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アオイクニノモノガタリ

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2021年3月の記事一覧

アオイクニノモノガタリ ‐蒼国物語‐

‐エピローグ‐

雪子が蒼国に戻って数日。
大人の冬休みも、終わりが近づいている。

なんとも不思議な時間だった。
そして、楽しい時間でもあったなぁ、と振り返る。

夢だったのか、現実だったのか。
それを確かめるすべもないまま、時間は過ぎていく。

だいぶ暖かくなり、桜の開花予想も発表された。
いつもならGWにかけて見頃を迎えるが、今年は4月中旬には咲き始めるようだ。

家族との3ヶ月という時間。

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アオイクニノモノガタリ ‐蒼国物語‐

‐トビラ‐

「雪子っ!あった、あったよ!」

部屋に駆け込むなり、そう言った私に雪子はびっくりしていた。

「あったって・・・ツララ?」
「そう、あったの、ツララ、大きい、やつ。」

息が切れて、言葉も途切れ途切れだ。

「今日、ほら、暖かいから、早く、行かない、と。」
「えっ。 あ、そっか、とけちゃうっ!」

雪子も、急がなくちゃ!と気付き、二人でツララのある場所へ向かった。

幸い、まだそこ

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アオイクニノモノガタリ ‐蒼国物語‐

‐みつけた‐

出かけるたびに、キョロキョロとツララを探す。
人生の中で、こんなにツララを欲したことがあっただろうか。

雪子をとうさんかあさんに早く会わせてあげたい。
ただ、その為だけに。

「はぁ、今日もみつからないか・・・」

写真整理のアルバムを買いに出た帰り道。
普段は通らないような道も歩きながら、ツララを探す。

こんなにみつからないとは。
子供の頃はそこら中にあったのになぁ。

諦め

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アオイクニノモノガタリ ‐蒼国物語‐

‐ツララ‐

それから二人のツララ探しが始まった。

山の中、滝が凍っているような場所だったらすぐみつかるんだろうけど、街中で探すのはなかなか難しかった。

私が子供の頃は、あちこちの屋根にツララができ、それを遊び道具にしてたものだ。

でも今は、新しい建物が多く、屋根の形状のせいなのか、ツララを見かけても小さな短いものしか目につかない。

「あのね・・・」

ツララが見つからず、二人とも疲れ切っ

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アオイクニノモノガタリ ‐蒼国物語‐

‐蒼国‐

そこは深い森の中。
木漏れ日が降り注ぎ、心地いい場所だ。

ニャロメTシャツの山守さまと、隣にはいかにも山守さまといった風情のおじいさんが立っていた。

「雪子や、ひさしぶりじゃのぉ。」
「山もりさまっ!」
「元・山守さまじゃ。」

あ、そうだった。と、雪子はテヘヘと頭をかく。

「ユッキーコサン、オトウサンサガシテイルト、キキマシタ。」
「はい・・・」
「オトウサンオカアサンモ、ユッ

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アオイクニノモノガタリ -蒼国物語-

-山守さま-

雪子は手や顔にクリームがつくのも構わず、美味しそうに楽しそうにケーキを頬張る。

いろいろ考えたりしたけど。
まぁ、とうさんを探してあげたら、雪子は安心するのよね、きっと。

聞きたいことは山ほどあるけど。
とりあえずは、とうさん探しを終わらせなくちゃ。

「んふぅ、おいしかったぁ!」

雪子は満足そうに声を上げた。
なによりなにより。
手も口の周りもクリームだらけだけど。

拭い

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アオイクニノモノガタリ ‐蒼国物語‐

‐ひなまつり‐

雪子はお母さんの妹。
と、いうことは、私の家族ってこと、だよな。

ってことは。
雪子の探しているとうさんは、私のおじいちゃん。
ってことに、なるよ、な。

んーーーーーーーーー。

考えたところで、答えは出ないし。
少し休憩しよう。

今日は3月3日。ひなまつり。
実家で迎えるのはかなり久しぶりだし。
せっかくだから、雪子にも楽しんでほしい。

ひなまつりを口実に、ケーキも買っ

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