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神の手による一時救済 断乳祭り⑤

爆発しそうな胸を抱え、だんなの車に乗り込む。
普段はちびたちをチャイルドシートに固定したりするが、全てだんなまかせ。
腕を動かすのも厳しい痛さ。
筋肉体操のムキムキ男性のように腕を脇から少し離した不自然な姿勢が一番マシ。
副乳が両脇と胸の間にあり、そこも張っているせいかもしれない。

「ああ、この痛みを半分わけてあげたいよ」と冗談で旦那に言うと、
「いらん!」と即返された。
「はぁ、新婚の時はもっと違う言い方してたろうなぁ。人は変わるなぁ。」
とうざく絡んだところ、
「おれが痛がっていたら、チビたちは誰が面倒見るんだ」
と言うので、まあ許しました。まあ。

10:00
初めての助産院へ。
とても気さくな50代半ばくらいの女性。
この方の腕次第で、天国か地獄かが決まる。

左胸を見て、「これはこれは!すごいわねぇ。痛いでしょ」と感心(?)してもらえた。痛みに共感してもらえると嬉しいのってなんなんだろ。味方な気持ちになる。

そして、とってもうまいおっぱいマッサージだった!!
過去8人くらいにやってもらったけど、最上位クラス。ゴッドハンド!

ほんとにありがたい。

***

長男の時の断乳プログラムでは、マッサージ後、自分で乳を最後の一滴まで搾り取った。少しその時の話。


赤い小さめのボウルを渡され、乳が出なくなったら教えてね、と言われる。
四人が壁に向かって一列に座り、赤いボウルに乳を絞っている。何かの宗教っぽい。
シャー………シャー………
発射した乳がプラスチックのボウルのぶつかる音だけがする。

しぼれども しぼれども なお我が乳 出まくり じっと手をみる 乳川啄木

とくだらないパロディ句を作ってもまだ止まず。

あとから来た7人に抜かされ、三時間絞った。
指の握力が死んだ。真下を見続けているため首も死んだ。

赤いボウルにたまった乳を、何度か流しに捨てに行った。
捨てに行くほど溜まる人は他におらず、みな20分せずに終わっていた。
我が乳の生産能力の高さを呪った。

***

今回もあのつらい搾乳修行をするのか、と覚悟していたが、それはなかった。
あまり刺激せずにゆっくり乳を減らしていく考えだそう。よかった。

ただ、食事制限について、がっつりと指導が入った。


一ヶ月、主食を半分にすること。
菓子やケーキなど甘いもの、お酒をとらないこと。
牛乳、乳製品、肉、油物もやめること。

はい、ええ、はい、と話を聞きましたが、悪いけど実行しません。
長男の時に同じ食事制限を数ヶ月やって、ノイローゼになった。
だって、堂々と食べられるのは野菜の味噌汁くらいだよ。あと大豆製品。
食べ物でストレス発散できないのはキツい。

人それぞれなのでなんとも言えないけど、私は恐る恐る禁忌を犯して食べたところ、特に問題はなかった。

それでも、「欲望に負けて悪いものを食べて、悪い乳を生産して赤ちゃんがかわいそうに」と、ある助産師さんに言われ、とてもショックだったし罪悪感に苛まれた。
でも今回は断乳だから、赤ちゃんには全く関係ないのも気が楽。


適宜好きなものを食べつつがんばる!



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