アオイクニノモノガタリ ‐蒼国物語‐
‐みつけた‐
出かけるたびに、キョロキョロとツララを探す。
人生の中で、こんなにツララを欲したことがあっただろうか。
雪子をとうさんかあさんに早く会わせてあげたい。
ただ、その為だけに。
「はぁ、今日もみつからないか・・・」
写真整理のアルバムを買いに出た帰り道。
普段は通らないような道も歩きながら、ツララを探す。
こんなにみつからないとは。
子供の頃はそこら中にあったのになぁ。
諦めモードに入りそうになるが、そうもいかない。
「よしっ!」
ちょっと気合を入れて、また歩き出す。
あちこちの路地を歩き回り、それでもみつからず。
いつもの通りに戻ってきた。
「今日もみつかんなかったかぁ・・・」
ため息がこぼれる。
と。
車道を挟んだ道の向こうに、ちらりと見えた。
あれなら、もしかして。
急いで横断歩道まで戻り、見えた方向に向かう。
あれなら、きっと・・・・・
「あったっ!」
やっとみつけた大きなツララ。
これならきっと、雪子が通れるサイズだ。
早く、早く雪子を連れてこないと。
今日の暖かさでは、溶けて屋根から落ちてしまうかもしれない。
家までそう遠くはない。
急がなくては。
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