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誕生日なので、好きな選手の話をする

 遠く彼方にあるドイツではEUROが始まった。代表に選ばれた選手たちはクラブチームでの仕事を終えても国を背負って多くの試合を繰り広げている。そんな忙しい日々の中で、私の好きな選手が実は6月22日で誕生日を迎える。めでたい。今回は好きな選手ことロドリの23-24シーズンを振り返ったり、好きなところをまとめてみようと思う。
 こういう誕生日を祝う文章はアイドルの推しで書いた事もあるが、出来上がった時に恥ずかしさを覚えるはずなのに何故懲りずに書いてしまうのだろうか。これも自分の中にあるオタク気質故かもしれない(ちなみに、アイドルの推しを祝った時のnoteはこれ。気になる人は読んでみてね)。



23-24振り返り


 まずはシーズン全体の振り返り。CLやFAなども含めて50試合に出場し、9ゴール13アシストを記録。これはキャリアの中でも最高の数字(推し、すごいぞ!!)。この得点関与はギュンドアンの退団に伴ってポイントゲッターが減ってしまった事や、CL決勝で決勝点を決める事ができて自信が芽生えた事などが理由として考えられると思う。
 ゴールやアシストといった目に見える数字は勿論、攻撃の芽になる質の良いパスを供給し続けたり、守備の時はすぐに潰しを買って出てまた俺たちのターン!にしてくれたり。試合を見れば見るほどに、すごいな〜と唸ってしまう活躍が沢山あったと思う。特に相手チームを揺さぶるサイドチェンジのパスは、誰よりも綺麗に届く。私はロドリのサイドチェンジが一番好きである、
 4月以降の試合は疲れが見えて精度が落ちる試合もあって本人も「休みが欲しい」と言っていたが、それでも大きな怪我なく走り抜いてチームを引っ張ったのはすごい事だ。代表チームでも柱になっていて、頭が上がらないどころか上げる頭すら無い。
 ではここからは、個人的に印象に残った試合を挙げていく。


印象に残った試合


2023/8/28 Sheffield United(A)

 言わずもがな最後の逆転ゴールが痺れた試合。ウォーカーがボールを取り返してからずっと「俺に出せ!」とアピールして、本当に決めてしまった。自分なら絶対に決められるっていう滲み出た自信が眩しいと共に、本当にゴールするのが役者すぎる。
 記事を書くためにハイライトや機械採点を確認してみたが、この日のロドリはパス成功率98%、ロングボールは百発百中という調子の良さだった。すごいね。


2023/9/20 FK Crvena Zvezda(H)

 3点目を決めたシュートがひたすらに上手かった。このゴール、HTでオルテガさんから相手キーパーの癖とそれを活かすシュートコースをアドバイスしてもらって決められたらしい(試合後のインタビューでの発言)。出てるメンバーも控えのメンバーも全員同じく戦っているのが感じられて、とても好きなゴール。


2024/1/14 Newcastle(A)

 KDBやボブくんの活躍に目が行きがちだが、実はとても頑張っていたロドリ。2点目のアシストでは、3人ほどをしっかり引きつけてボールを脱出させるパスは何度見ても上手い。点は決まらなかったが、終盤に唐突に見せてきたシザースからのシュートも凄すぎて笑ってしまった。そんな芸ができるなら最初からできるって言っといてくれ。
 プレーだけでなくベンチに交代を呼びかけたり声を掛け合ったりと、難しい展開の中でチームを盛り立ててくれていたと思う。かっこいいぜ。


2024/2/18 Chelsea(H)

 土壇場で勢い良く振り抜いた左足、これは忘れたくない。苦しい中でもぎ取った一点なんて絶対気持ち良いはずなのに決めたロドリも仲間達も爆速でセンターサークルに帰陣する姿はとてもかっこよかった。引き分けに甘えず勝つ事しか考えてないのが一目見て分かったシーン。終わった後の全員の悔しそうな顔は苦しかったが、個人的には好きが増した試合だ。
 「負けない」シティは勿論好き出し毎度勝って欲しいのは当たり前だが、それと同じくらいに「負けたくない」シティも良いと思う。どんな結果に転ぼうとも勝ちのために前を向いている姿は、ひたすらに眩しく、この眩しさがずっと失われない事を願う。このニュアンスの違いが上手く伝わると嬉しい。


2024/3/4 Manchester United(H)

 ハーランドがいつもなら絶対に決められる決定機を珍しく外してしまった時、その場にいる誰よりも目に見えて怒っていたのを印象強く覚えている。でも3点目のハーランドのゴールはロドリのアシストで、ちゃんとお膳立てしてるのは少しツンデレを感じた(ただ近くにいただけなんだが)。
 余談になるが、ハーランドとロドリの絡みは結構好き。ロドリがハーランドを時々いじって、いじられた側も言い返す事なくニヤニヤしてる構図が面白い。例えば下の動画では、「もしシティのレジェンドと一度だけ一緒にプレーできるとしたら誰とプレーしたい?」という質問で、迷ってるハーランドに「セルジオ(アグエロ)って言うなよ。君はベンチ行きだ。」って言ってしまうロドリ。良い先輩後輩、これからも面白い絡みを見せてほしい。


2024/4/4 Aston Villa(H)

