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記憶が薄れてしまう前に

文を書くのはあまり得意ではないですし、お恥ずかしい話しなうえに大した話しではないかもしれませんが自分の体験を綴ってここに残してみようかと思います。誤字脱字はご容赦下さい。

数年程前の夏のことです。その日は台風の翌日、波は肩から頭くらいのサイズで正直「大したサイズじゃないから問題ない」と思い波乗りをする為海に入りました。ただいつもと違うのは波のサイズより前の日の台風によって土砂が混じっているせいか重たい気がしました。しかし特に危険だとは思っていなかったです。現に他にも人がいましたし、波打ち際では海水浴をする家族などもいました。

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1時間程海に入っていたとき今日一番のサイズの波が来ました。その時自分がいたポジションは微妙に手前をとっていましたが乗っても乗れなくてもこの一本で一度海から上がろうと思いパドルを始めました。そして迫り上がる波の頂点に達したとき一瞬、天と地が逆さになったような感覚に襲われ次の瞬間顔に衝撃が走ったのです。

問題はここからでした。意識はあるのですが体が一切動かないのです。一切というのは手や足だけではなく目を閉じることすらできません。尚且つ海に対してうつ伏せになっているので呼吸することもできず、ただ海に浮かんで海底を見つめることしか出来ませんでした。その時の自分は「これが脳震盪ってやつなのかな?」と軽く考えていました。

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この段階でこんなことを言うのもあれですが、人間死にかけると走馬灯がどうとか言いますが自分はそんなことは全くありませんでした。まず今の状態の確認を始め、どこか動くとこはないかと指の一本から動かそうと試みましたが、やはりなにひとつ動きません。そうなるとやれることは息を止めて体が動くようになるのを待つか、誰かに助けてもらうかしかないのです。

実際は数分だと思いますが、だいぶ長い時間が経ったような気がしました。苦しさがジワジワと来て「そろそろ息を止めているのも限界だから諦めよう」そう思い、意を決して自ら水を飲むことを考えました。「死ぬのって意外と呆気ないもんだなー」なんて思っていたその時、誰かの手らしきものが自分の視界に入りました。まだ可能性があると思い気合いを入れ、息を止め直し水の外に出ることを待つことに。

一人二人三人と自分の体を引っ張ってくれる人の気配を感じていました。意識がないと思われていたのか一向に顔が水の外に出ず、どんどんと岸に引っ張って行かれました。もう我慢出来ず海水を飲み始めた矢先、丁度膝が海底に当たるほど波打ち際に来たとき指先が動くことに気が付いたのです。その瞬間、顔が水の外に出ました。激しく咳き込み海水を吐き出したあと、第一声「ありがとうございます!離して下さい!」と言いました。引きずられることが痛かったのです。しかし皆さんパニックになっていたのか返事もなく一心不乱に引きずっていきます。何度言っても聞き入れてもらえないまま陸まで上げてもらいました。

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そして立ち上がろうと思いうつ伏せの状態から膝つき腕立て伏せのようにして体を起こそうとしましたが、思うように力が入らず思わず「あ"ー!」と叫び、拳を砂浜に叩きつけたのです。すると何故か体が動くようになり立ち上がれるようになりましたが、まだフラフラしていて真っ直ぐ立っていられない状態でした。ここで父親の存在に気付きました。最初に自分が見た救いの手は父親の手でした。割と実家が海から近く、見に来ていた60歳を過ぎた父親が助けてくれたのです。きっと父親でなければ自分を注視することもないので異変に気付いてもらえることもなかったと思います。そして助けて頂いた皆さんにお礼を言っていると、そこに警察官が二人来て「大丈夫ですか?!救急車呼びますよ?」と言われ「大丈夫です。きっと脳震盪です。」と答え「一応病院に行ったほうが...」と言われましたが、自分は病院に行くにしても救急車じゃなく自力で行けるし、その前にとりあえず実家でシャワーを浴びたいと呑気に考えていました。そして警察官の方に名前やら住所などを聞かれそれにも答えた後、父親と二人で荷物を置いていた場所に行きタバコに火を付けました。

一口二口とタバコを吸っていくうちに腕の動きが鈍くなると同時に、ピリピリとした痛みが出てきたのです。きっとさっき叫んだ為アドレナリンが出ていたこととそれなりに動揺していたのでしょう、本来の体の症状が少しずつ出てきたのです。

                  続く


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