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イガグリを押し流せ 断乳祭り⑦

断乳3日目。
前日のおっぱいマッサージが痛みのピークで、あとはもう下り坂になると思っていた。
が、馬鹿な胸(特に左のバブリー)が生産をやめないせいで、マッサージ前の状態に復元され、超えつつある。


今回の断乳山の頂はどこか。
今はやたら広い頂上にいるのか、それともまだ先に頂上があるのか。
下山できるのはいつなのか、皆目見当がつかず。

唯一できるのは搾乳という舵取り。(たとえが山から海になってしまった…)
搾乳により、痛みをある程度とることができる。
乳腺が詰まって乳腺炎になる悲劇からも回避しやすくなる。

が、乳をしぼることで、馬鹿な胸は乳が消費されたと勘違いする。
そして、ならばもっと生産せねば!と盛り上がり、せっかくしぼったのにまた再生産されてしまう。ジレンマ。

そして障害は次男あっちゃんの泣き声。
馬鹿な胸は「赤子が泣いた!乳を飲ませろ!乳をもっと作っとけ!」と、これまた勝手に再生産してくる。
泣き声を聞くたび、乳が作られ胸がぴきぴき張るのが実感できる。

「ごめんね、お乳がでなくて…」と泣き喚く赤ちゃんに芳根京子が嘆いたシーン(朝ドラ戦時中)を以前見たときも、乳汁ブシャアアアだった。
我が愛すべき馬鹿な胸は、時代を超えてテレビ越しにも乳を届けようとした。

私の脳はおっぱいに乗っ取られており、我が本体はもはやおっぱいである。

* * *


この日はお盆最終日で、明日からはちび二人を自分だけで面倒見なくてはいけない。
そろそろ平常運転に戻りたいのにままならない。

しかもこの日は一ヶ月前から予約した次男の予防接種があった。
私と次男で病院へ。
病院内で歩かせるわけにもいかず、ずっとだっこ。
当日書かねばならぬ問診票があり書いていると、退屈と窮屈で次男が暴れる。
頭や腕がおっぱいにクリンヒットする。悶絶。
注射を打つ時にあばれぬように押さえ込むのだが、これもキツい。

断乳中とわざわざ伝えるのもおかしいし、密かに不審な母であった。


痛い痛いと言いすぎて、だんなから狼少年のように見られてきた夕方。
ここにきて新たなタイプの痛みがうまれる。

乳腺のなかを、ぴったりサイズのイガグリが通過する痛み。
チリチリチリと胸の内側を針で刺しまくられる感じ。
今なら一寸法師を飲み込んだ鬼の辛さをお察しできる。

この痛み、過去何度も味わった。
乳腺炎なりかけの痛み。

スーパーでカート押してた時、胸を押さえてグウゥァとしゃがんでしまう。
心臓発作とかに間違えられたら申し訳ない。

お風呂の時、鏡に映った左胸(バブリーバカ)だけ真っ赤で、ああやはり…と乳腺炎を覚悟した。
乳腺炎は私の体感ではインフルエンザとほぼ同等。
寒気、頭痛、高熱、全身の痛み。プラスして胸の激痛。

回避するにはとにかく搾乳!
どこかで詰まっているイガグリを無理やり押し流すしかない。

搾乳の痛みと憂鬱から逃れるため、逃げ恥を流しながら頑張る。
昨日途中までだんなと一緒に見てたのだが、ひとり抜け駆け。
じっくり一話分の搾乳でイガグリは抜けたような気がした。

乳腺炎に怯えつつ寝る。

夜中に次男またぐずぐず夜泣き。だんなは明日仕事なので私が次男担当。
1時間ベビーマッサージフルコースでなんとか寝たと思ったら、30分後にまた覚醒で追加30分、が繰り返され、寝た気がしない夜になった。
私がマッサージしてほしい。

そして長男はこんな時にかぎって早朝5時に起きた。

朝からうんざりのお盆明け。いい天気。



でも乳腺炎はまぬがれたようで、次の日から痛みも解消されていったのでよかったよかった。

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