書評③「孫家の遺伝子」

ベンチャー業界でも有名人な孫泰蔵さん(孫正義さんの弟)が、アントレプレナーシップに溢れた自分の育った環境「孫家」を内側から書いた書籍。

超面白かった。正義さんはもちろん、ご両親もめちゃめちゃ起業家。
親父さんもすごいのだが、お母様も素晴らしい。

末っ子の泰蔵さんから見る若かりし「兄・孫正義」の異次元っぷりも去ることながら、子供に接する親の教育論としても勉強になる。

というか、兄弟のみならず、親戚まで皆起業家、商売人。人間、「当たり前の基準をどこに置くか」が大事だよな、と感心した。

あと、登場人物がみんな格好いい。

・「泰造な、事業というのは人のためにといったらなんやけど、一般の人達に求められ、喜んでもらえる仕事が、やっていて一番楽しいいねえ」

・「できないとか普通では無理という事業ほど、なおやりたいわけね。そういうのが化けるとすごい。たとえうまくいかなくても、自分が望んだことなら諦めがつくもんね」

・「『ヤフージャパンと立ち上げあとは、UK、Korea、Australiaを立ち上げるワールドツアーに出るんだ』と言って目を輝かせて言っていたジェリー・ヤンを見て、まるでロックスターみたいだと感激したものです。『世界中の人達がヤフーを待っている』と、実に楽しそうに仕事するライフスタイルがめちゃくちゃ格好良く思えました」

孫家は名言格言も多い。非常に熱い

・「商売繁盛のポイントは何?」「まず自分の何のために働くかという目的をはっきりさせることやね。自分の意思で働こうという気がないと、仕事も自分も伸びないからね」
・「起業家は自分のモチベーションを自分で高めていかんといけん」
・「どん底の生活から這い上がりたい。在日だけど認めてもらいたい…!!」
・「何事も本気で思い続けなければ、本物にならん」
・「教育も同じ。俺は泰造は世界一だと心から信じてたよ。信じていなければ、褒める教育は続かん」
・「驚異的なパワーの秘訣は、目標を作ることやな。5年計画くらいがちょうど良い。5年くらいで、いくらくらいお金を貯めると目標を定めれば、元気が出てくるし、仕事が楽しくなる」
・「一方、金持ちになりたかったら、まず自分の心を直せ。商売をする人間は、心がビューティフルでなくてはいかん」
・「商売は金儲けだけではうまくいかないものよ。商売人というのは、人との繋がりを作れれば、お金もおのずとついてくるわけよね(by母)」
・「お金は使うものというより、稼ぐものだよね」「お金は使うのも面白いけど、稼ぐ方が面白いもんね」
・「人間やっぱり、もう嫌だ、何とかしたいってとこまでいかないと知恵はでんな」
・「徹底的に『人に習わない』『人と同じことをしない』。だからこそ完勝するし、仕事が楽しい」
・経営状態がたとえ不調な時期でも、『一回ぐらい状態が下がった方が勘が良くなる』というのが我が家の常識で、極めてポジティブに捉える
・ダークサイドは、思っても絶対に口に出すな。ただの迷惑で、意味がない
・「プロ入り前にジャンボ尾崎の3倍の優勝経験を持つタイガー・ウッズはの記録は奇跡的だ。ポッと出がプロトーナメントでいきりなり優勝してしまうのは、圧倒的な素質と努力と経験の産物。新人ながらプロの中でも突き抜けたのが、ウッズは素晴らしいよね。泰造、経営も同じだ。」
・「根本的にお前は甘いね」「なんでお前、自分が甘いかわかるか?」「おまえには一体、絶対誰にも負けないぐらい勉強した、自分の限界までやったという経験があるんか?」
・「お前もここまで言われて悔しかろう。もしお前が『そんなことない』とか『価値観が違う』と思うなら、少なくともやってから言え。」
・「なんでもいい、とにかく言いたいことがあれば、やってから言え」
・「たとえば俺は、ビル・ゲイツと話をしていて、すごいとは思うけど、個人レベルでいえば彼だって俺以上に勉強しているはずはないと思える。俺は誰にも絶対に負けないという自信があるから、ビル・ゲイツともガンガンやりあえるんだ」
・「おまえもそれくらいやってみんかい。おまえならできる」

定期的にこの生々しくも熱い温度感に触れるために、手をとりたい1冊。


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