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"TO DARE IS TO DO(為せば成る)" 世界最先端スタジアムを完成させたトッテナム・ホットスパーのグッズ展開

ビッグクラブの中で、世界最新・最先端のスタジアムをついにオープンさせたばかりのトッテナム・ホットスパー(以下愛称のスパーズ)。先日のチャンピオンズリーグ準決勝1stレグ、スパーズvsアヤックスを観戦してきました!

おそらく世界初のスタジアム内クラフトビール醸造所があったり、スタジアム自体に語りたいことが沢山あるものの、今回は併設されているグッズショップの展開についてまとめます。

■ショップ自体が広い!

noteにて度々ビッグクラブのグッズショップについて紹介してきましたが、その中でも最も広いと思われるグッズショップでした。イケてるインテリアショップに近いオシャレな数階層の造りのなか、わかりやすいカテゴライズで所狭しとグッズが並べられております。ここなら僕は試合より長い時間いられますね。

バルセロナのグッズショップもそうなのですが、入口付近にショッピングモールで休憩に使われるような、大きなすり鉢状のスタンド(?)があり、スパーズはそこに選手がショップ定員に扮したドッキリ番組を流してました。これを入口で観ると、もしかすると今も店員のなかに選手がいるかも…と期待感を高めてしまうお客さんもいるやもしれません。

また店内の広い理由のもう一つに、新スタジアムはNFLの会場にもなるとのことでNFLグッズエリアが確保されていることも大きいでしょう。イギリスでのNFL興行がこの新スタジアムと組んでさらなる拡大を目指しているとのことですが、どのように成功するでしょうか。

■ロゴのシンプル化

"IN A WORLD FULL OF UNITEDS, CITYS AND ROVERS, THERE IS ONLY ONE HOTSPUR. WE ARE TOTTENHAM HOTSPUR."
(世界にはたくさんのユナイテッド、シティ、ローヴァーズがあるが、ホットスパーは1つだけ。我々がトッテナム・ホットスパーだ)
クラブ公式HPより:https://www.tottenhamhotspur.com/the-club/

トッテナム・ホットスパーはトッテナムが地名ですが、もともとはホットスパーFCという名前でした。ホットスパーとは直訳で激しく回る拍車(転じて荒くれ者、向こう見ずな者)のことで、14世紀にこの地に住んでいた勇猛果敢な戦士ヘンリー・"ホットスパー"・パーシーが拍車付きの闘鶏を愛していたことから、ロゴはフットボールの上に乗る雄鶏が描かれるようになりました。

スタジアム頂上に鎮座するロゴ

荒くれ者の性格は現代のこの地域に根付くものとは思いますが、このようにクラブ名のルーツが地名でなくスタイルから来ていることが理由なのか、ロゴやクラブ名のグッズへの運用は非常に柔軟でした。

このようにワンポイント入れるだけでもカッコ良いですし、

シンプル化という単純な構図ではないかもしれませんが、「Spurs」や「TOTTENHAM HOTSPUR」というクラブ名をこれでもかと崩していっています。ここまで来ると、もはやスパーズが仮に嫌いな人であっても普通の服を選ぶ感覚で買ってしまえるのではないでしょうか。

■「日常使い」できるグッズ

これまた他のビッグクラブと比べても最もグッズ数が多かったと感じます。前述のロゴやクラブ名を崩したデザインを活かして、SKU数を増やしまくっている印象です。

ネクタイはすべて使い勝手の良さそうな地の色に、ロゴはスーツにギリギリ隠れる配置。迷わず1本買いました。

キャップがこれだけ豊富なの、凄くないですか…!?手に取りやすい陳列なのでどんどん売れていってたし。NFLコーナーにあったのでFanaticsなどアメリカ絡みでしょうか。質もとても良いように見えます。

さらに見逃せなかったのは、在庫が無いサイズがほとんど見当たらなかったことです。この時期はシーズン終盤戦で、どのクラブも欲しいと思ったグッズのサイズ(特に男性M/Lサイズ!)在庫が無いことがすごく多く残念なのですが、スパーズは新スタジアムのオープンに合わせて作りまくっていたのか、不自由を何一つ感じることはありませんでした。

特にシャツ・パーカー類と、マグカップを始めとする雑貨類のデザインはとてもスタイリッシュでした。マグカップは1文字ずつ展開。これは買いたくなります…!