 この日のロドリ、スーパーだったと思う。点は決めるし良いパス出すし、3点目のアシストなんて当時観ながら凄すぎて大声出た。ロドリが上手い試合が自分にとって観てて一番楽しいわ!と再確認した試合だった。贔屓な選手が活躍するのはやはり気分が良い。


負けない人の正体は、誰よりも勝ちたい人


 「出ると負けない」というとんでもない肩書きが付いて、結局出た試合は74試合連続で負けなかった。時間を想像するなら1年を超える数字で、すごい以外の言葉が見つからない。
 私はシティが好きだがそれと同時にロドリ個人も好きで、チームとはまた別に彼がたくさん評価されて欲しいと思っている。だからこそめでたい数字が増えるのは嬉しかったが、本人はチームが勝って次に進む事を第一にしており自分の事は二の次だったと思うので、負けないという数字が増えるのを外野が喜ぶのは今更ながら申し訳なかったかもしれない(本人も鬱陶しかったやろなぁ…ごめんやで…)。

 1年見ていて感じたのは、この「負けない」はチームの構造や運なども勿論要因ではあるが、それ以上に彼が世界一の負けず嫌いである事が反映されているという事だ。
 例えば、上述のシェフィールド戦やホームアウェー両方のチェルシー戦で終盤で勝ちを決めるゴールや劣勢で喰らいつくゴールを決めたのは彼だった。12月に自分がいない試合で辛酸を舐めさせられたヴィラに、リベンジとして最初の一点をお見舞いしたのは彼だった。優勝を決めるウエストハム戦で一点差に詰め寄られた時、何度も見た軌道でゴールして優勝をさらに手繰り寄せたのは彼だった。ゴールやアシストだけでなく、チームが劣勢の時の渋い顔や明らかに怒っている顔、自分が何とかしなくてはいけない!と突き進んでパスを出したりボールを運ぶその姿まで、誰よりも強い「負けたくない」「勝ちたい」の気持ちが詰まっていた。
 実際にロドリは相当負けず嫌いに見える。シティにいる選手全員負けず嫌いだとは思うが、少なくとも私はロドリが一番負けず嫌いだと思う(だがそんな彼にも、若かりし頃に敗戦後のバスの中で彼女に「負けちまったよ俺ら〜」と大声で電話し、後日ペップに懲罰ベンチ行きを食らった過去がある)。ピッチ外でも負けず嫌いを感じる事は多く、「カバかワニと泳ぐならどっちがいい?」というサポーターの中でも有名な議論ではただ一人カバを主張し周りから激詰めされても決して折れなかった(今見返しても、反則技「ググる」でパンチしてくるベルナルドが本当に面白い)。

 卓球のガチンコ勝負でスタッフにVARを要求する時の勢いはさながら試合である(マフレズの勢いもすごい)。

 クイズに答えるこの動画では、不正解の度に不服そうな顔をして周りの兄貴たちに笑われるロドリが見れるので、これも紹介したい。

 感情のコントロールができずレッドカードをもらってしまった苦い経験と自分がいない試合でチームが負けるという苦い結果が重なり、プレッシャーや疲れを感じる時も多かっただろう(4月には記者に対して「休息が欲しい」と漏らしており、この頃は心身共に疲れがピークに達していたと想像できる)。そんな状況でもシーズンを通して最前線に立ち続けた。彼を悩ませているであろう疲労やローテーションの問題を憂いながらも、今は真っ直ぐに健闘を讃えたい。ペップがFA杯の準決勝後で言った言葉を借りるなら、「彼はそこに居た。それだけで十分だ。」である。
 一年通して本当に素晴らしかったし、「勝ちたい」という熱い思いが伝わってくる彼のプレーを見るのは本当に楽しかった。どうかこれからもその火が燃え尽きる事なく、そして充実した選手生活を送ってくれる事を願う。


最後に


 最後に私が気に入っているルベンのロドリ評を記しておく。改めて読むと素敵な言葉で、記者や専門家の称賛の言葉は数あれど、一番近くで彼を見ている仲間の言葉に勝るものは無いな〜と実感した。

He is one of those players that whenever tough times come, he stands up and stands out. He’s there for you. When times get rough, I know he will be by my side. He makes the difficult look easy. You know when it matters he will be there.You don’t really know players until you have seen them when the team is in a tough moment. That’s when good players are made. I was forged like that. You can’t shut your eyes for a moment.
彼は辛い時間が訪れると立ち上がり、目立つ選手の一人だ。彼はそこにいる。辛い時、彼が側にいてくれる事を僕は知っている。彼は難しいことを簡単にやってのけるんだ。大事な時に彼はその場にいてくれるんだよ。チームが困難に立たされた時を見ないと、選手の本当の姿は分からない。良い選手はそんな時に作られる。僕はそうやって鍛えられた。一瞬たりとも目を閉じてはいけない。

 私もルベンの言うように、目を閉じずに好きな選手のプレーを少しでも長く見ていようと思う。そのためにも怪我なく健康に過ごしてほしいし、来季は少しでも彼が疲労困憊にならないようにチームがコントロールをしてほしい(そんな願いが届く前にイタリア戦で酷く痛がっているシーンを見てしまい、私の頭痛が止まらないのだが)。
 ロドリの新しい一年が多くの勝利と素敵な思い出で彩られる事を願っている。お誕生日おめでとう。


 

 


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