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50歳、アウトドアはじめまして③いよいよラフティング

お昼には、マクロビのカレーをいただいて、バスはいよいよラフティングに向かってレッツゴー。
到着すると、ウェットスーツが干してあって、なんだかいよいよって感じだなーと。

初めてのウェットスーツ、ゴムの感触 体をいれると、なんだかもこもこしていて、上からつられているみたいな感覚。ジャンパーを着るとさらにもこもこする。ライフジャケットを渡されて、さらにポンポコリンになる。
マリンシューズを履いて、パドルを渡されて、小さいバスに乗り込む。
パドルをみんなで持っていると、なんかちょっと強くなれるような気持ち。棒状のものを持つと、アフリカのマサイ族みたいな気持ちになるのかな?

バスから外を見る。川の隣を動いていく景色の中で、曼珠沙華をこんなに見たのはどれくらいぶりなんだろうか。
赤い首から上だけの花たち
根っこには、トリカブトぐらいの毒があるんだよ、と耳元で聞きながら、北原白秋の曼珠沙華を思い出すバスの道

重たく熱のこもっていくライフジャケットと反対に、心はドキドキとワクワクのまま、背の高いコスモスを抜けて、白っぽい石がゴロゴロした河原へと移動する。

今日は川の水が一番少ないらしい。
確かに、ごうごうという水ではなく、おだやかに見える。
透明度がうんと高くて、きれいな水。
清らかな流れが、そんなハードなアクティビティとは思えない。

6名ずつ別れてボートに乗り込んだ。
ボートの底はあっけないほどに薄くて、水がすぐに染み込んでくる。
パンパンにふくらんだボートのフチに腰かけるよう言われる。
え、こんなに外??落っこちないか?と不安になってみる。
パドルの漕ぎ方や、体重移動、右によってとか左に寄ってとかしゃがんで、つかまって、とか動きの練習

ボートを漕ぎ出すと、景色が移動して、そそり立つ岸壁に目を奪われる
青々した大きな岩 水でけずられて流線型のなめらかな岩肌と、そそり立った黒々とした岸壁とのコントラストが美しい

川の透明度が高くて、丸い川底の石がコロコロ見える
大きな岩は、ずっとずーっと前からここにあったんだねぇ、、、なんて思いながら眺める
そんなことをしているうちに少しずつ流れが早くなってきた。

船頭に合わせて、「イーチ、にー」と、前にかいたり、後ろにかいたり、止めたり、いろんなのを組み合わせて、チーム全員で声を合わせながら進む。

水が少ない時は、みんなでバムバムお尻で飛んで、ボートを川底から浮かせるんだ トランポリンみたいで面白い

パドルがゴリっと岩に当たる感触が手に伝わる 慌ててパドルの角度を変える(お、これが応答性か!)

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もっと水が少ないところでは、降りて歩く 
川の横を歩ける場所がある 水の流れの中で段差があってちょっと怖い 自分も怖かったから自然と後ろの人に手を貸す(お、これがボトムアップ型共感か!)

そして水の量が多いところでは、またボートに乗り込んで、洗濯機みたいにグルンと回ったり、ザブーンとお水を被ったりした。
ちょっと難しいところをみんなで乗り越えていく
パドルを上にあげて合わせて喜ぶ。

そんな風に進んでいたら、「少しお水に親しんでいただきましょう」と
ボートから降りることに。
低いところからだけど、そこから水に飛び込むのだ、、、
水に頭から入るのー???えー、メイクしているんだけど、取れるよね(笑)

小さな高さ、セーノ、で飛び降りる
足を踏み出すと、ドウんと耳のところで音がして、一瞬目の前がぐんと下に落ちる、青と白のあぶくがぶくぶくと耳の横を通って上がっていく。

冷たい、全身に水が入り込んでくる。
鼻がツンとする。
ちょっと水を飲んで、ゴホゴホむせて浮き上がる。
子供の頃のプールみたいだ。
頭の上まで水に入るってどれくらいぶりなんだろうか。
顔が水から出ると、景色がパカっと見えて、ライフジャケットでぷかぷか浮かぶ。
体を横たえて水に浮かんでみる、川の流れに身を任せて空を眺める。
スローモーションのように、空と樹々の切り絵が動いていくようだ。鳥の声、虫の声、自分の鼓動、力を抜くと耳まで水に入って、しんとする
静かだ、世界に自分だけしかいないみたいな真空の感覚

