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現地へ(22)

  また夏があっという間にやってきて、夏休みが始まり、ポルポルに行く日がやってきた。今回は10日余りの滞在の予定だ。どんなことが待ち受けているのだろう。不安よりも期待が大きかった。私たちの行く地域はポルポルの中で最も栄えている地域で今までもボランティアの実績があり、もう随分と緑化も進んでいるらしい。直行便がないため、飛行機を何度か乗り継いでとうとうポルポルに降り立った。私たちのほかに5人、総勢7名の一行だ。朝に到着し、太陽はぎらぎらと輝き、空港の周りは予想以上に栄えていた。団体が用意してくれた数台のジープに分かれて乗り込み緑化が始まった農場へと向かう。団体のリーダーの幸子さんが乗る車が先頭で、道路は舗装されてはいないものの、人々が行き交い車も通っている。野良犬が道路脇をうろうろしているのを横目で見ながら、砂ぼこりの舞う中ジープにガタゴトと揺られた。歩いている人々は頭の上に荷物を載せて歩いている。そうした人々がいなくなって1時間やっと目的地に到着した。
 私たちが泊まることになった農場には宿泊施設があり、一応井戸もあり、水は出る。この国にしてはとても恵まれた場所なのだけれど、日本から来た私たちはちょっとげんなりしたことも事実だ。トイレももちろん水洗じゃないし、水道は井戸水の冷たい水しか出ない。到着した瞬間に、奈津と顔を見合わせて、「大変そうだね」と、ちょっと不安な気持ちを慰め合った。あの東京の渋谷の街から離れた遠い異国の地は発展途上だった。あらかじめ予防接種は受けたが、ほかの風土病などもある。飲み水は全部持ってきたミネラルウオーターと日本の企業が提供してくれたスポーツドリンクだった。暑さが半端じゃないから、ただのミネラルウオーターよりありがたかった。着いた当日は歓迎会が催されるということで、たくさんの現地の人が集まってきていた。

現地へ(22)

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