文庫より内容が勝るものであってほしいんですよね。

 どう思いますか?

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