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パートナービザ でオランダ移住は勝ち組だ

私はオランダに3年住んでいるが、常に思っていることがある。

それは「パートナービザ の人っていいな」ということだ。

私の周りの日本人はほぼパートナービザ でオランダに滞在していて、あと少数はフリーランサーだ。私は自力で仕事を見つけて労働ビザを取得し、それでオランダに滞在しているのだが、常々「パートナービザ の人っていいな」と思ってきた。

ここではどういう面でそう思うのか詳細を書いていく。冷静に書いているようで嫉妬の塊なのは事前に伝えておきたい。

注意)オランダのパートナービザ は「結婚する予定の人」以外にも「真剣なお付き合いをしている」レベルで取得が可能。

家賃に苦労しない

パートナービザ でオランダに住んでいる人は、彼氏の家に住んでいる。そして、数年経つと大体二人で家を購入している。

オランダのパートナービザ は、パートナーの収入や雇用形態をみられるので、わりとしっかりした仕事(ITエンジニアなど)をしている人が多く、またオランダは若い人でも家を買うので、持ち家のことが多い。この場合、そこに移り住めば、家賃ゼロもしくは最高でもローンの半額を払うだけでいい

対して、単身でオランダに来た私は、月々の固定費を抑えるために大人数のシェアハウスに住んだり、街中に住んでいたときは友達と二人で折半しても一人10万の家賃光熱費を払っていた。

ものすごい出費である。毎月必ず10万が消えていく。毎月の支出で一番大きかったのは間違いなく家賃だ。

私が「パートナービザ の人って(お金の面で)こんなに楽な生活をしているのか」とわかったのは、今年になって彼氏と同棲を始めたからだ。

二人でアパートの家賃を折半(私のほうが給料が低いので6:4くらい)にしているが、めちゃくちゃ安い。なぜなら1ベッドルームのアパートに二人で住んでいるからだ。

「折半」という言葉はシェアアパートと同じだが、シェアの場合は、各個人の部屋があるので、2ベッドルームのアパートになり、そうすると価格がぐんと上がる。

1ベッドルームのアパートで狭いかと聞かれるとまったくそんなことはない。広々としているし、小さな庭もあるし、立地も駅から徒歩5分という最高具合。

「今まで払ってきた固定費は一体なんだったんだ?」と思う安さである。浮いたお金で貯金ができるため、パートナービザ で移住した人が数年で家を買うのにも納得である。

仕事探しでハンデがゼロ

オランダのパートナービザ の場合、仕事をしていなくてもいいし、仕事をしたければサラリーマンとして雇われることは自由、つまりヨーロッパ人と同じように、どんな仕事でも応募できる。

仕事をしていなくても家がなくなるわけではないし、語学力を高めたければ仕事を探す前に一年くらい語学学校に通って勉強できる。その勉強の期間も家賃ゼロか少ないお金で家に住んでいられるのだ。

オランダで就職活動をしていて必ず聞かれるのが「働けるビザを持っていますか?」という質問だ。持っていなかったら話にならない。アプリケーションフォームにビザのことについて書く欄がある会社もある。CV(履歴書)にはビザを明記しておくとHR(人事担当者)にも伝わりやすい。

私は今年、コロナのおかげで仕事を失った。そのことについては前回の記事に書いたのでぜひ読んで欲しい。今読み返すと「まじで病んでるな」とみてとれる記事だ。

私は労働ビザで、雇用主とオランダの滞在許可が結びついているため、仕事がなくなったらオランダに住めないのだ。

これは、高度技術者ビザで滞在している高給料のITエンジニアでも同じだ。労働ビザは「働かないなら国を出て行け」ということなのだ。

一応、仕事を失っても3ヶ月間就職活動のために滞在ができるし、失業保険もちょっぴり出るのだが、それでも3ヶ月という限られた短期間で仕事をなんとしてでも見つけないといけないというプレッシャーは大きい。

そして、そんな仕事がない中でも、単身であれば高い家賃を払い続けなければならず、払えないなら安いところに引っ越す必要もあるのだ。

私は幸運なことに仕事が見つかり、なんとかこの労働ビザを保持することができるようになり、オランダに滞在することが可能となったが、自分がパートナービザ であれば、3ヶ月というプレッシャーはなくて、「気長に探そう。コロナだしね。」という感じになったんだろうと安易に想像できる。

そのプレッシャーの違いがメンタルに影響し、片方では「やばいやばい。どうしようどうしよう。」に対し、片方では「まぁいつかいいところが見つかるよね。」という考えになるため、「パートナービザ っていいなぁ」という嫉妬心はかなり大きい。

家事が楽

シェアハウスなどでは自分の部屋を掃除するのは自分だし、共有部分は交代で掃除する、もしくは一緒に掃除するのが一般的だ。

大人数のシェアハウスだと共有部分だけクリーナーさんが掃除してくれたりするがもちろんお金を払わなければいけない。また、料理は自分一人のために買い物にいき、自分の分を作って食べる。シェアメイトとご飯を食べることはすごくたまにである。