水の中で目を開けたから、コンタクトがずれる 
視界がぼんやりして、水越しで見ているみたいだ。
もう一つの時間の中で、私の目が豊かに彩られた世界を見ている。

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そこからまたボートに乗り込み、進んでいく
すると、違うツアーの人たちが、すごい高いところからポーンとダイブしているのだ見える。
嫌な予感、、、ドキドキ

やりたい人だけでいいですよ、と言われたけれど、白い砂を上がって
一番高いところまで、石を踏み締めて登る。
覗き込む
青の面積が狭くなって、高さが迫ってくる

クラクラする 怖い
そうだった、以前8メートルの丸太の上を歩いた時も足が震えてすごく怖かったんだ。
心臓がバクバクする。
怖い怖い怖い

ここは無理だよー、、、と低い方に移動。低いところから順番に飛ぶそうだ。
一番低いところに行く、覗き込む。
遠くに青が見える。
踏み出そうとする、でも、止める心がある
後ろに下がる、お先にどうぞ、、、

みんなどんどん飛び降りていく
浮遊する体、ドーンと弾ける水しぶき、歓声
黄色のライフジャケットが小さくなって、ぷかぷか浮かんでいる

私は飛べない

怖い、怖いんだよー、と言ってみる。
大丈夫だよ、飛べるよ。
ウエーん、でも怖いんだよー。
止める?と聞かれたけど、でも飛びたいんです、、と言うと
もっと低いところを案内してもらう

白い岩のとんがったところから飛び込んでみて、と言われる

ああ、この高さなら安心
ここからなら大丈夫

とん、と飛ぶと、空気の抵抗が上がってくる 
そして、水に触れると同時に、引き込まれるように落ちていく
ぶわんとさっきより深く沈む 
目を閉じて水の冷たさを感じる

大丈夫 知っている

冷たいけど、すぐにウェットスーツの中であたたかくなるのだ

飛べた 飛べた 飛べた

みんながどんどん飛び込むのに、飛び込めなくて、置いていかれるみたいでやだな、と思った。


前だったら、怖かったけど飛んでいたかもしれない。

でも、
「コワイ」ッテ イエテヨカッタ

一番最後にようやく飛んで、みんなが漂っていることにぶくぶく泳ぎながらたどり着くと、ニコニコして待っていてくれた。
遅れてやってきた私なのに、迷惑かけちゃったのに、いっぱい待たせちゃったのに、、、
目が優しかった。

やりきってすっきりした顔しているねー、と言われる。
誰よりも高く飛んだような気持ちになっている私 
達成感、と笑う。

ヘナチョコでもいいんだ、と笑った。

最後は、背中合わせでボートの中に座って、浮遊されていく。

冷たい体を温泉で温めた後のシェアリングタイムでは、
視覚として 自然の流れ、動く景色 ダイナミックさ 
聴覚として 鳥の声、川の流れの音 揺らぐ音たち 
感覚として 水の冷たさ ざぶんと入る 漂う浮遊感 
心は、飛び込むの怖い、すくむ ドキドキ、
みんなで向かう冒険の準備から1人とみんなのチームワークの時間、緩急のなかでスイッチが入っていく。いろんな感覚に敏感になっていったことなどシェアする

ラフティングが終わって、岸に上がった時、シンとしていて自分の中の静かなところとつながった感じがした。
芯がすっきりして、体の周りがフワフワする感じは、子供の頃のプールから上がったみたいな感覚。全身の力は抜けているのに感覚は敏感になっている。

藤本さんが言っていたリラックスしているのに覚醒している感覚とはこういうことか、と、温泉から上がって、ぼんやりとあたたかくなったけだるい体を懐かしみながら、心地よい感覚に身を任せて、夕飯に向かったのだった。

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