オランダ在住5年で取得できる「EU永住権」は威力があるのか体験してみた

オランダ移住界隈でよく話題になるのがEU永住権。

オランダに5年住んだらEU永住権が取得できる！

という謳い文句をTwitterなどで見かけるが、果たしてそんなに威力があり、取得する価値のあるものなのか身を持って検証したのでここに記したい。

注)ここではオランダEU永住権とは何か、取得条件などは省きます。

オランダで取得したEU永住権は他のEU国では特に効力がない

はい、これはマジです。

私は現在オランダ以外のEU国に住んでるが、仕事をしよう、長期で住もうと思ったらその国の滞在許可証を取得する必要がある。

私の場合、雇用主が私の職種に対して就労ビザを発行してくれたのでそれで滞在している。

ちなみに夫がオランダ人なので、spouseビザも取得可能であったが、手続きは、会社に丸投げしたほうが楽だったので就労ビザのほうにした。

この就労ビザは、私がオランダで取得したEU永住権を持っているから発行されたわけではなく、あくまでnon-EU人がこの国で仕事をするために発行されるものである。

なので、日本から来た日本人も、オランダのEU永住権を持つ私も同じ立場であり、ビザの種類も同じ。

家探しの際も、この国で仕事をしている人、という信用度が有利に働くわけで、仕事をしていなくて長期家を借りたいと言っても貸してはくれないのである。

「オランダのEU永住権を持ってるから長期で住める家を貸してください！」と言っても大家には「は？」案件なのである。

そもそも一般的にEU永住権というものの認知度が極めて低そうである。

結論として、他EU国に住む際、特にEU永住権を持っているから、というアドバンテージはない。

EU永住権はオランダに帰国して初めて威力が発揮される

今回、夫の仕事の都合で一年半の他EU国での生活を終えてオランダに帰ることになった。

そして今家探しand職探しをしているわけだが、この時にEU永住権を持っているということは強い。

まず、帰国してすぐ働ける。

一年半も海外に住んでいたが、またオランダに住むとなっても新たに滞在許可証を取得する必要がない。

もしこのEU永住権がなかったら、私は一からspouseビザを取得する必要があり、発行まで3ヶ月かかる。

そんな時間をかける必要がないのは楽ちんだ。

現に面接でも永住権を持っているといえば、EU人と同じ立場になれるし、あらゆる仕事ができるのでメリットはある。

また、家探しの際も、オランダ人の夫のパスポートと日本人の私の永住権つきIDを提出することで信頼度は高くなっている。

オランダで取得したEU永住権は結局オランダに住んでこそ威力を発揮するだけであり、EU内とはいえ他の国に行けば何の役にも立たない。

現に、現在滞在している国の移民局でEU永住権からの滞在許可証切り替えのことについて質問してみたことがあるが、「は？」と言われ、EU永住権について知らない感じで、「会社に採用されてるんだから就労ビザでいいじゃん」と言われた。

また、会社にもEU永住権が何かのお役に立てるのか聞いてみたが、特になかった。

悲しいかな、私が知る限りではEU永住権がこの国で役に立ったことはなかった。

一応あるとすれば、前の滞在許可証の期限が切れて新しい滞在許可証が発行される間に日本を行き来したので、出国入国の際に期限切れの滞在許可証ではなく、オランダのIDを出してすんなり通れたくらいか。

本当にそれくらいしかない。

EU永住権よりオランダパスポートのほうが威力が強い

オランダに5年住んで色々条件がそろえば、オランダのパスポートを取得することができる。

そうすれば日本国籍ではなくオランダ国籍となるわけだ。

するとEUのどの国ででも働けるし長期で住むことができる。

とても有利だと思う。

私は日本国籍を維持したかったのでEU永住権を保持しているが、何度オランダパスポートがあれば楽なのになぁ、と思ったことか。

EUのいろんな国に住むなら断然オランダパスポートのほうが便利だ。

日本国籍の喪失が嫌でなければ国籍を変えたほうが、EU内で自由に暮らせるという面ではかなりメリットがあるだろう。

ただ、基本的にオランダに住みつづけるのであればEU永住権で十分だ。
オランダパスポートとほぼ威力は変わらない。

オランダでEU永住権を取得すれば、EU内で自由に働けて暮らすことができる！と思っている人は勘違いしているのでよく調べたほうがいい。

もしかしたらノマド的に、他国でリモートワークみたいなことはできるかもしれないし、長期の家は見つからなくても短期の家を転々とすればその国に住み続けられるのかもしれない。

しかし結局、その滞在している国で医療を受けようとしても受けられないもしくは実費となるし、何の保証もないとすれば、長期滞在は賢いとは言えないだろう。

これは私という1人の人間が体験して感じたことや考察なので、一概に正しいとは言えないということをご承知いただきたい。