パートナーと同棲してみて思ったのは、「家事が楽になった」ということだ。

まず料理だが、週の半分は私が作るが、半分は彼氏が作る。掃除や洗濯などは二人で声を掛け合って分け合っているが、ストレスがシェアのときと比べて格段に減った。

シェアだと「洗濯したいのに誰かが使ってる」とか「お腹すいてるのに誰かが料理している」とかそういう共有部分で自由にできない不満があるのだ。

それに対し、パートナーとは一緒に洗濯できるし、キッチンもどちらかが使うだけだから混まない。このストレスが減ったのは本当に嬉しいことだ。

また、シェアではたとえば「使った食器はすぐに食洗機に入れる、洗う」とか「洗濯が終わったらすぐに干す」とか他の人のために気を遣うことがあったのだが、同棲だと食べたあとの食器を机の上に置いて、気が向いたら片付ける、ということができるし、洗濯が終わって干すのを忘れていても誰の迷惑にもならない。

さらにいうと「彼氏が食器を片付けてキッチンをきれいにしてくれる」とか「洗濯物を干してくれる」とかいうことも起き、たとえモノグサな自分でも頑張らずに暮らせる良さがある。

常に味方が隣にいるという安心感

私は失業してからメンタルが本当にやばかった。上がったり下がったり、下がると何もできないくらい無気力状態になったり、不安すぎて泣くことも多かった。

そんな時でも、毎日励ましてくれたり、ぎゅっと抱きしめてくれたり、外に連れていってくれたりした彼氏にはずいぶん助けられた。本当に一人だったら自殺していたかもしれないと真剣に思う。

また、悩み事があったら何でも話せるし、おしゃれをしたら褒めてくれたり、楽しいときも辛いときも悲しいときもいつも誰かがそばにいて、自分の味方でいてくれるというのはかなり心強い。

「パートナービザ っていいな」と思うのは、そういう相手が移住初日からずっと隣にいることだ。

シェアハウスではシェアメイトと合わないこともあるし、友達ではあるが絶対的な味方だったり、常に気にかけてくれるほどの存在ではない。外に友達がいても、24時間べったり一緒にいられる友達はいない。

彼氏と同棲するということはメンタルが安定する大きな材料となるのだ。

永住権取得が楽勝

オランダの永住権の条件は「5年間オランダに合法的なビザで住んでいる」「一定の収入を超えている」「市民化テストに合格している」がざっくりとした条件だ。(細かいことは省く)

まずひとつめの「5年間オランダに合法的なビザで住んでいる」というのは、パートナービザであれば最初3年、その後更新すると5年のビザがもらえる。

三つ目の「市民化テストに合格する」というのが最初の3年以内の条件であるが、働かなくても住んでいられるのであれば時間はたっぷりあるし、語学学校などに行って勉強をすれば受かるレベルのテストなのでこれは楽勝だ。

労働ビザのように仕事を失って滞在できなくなったり、個人事業主のように更新がだんだん厳しくなって難しい、とかいう心配もない。

「5年間オランダに住む」ということはパートナービザ持ちにとっては特に難しいことではない。別れなければいいだけだ。

ふたつめの「一定の収入を超えている」だが、仕事をしていてもきちんとした収入がないと認められないのだが、パートナービザ の場合は「パートナーの収入が一定以上あればOK」なのだ。

自分が小遣い程度のお金しか稼いでいなくても、パートナーの給与明細を提出し、それが一定額を超えていればこの条件はクリアなのである。楽すぎる。

三つ目の「市民化テストに合格している」だが、この市民化テストというのは主にオランダ語を図るテストである。話す、聞く、読む、書くの語学と、オランダの政治や一般常識などについての知識を問われる問題などである。

これは「必ずオランダ語を勉強しなければいけない」というプレッシャーがあるものの、「仕事をしなければならない」というプレッシャーはないので、語学学校に行って勉強すればいいだけの話だ。

初級者レベルなので勉強すれば取れるレベルである。パートナービザ は最初3年、更新後5年だが、オランダ市民化テストに合格していないと更新できないので一応タイムリミットはある。

しかし、何度もいうが語学学校に通って勉強すれば1年以内には合格できる初級レベルなので、仕事をせずに語学学校に行って勉強をすればいいだけだ。


以上が私の嫉妬心丸出しの「パートナービザ っていいな」と思った理由だ。

私は現在彼氏と同棲していて、失業したときに夢のパートナービザ 取得なるか!?と期待したこともあったのだが、彼氏が直近海外に長く住んでいたことや、コロナで移民局が混んでいて切り替えが得策ではないなどの理由により、自分の労働ビザを保持するために仕事をなんとしてでも決めるという方針になった。

結果的に、自分のビザを持っていたほうが、別れたときに安全なのだが、30代独身の身からすると、メリットが多過ぎて「パートナービザ っていいな」という嫉妬心はいまだぬぐいきれないのである。

パートナービザの人ももちろん苦労している面があると思うが、ここではあえて触れないでおく。



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