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農場での作業(24)

 次の日から、農場で作業が始まった。まだ、灌漑が進んでいない部分の地面の小石を取り除き、シャベルで掘ってまず耕やす。今まで、冷房がきいた日本の夏しか経験していない私にとっては、照りつける炎天下の太陽のもと、作業を始めて、すぐ汗をかいてきた。陽射しを避けるため、長袖のTシャツをわざと着て、帽子とタオルをかぶって、作業する。土は乾燥していて硬い。1時間に1回休憩をとり、スポーツドリンクで常時水分補給して、脱水症状を起こさないよう、リーダーの幸子さんが気を配っていた。機械が入っていないので、その作業だけで1日が終わった。「マヤ、私もう倒れそうだよ」と奈津が言う。他のボランティアの人も、はや音を上げている。
夕食の時間がやってきた。この農場には、農場で採れた新鮮な野菜と、日本から送られてくる加工ミートがあるので、かまどで焼いたパンとミートの入った煮込みだった。明日からは、スタッフのうちローテーションで何人かがパン焼き講習を受けて自分たちでもパン作りを体験できるのだった。パン職人の人が一番それを楽しみにしているようだった。想像以上に体力を消耗し、食が進んだ。
今日は汗をかいているので、お湯を沸かして運んできて、皆で交替で、お風呂に入った。お風呂と言ってもシャワーではなくて、文字通りお湯をためて、それを体にかけて洗うのだった。2人ぐらい体を洗うとまた、お湯を沸かして運んできて、また、2人で分けてという作業なので、思ったより時間がかかった。奈津が髪を洗う私にお湯をかけてくれた。
単純な作業しかしていないけど、何だか充実感でいっぱいだった。一日の終わりには、今日の反省点などを皆で話し合うミーティングが開かれる。特に目立った意見はなかった。
各自相部屋に戻った。2段ベッドがふたつ並んだ相部屋で、男性と女性は分かれた形の部屋になっている。私と奈津は同部屋でベッドのどっちが上の部分に寝るかじゃんけんで決め、上の部分に寝ている。奈津は寝造が悪いので、上に寝ると危険を感じたのでありがたがっていた。ほかの2つのベッドは、美容師の亜矢さんと、埼玉から参加してきた服飾専門学校生の志保ちゃんだった。
 志保ちゃんはアフリカの民族衣装の彩り、デザインに興味を持ったことから、アフリカが気になり、このボランティアに参加したらしい。「でも、正直、思ったより体力勝負でもうきついな」まだ、来たばかりだけどもうそうこぼしている。だが、1日目の歓迎会でポルポルの人たちが色とりどりの鮮やかな衣装を着て、踊りを踊ってくれた時にはすごく感動したらしい。だから、あの日の感動を胸に頑張ると言って眠りについた。

農場での作業(24)

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