FIFAもプレーしてました。

■スポーツ性

調べきれておらず申し訳ないですが、このショップはオフィシャルユニフォームサプライヤーであるナイキとも大きく協働しているようです。それゆえにユニフォームエリアだけでなく、ナイキが前面に出た商品をまとったマネキンがいくつも立っています。

スパーズのオリジナルグッズはスポーツウェアではないですが、ジョガーパンツがあったりスポーツ性をとても大事にしている印象はあります。

これらはサプライヤーとの契約でカテゴリごとに生産を独占されることが通常である(たとえばジャージなどスポーツ現場に近いグッズについてはナイキがユニフォームの供給と引き換えに独占権を持つ)はずですが、スパーズ自身が抑えるべきところを抑えようとギリギリを攻めている印象です。

「スポーツ」はスポーツクラブの売り物の本質ですし、外部に依存し切るのではなく自分たちでトライしようとする努力の姿勢は素晴らしいものだと思います。

■会計は偏在するレジにてキャッシュレスオンリー!

グッズ展開とは離れますが、新スタジアムは当然のように「キャッシュレススタジアム」であり、マッチデープログラムやビールを買うのにもクレカやプリペイドカードでの支払しか受け付けていません。
そのかわりできるようになっているのが場所を選ばない会計で、広いグッズショップ内のいたるところに置かれている小さなカウンターで並ばずにレジを通過できます。

現金払いできる良さも理解はできますが、効率的に人をさばけるようになることでオペレーションコストが大幅に削減でき、それをさらなる顧客サービスに充てることができるというのを間近で体験しました。

新スタジアムの売りの一つであるスタジアム内ビール醸造所にはとてつもない人だかりができていましたが、店員が会計にはほぼ労力を割かず(手元で商品ボタンを押して、そこにタッチして支払って!と伝えるくらい)、ひたすらビールを注ぐことに注力できていました。

泡をうまく作ったり銘柄ごとに合わせた注ぎ方をすることはビールの味を大きく左右する重要な工程で、観客はキャッシュレスを受け入れることにより、このスタジアムではより美味しいビールを堪能することができるようになったわけです。クラブとしても回転が格段に早くなり、より大きな売上を上げることができていることでしょう。

■"TO DARE IS TO DO"

スパーズはHPも数ヶ月前にきれいにリニューアルされています。
https://www.tottenhamhotspur.com/

自分たちが良質なコンテンツを作り発信するというオウンドメディアの方針が感じられる作りになっていることが他のクラブのファンにとっても注目に値しますし、ポップアップで誘導されるオンラインストアもとてもスムーズに移行できます。なかなかロンドン北部までは行けないよという方、今回紹介したグッズに気に入ったものがあれば、オンラインで購入してみてはいかがでしょうか。

クラブはモットーに"TO DARE IS TO DO"を掲げています。これは日本語にすると「為せば成る」が近いでしょうか。ロンドン北部の荒くれ者たちが、理想を描くことと行動することを同一にし、実行を伴って進歩し続ける姿にこのモットーはピッタリと来ている気がします。

新スタジアム建設、グッズショップ、選手補強、HPリニューアル。今回はグッズショップ単体に焦点を当てていますが、それぞれ1つ1つを見るだけでなく、スパーズというクラブ全体に貫かれているビジョン・戦略、そして高い実行力について、より学びを深めたいと感じました。

試合でいうと↑のようなことも考えてみたいです。勝利するためのファン・運営一体となった空気づくり。

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