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30カ国以上の人と話してわかった、国による英語力の傾向【シェフィールド留学記(15)】

ちょっとした論文の題名のようになってしまった。
現在留学中の私は、同じように交換留学に来ている留学生と絡む機会が圧倒的に多い。特にヨーロッパ圏内の留学生は皆"Erasmus"というプログラムを使って留学に来ており、EU圏外の私のような学生も含め、交換留学生のことを総称してPeople from Erasmusと呼ぶこともしばしば。ヨーロッパに留学に行く人はこの言葉は知っておいて損はないだろう。
さて、こうした所謂Erasmusの人と一旦知り合うと、芋づる式に友達の友達に会い、人脈が爆発的に広がる。題名にもある通り、私も文字通り本当に30カ国以上の人と話した。そこで気がついた、彼らの英語力の差、そしてアクセント。ネイティブよりも非ネイティブの方が多いとされる英語において、この多様性は非常に面白いと感じたので、簡単な記事にしてみようと思う。今回は、国による英語力の差、その国の人たちの簡単な特徴について書く。

なお、同じ国でも個人差があることは重々承知しております。
私の独断と偏見です!

まず早速だが、このサイトに載っていたEF English Proficiency Indexのランキングを見ていただきたい。

https://www.ef.co.uk/epi/

TOP3はオランダ、オーストリア、デンマーク。日本は78位。あくまで一つのデータリソースであり参考にしか過ぎないが、かなりかなり的を射ていると私個人的には感じた。
このランキングの全ての国の人を知っているわけではないので、特に知り合いの母数が多い、あるいは知っている情報が多い国のみを取り上げて見ていこうと思う。

まずは3位のデンマーク。デンマーク人には10人ほど会ったが、冗談抜きで全員本当にペラペラ。まず、私と同世代の若い人たちは、ほぼ全員スラスラと話せる。私の仲の良いフラットメイトがデンマーク人で、一度彼を訪ねにシェフィールドに来たご家族にお会いしたのだが、ご両親も英語が堪能だった。デンマークの教育の質が非常に高い(しかも無料)のはもちろんのこと、背景としては、小さい国なので、海外のドラマや映画、本などがデンマーク語に翻訳されないことが多々あるため、幼い頃から英語に触れる機会が多かったことなどが挙げられる。大学の授業も約半分は英語を使うらしい。勉学に対する姿勢も実に真面目で、かといって所謂ガリ勉くんではなく、お酒もたくさん飲むしジョークを言い合ったりアホなこともたくさんしたりするし、非常にバランスの取れた、おおらかな国だとデンマーク人に会うたびに思う。教育の観点において彼らから学ぶべき点は非常に多いのではないかと思う。

4位はシンガポール。これに関してはやや不可解。というのも、シンガポールは公用語の一つとして英語を話す、つまりネイティブだからである。シンガポールには住んだことがあるのでまあまあ知っているが、公用語は英語、中国語、マレー語、タミル語の4つ。国民のマジョリティが中華系であることから、多くの人は英語と中国語のバイリンガルだが、マレー系の人は中国語の代わりにマレー語だったりする。どちらにせよ、英語に加えもう一つ自分の民族の言語を話すことができる、「ほぼ全員バイリンガル国」である。いや、無敵じゃん。
面白いのが、彼らはSinglishと呼ばれる独特の英語を話すこと。面倒くさがりな国民性(ちゃんと本人たちの口から聞きました…!)から、単語を短くしたり、話すときも単語を連ねるだけで文法が崩壊してたり、中華系のアクセントが入ってたり、といったのが大きな特徴かな。それに加えとても早口なので、現地人同士の会話はいまだに聞き取れない。

8位、スウェーデン。彼らも今まで会った人たち全員ペラペラ。癖のあるアクセントも感じられない。しかも、みんなとても社交的で、とても良い人たち。アウトドア大好き。いつもどこかの国立公園でハイキングをしているイメージ。

11位、ドイツ。ドイツ人もまたペラペラ。また、話していて知性を感じる。お酒も強く、もちろんビールが大好きで、しかしどれだけ酔っていても周りに気を配れる。缶ビールを開ける際に、飲み口を指でトントンとすることで、開けた時に泡が吹き出るのを防ぐというテクニックを彼らから教わった。
英語に関しては、人によってはドイツのアクセントを持つ人もいる。

以上までがVery High Proficiencyにあたる国。次はHigh Proficiency。
31位、フランス。フランス人の話す英語は、本当に癖が強い。なんて説明したら良いかわからないので、気になる人はこの動画を見てみて欲しい。私のフランス人の友人全員この動画の人たちと全く同じ話し方!

