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初めて他人の写真展に1週間付き合った !

 このnoteでも紹介させていただいた「写真#306レヴュー」のセレクション展1として4月11日から17日まで大原明海さんの個展を開催しました。期間中、写真家、写真関係者、写真ファンはもちろんのこと、一般の皆様もたくさんおいでいただきとても良い時間が生まれていました。この場をお借りして「主催者」として御礼申し上げます。


 セレクション展の経緯は以前書かせていただいた通りですが、作者の大原明海さんはこの展示のため、普段のお仕事をお休みし福島県須賀川市より東京にいらっしゃいました。もともと私が個人的に主宰した催しのため、なにがしかの賞金も特典もないまま、「場を提供する」という1 点において参加していただきました。
 しかしながら、大原さんは。これまでの個展などの経験を十分活かし、今回の展示に臨まれ、額装はもちろんのこと搬入搬出など完璧な手際で作業されていたのが印象に残りました。こちらの事情を理解されているということもありますが、一人の作家として、何をなすべきか、いかに動くかということが主体的にわかっていらっしゃいました。

 このような「公募展」では、作家はおおにして受け身として主催者側の支持を待つということがよくありますが、場を知り、組み立てていくという過程こそが大事です。また私のような立場でこうした催しを立ち上げている方の中には、あれこれ細かく注文し、作品そのものの形式や大きさ、額装、そして展示レイアウトに至るまで口を出さずにはいられないということがよくあるようですが、今回、私は全くと言っていいほど口は出していません。作者自らが、実際の展示の場において、戸惑い悩み修正し前向きな場として捉えて欲しいと思ったからです。この展示は、大学のゼミ展でもなく、また以前運営委員としてお手伝いしていたニコンサロンユーナ21などの公募展でもないからです。また、ギャラリーではありませんから、壁面をしっかり構成するといった目標があるわけでもなく、ある意味でクセのある空間と作品をいかに対峙させるかという、さらなる表現がここに重なってきます。そのことで、作品は相乗効果としてより豊かなものになっていくのではないかという期待が私などにはあります。そして、ここで展示される方も、実体験としてそれをお感じになるものです。

 私はただのこの306号室プロジェクトのメンバーの一人でしかなく、この306号室特有の「記憶」に静かに寄り添いながら、展示の場を共有できればそれでいいなと思っています。初めて、他人の展示に1週間お付き合いしましたが、今頃、お土産をたくさん買って乗車しただろう故郷へのバスの中で、居眠りでもしている作者が妙に懐かしく思えます。

「写真#306レヴュー・セレクション展2」は9月下旬の開催を予定しています。


参考資料として、先日 朝日新聞社 AERAdotに掲載された記事です。


古くから様々な読者に支持されてきた「アサヒカメラ」も2020年休刊となり、カメラ(機材)はともかくとして、写真にまつわる話を書ける媒体が少なくなっています。写真は面白いですし、いいものです。撮る側として、あるいは見る側にもまわり、写真を考えていきたいと思っています。