『陶器の水』
水、透明のようでいて それは確実に 陶器だった
乳白の表面は ただ 波打つこともなく、
どこまでも 続く 遠く
その先に何があるのだろう
何かあるのだろうか
2トーンの景色に囚われた とらわれてしまった
一歩踏み出してみた
透きとおる どこかで聞いたことがある
笛とか ベルとか お皿とかの
なつかしい 思い出の ものがたり
風に なびかせた 髪の
すき間から 通り過ぎていった セキレイたち
きれいな水を さがしてはあちこち 飛び交って
気に入った石に 飛びのり 自慢の
しっぽで 音を鳴らして 遊んでいた
その音たち
サンタが鳴らした ベルのように
とげまみれのイガイガが 落っこちて 割れたときみたいな
大雨が去って 青葉から滴ったときとかの
雪の間から 芽生えた フキノトウ
あるようで ないような
ないようで あるような
私たちの 陶器の水