しかし、アクセントがあるから英語力が低いというわけでは決してない。この動画に出ている人たちはお世辞にも流暢とは言えないが、私の周りの人たちは、かなり上手な英語を話す。
少し脇道に逸れるが、フランス(特にパリ)は、自他ともに認める”良い国”なのかなと感じる。フランス語、フランス料理、ワイン、海、優雅な建築、美術、美男美女…といったフランスのイメージ、これらは世界中の人たちの憧れの的であり、彼ら自身もそれを自覚し、誇りに思っているといった印象。日本だったら、ナルシシストと捉えられるような言動がたくさん見られる。また、思ったことはキッパリ言う、女(男)遊びが激しい、パーティーが大好き、予定は当日に立てることが平常運転(らしい)など、簡単にいうと、日本人とはあまりにかけ離れた文化を持つ人たちなので、中には合わない人もいるかも…?しかし、そういった独自の文化も丸めて"French"として容認されてしまうような国としての強さ、愛嬌がある。

続いてModerate Proficiencyは、37, 47位にそれぞれ韓国、中国。
韓国人のアクセントは、どこか日本人のアクセントに似ているような気がする。確かに、他の言語を学ぼうとしたとき、友人の後に続いて言うだけでも全く発音できない単語がある中、韓国語でそれを経験したことはない。韓国語は全く知らないのだが、文法におけるSVなどの配置関係も日本語と同じという話は耳にしたことがある。
一方中国人のアクセントはかなり癖が強いように感じる。独特の発音体系を持つからか、ある特有の音(何かは忘れた)を発音できない人もいる。人口も非常に多く、ここシェフィールドにもたっくさんの中国人がいて、特にこの国の場合は個人差が激しいのではないかと思う。ただやはり人数が多いと同じ国の人同士で固まってしまうという現象がどうしても起こってしまうため、少なくともシェフィールドにいる多くの中国人は、英語を使う機会をあまり多く持てず、英語力の向上にやや苦労していることは否めないだろう。英国にいるのに、たとえ知らない人でも見た目が中国人っぽかったら『謝謝』と言う人がたくさんいることが正直未だに信じられない。

そしてLow Proficiencyの中の78位にようやく日本。こちらではもちろん留学に来ている日本人としか接点がないのであまり合点がいかなかったが、日本人全体を考えると正直妥当な順位なのかと考えざるを得ない。最近知った海外と日本の外国語教育の違いとして、その言語を教える際に使われる言語がある。海外では基本的に英語は英語によって教えられるが、私の日本での教育を振り返ると、英語で英語を教わった機会の方が少ない。
正直下の動画がどれだけ日本人の実際の英語力を代表しているのかは疑問だが、スピーキングとリスニング力に関しては全体としてかなり低いと言わざるを得ない。それもそのはず、日本で生活をしていて英語を使う機会などまずない。
東アジアの、海に囲まれた島国という環境は、移民の数にも大きく影響している。日本の総人口に対する移民の割合は、2.19%であり、英国(13.79%)、フランス(13.06%)などと比べるとかなり低い。例えば肌の色が違う人を見ると”外国人”だと思ったりする人が少なからずいるかもしれない(私はそうでした)が、ルーツは違えど同じ国の国民であるといった経験が日本ではまずほとんど起こり得ない。こうした「自分と違う民族との共生経験」の欠如と、英語習得へのモチベーションは決して無関係ではないと言えるのではないか。まあ、鎖国を行ってたり、そもそも地理的に孤立した国だったからこそ、独自でとても面白い文化が発達したという事実もあるが、それはまた別の話(これに関しては、留学に来て、やっぱり日本の文化は固有で美しい!と誇りを持てたことの一つ)。

移民データ参照先
https://worldpopulationreview.com/country-rankings/immigration-by-country

Very Low Proficiencyに関しては、該当する友人が見当たらないのと、単純に疲れたので触れない。

長々と続いてしまった文章をここまで読んでくださりありがとうございました。改めて色々な国の人と話すのは本当に刺激的で楽しい。今回もそれぞれの特徴を思い出しながら楽しく書くことができた。
アクセントの話は、英国国内だけでも非常に興味深いものがあるので、余力があれば今度また掘り下げてみたい。

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