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現地での活動(28)

 その日の予定の予防接種がすべて終わって、テントに引き揚げることになった。青山さんも、佐竹さんも大変疲れている様子だったので、あいさつするとそそくさとそれぞれのテントに引き揚げていった。幸子さんと私たちも昼間からの疲れで、くたくたになりテントに帰ってきた。女子と男子は一応テントが分けられている。志保ちゃん、亜矢さんとまた同じテントだった。夕飯はレトルトのカレーに、乾パン、ミネラルウオーターだった。農場の新鮮な野菜が懐かしかった。「今日から3日間、体が洗えないのがきついね」と亜矢さんが言った。農場に帰るまではお風呂には入れないのだった。井戸があるといっても、現地の人にとって貴重な水で、無駄に使うことはできないのだ。
 昼間、注射をしながら聞いた話では、佐竹さんは前の医師と入れ替わりで1カ月前から活動している。時々、キャンプを離れて、北ポルに戻ることもあるが、基本はここで暮らしている。私たちとは別の団体から派遣されていた。そこにはテントを建てたり、井戸を掘ったりする専門のスタッフもいた。後方支援のスタッフだ。佐竹さんは以前はアジアの難民キャンプに派遣されていて、世界を巡っている。国籍は日本だけど、生まれはドイツで海外駐在員だった両親とともに小学生まで欧州で育ったらしい。ドイツ語と英語のほか、フランス語も話せるとのことだった。その後日本に戻ったという。半日一緒にいて、それだけの情報を得た。明日は、私と奈津は荷物の運び出しの作業で、佐竹さんたちの補助は亜矢さんと志保ちゃんがやる。くじ引きで決まったので残念だけど仕方がない。

現地での活動(28)

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