腎臓をナメてた話(前編)


こんばんは。

19時前でも空が明るくて、夏の訪れを感じています。


この時期になると腰が疼く。厨二病的な意味ではなく。


今回は腎臓をナメてた話。(前編)


19歳の夏。

その日は日曜日で、

「アーア、明日からまた仕事か…」と一日中うだうだごろごろしていた。

働きたくない〜〜〜〜非課税で5億欲しい〜〜と宝くじを買ったこともないのにぶつくさぶつくさ文句を垂れていました。

お弁当の準備しなきゃ…と重い腰を上げて翌日の仕事に備えていた。

21時ごろ、腰周りに鈍痛。

生理痛に似ていたため、生理か…?と思ったものの
出血はなく。
生理は時間差でくることもあるのでもう生理か〜やだなぁ…と、
日曜日+生理のWコンボで鬱々とした気分になっていた。



22時ごろ。
尋常ではないほどの寒さを感じる。

え、さむ…!?
エアコン15℃くらいにしてない!?とクーラー温度を確認するも25℃設定。
寒気が止まらない。気温マイナス2℃の場所に薄着で星空を眺めていた時でも、こんなに震えなかった。

勝手に震えだす身体を温めるため冬用のニットカーディガンを引っ張り出す。

ガチガチと歯が鳴る。
Tシャツ半パンで真冬の雪国に放り込まれたような、
冷凍庫へ入って30分経ったような、
芯から冷える感覚。

カカカカカカッ、カカカカカカカッ…
歯が鳴り止まない。
身体もガクガク震え出して止まらなくなる。


これはやばい。


慌てて体温計を取り出す。

38.5℃。


ダメだダメだ、寝る!!!!
仕事休まなくちゃいけなくなる!!!!


当時は社畜脳だったこと、
そして上司から
「うちの職場の人は冠婚葬祭以外で休んだことない。みんな元気」
という嘘を教えられていたことで

「体調不良で休んではいけない」

と思い込んでいた。

今なら趣味の悪い嘘だな、と思えるが当時はいたって真面目に信じていた。

家族に、発熱したことを伝え、早々に就寝準備をした。
その際も震えは止まらず、
「え、大丈夫?」
の声も聞こえずふらふらと布団に篭もる。


23時。

全身に激痛が走り出す。

まず呼吸ができない。
大きく息を吸うと恥骨付近に電流が走る。
寝返りをうつと腰・下腹部にダンベルが落ちる。
足を動かすと下半身をまんべんなく鈍器で殴られる。


1ミリでも体を動かそうものなら容赦のない痛みが身体中を襲った。


なにこれ、絶対生理じゃない。

おかしい。おかしい。

燃え上がるような腰の痛み、全身に広がる鈍痛に歩くこともままならなくなった。
とりあえず、もう一回体温測ろう…。


39℃

一時間も経ってないのに、急激に上がっていく体温に暑さと寒さが交互に押し寄せ、呼吸するたびに全身が軋む。


寝なくちゃ、寝なくちゃ。

そう思うものの呼吸がままならない。
痛みでうまく動けない。


痛みで涙が止まらなくなるが、泣くと痛みが増す。痛みで泣く。また痛むというクソみたいなループに陥った。


ひんひんと全身の痛みに耐えながら眠っても、無意識に寝返りをうった時の激痛で目を覚ます。

深夜一時。

さっき熱を測った時とは比べ物にならないほど視界が霞んで、頭がぐわんぐわんと揺れる。汗で服がびっしょり濡れており、寒いのか暑いのかわからなくなっていた。
身体が鉛のようだ、とはよく言ったもので重い。一歩が進まない。


もう一度熱を測る。

41.5℃


あれ、人の体温って40℃超えてよかったんだっけ…。


頭が一回転もしてないだろう状態で、真っ先に思い浮かんだのは


「救急車を呼ぶべきか」


いや、でもこんなことで呼んで何もなかったら申し訳なさすぎる。


40℃…。私の脳みそはゆで卵になってしまうのだろうか?

「救急車 呼んでいい」
「救急車 症状」
「救急車 迷惑」

検索履歴が救急車で埋め尽くされていき、家族を起こさないようこっそり調べ続ける。


そこで救急車を呼んでいいか判断してくれる#9119という電話番号があることを知った。

迷わずかけた。


都市圏でしか使えないサービスで、繋がることはなかった。
(今は変わっているかもしれない)


そんなこんなで、やたらと救急車に詳しくなっただけで症状は一向に良くならなかった。

満を持して母親を起こす。


「ごめん、ダメかもしれない。救急車呼ぶかも」


寝ぼけていた母はむくりと起き上がり、

「ちょっと待ってね」

と舌ったらずな様子でガサゴソと棚を漁り始めた。

よかった、対応してくれそうだ。胸を撫で下ろした。


「とりあえず測るね〜」


と血圧計を取り出し、私の腕に巻き出した。


どんだけ思考が巡らなくても、こう思った。

今じゃないやろ。



後編に続きます


黒紅




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