英国散歩 第13週|ロンドン冬の風物詩・ハイドパークの移動式遊園地「Winter Wonderland」【後編】
前編に引き続き、話題はロンドンの王立公園、ハイドパークで開催中の「ウィンター・ワンダーランド(Winter Wonderland)」。
ようやく本題に入ります。
概要、規模感の説明のあと、現地の写真の紹介、最後にちょっとした感想、という流れです。
※「■料金」が誤って消えてしまっていたため追記。(2021/12/27)
移動式遊園地「ウィンター・ワンダーランド」
開催概要
毎年この時期にロンドン中心部の公園ハイドパークに現れる移動式遊園地、ウィンター・ワンダーランド。
ライド、ショー、スケートリンク、クリスマスマーケット、ストリートフード、バーなど。
冬のフェスティバル要素をこれでもかとギュッと詰め込んだ、ロンドンの冬の恒例イベントです。
まずは概要情報について軽く触れておきます。
■期間
例年、11月中旬〜年明け頃の約1ヶ月半。毎年、この期間のためだけに公園内に遊園地がつくられます。
今年は2021年11月19日~2022年1月3日で、昨年はコロナの影響で中止だったため2年ぶりの開催です。
開園時間は午前10時~午後10時と長め。
■会場
前編で紹介した、ロンドン中心部の王立公園ハイドパーク内に期間限定で設置されています。
■料金
入場料は時間帯によって異なり、0/5/7.5ポンドのいずれかです。12月の予約カレンダーを見ると、大体が5ポンド(約750円)でした。
11月の午前中の入場なら無料の日があったようです。
子どもも3歳以上は大人料金です。
パーク内のアトラクションやショーなどのチケット代、飲食代などは入場料とは別途かかります。大人1名料金では1アトラクション10~15ポンド程度(1500円~2250円程度)となっています。
開催規模
続いて、規模について。
この遊園地、「移動式」という言葉からは想像できないほどに大規模&本格的です。
■広さ
ウィンター・ワンダーランドの面積についての公式情報は無さそうですが、とにかく広いです。
ハイドパークの面積(約140ha)をもとに、ややいい加減ですがマップ上で目測してみると、ウィンター・ワンダーランドの敷地だけで大体15ha程度ありそうです。
実に、東京ディズニーランドの約1/3、東京ドームシティアトラクションズの約5倍の広さ(敷地面積)の遊園地が毎年この時期限定で出現するのです。
【参考】国内テーマパークの敷地面積の例
東京ディズニーランド:51ha
東京ディズニーシー :49ha
東京ドームシティアトラクションズ:約3ha
■来場者数
コロナで開催中止になった昨年を除き、ここ数年は約1ヶ月半の開催期間に約300万人が訪れるという冬の大イベントです。
これがどのくらいの集客力かというと、東京ディズニーリゾート全体(ランド+シー)の来場者数がだいたい年間3000万人(コロナ前)なので、250万人/月。
東京ディズニーランドの1/3程度の面積でこの数なので、その集客力の大きさ、園内の密度感はなんとなく伝わるんじゃないかなと思います。
【参考】国内テーマパークの来場者数の例 ※コロナ前
東京ディズニーリゾート(ランド+シー):約250万人/月(約3000万人/年)
東京ドームシティアトラクションズ:約50万人/月(約600万人/年)
■コンテンツの豊富さ
真冬の寒さ厳しいロンドンでこれだけの人を公園に集めるのは並大抵のことではありません。
これが実現できているのは、まさにそのコンテンツの豊富さによるもの。これについても、常設遊園地に全く引けを取りません。
主要なコンテンツを列挙すると、
・ロンドン最大級のクリスマスマーケット
・100を超えるというアトラクション
・アイススケートリンク
・本格的なサーカス
・ライブミュージック付きのフードスペース
・多種多様なバー
など、1回の訪問では回りきれないほど魅力的なコンテンツがたっぷり。
1つ1つのアトラクションの規模が異なりますが、参考までに、東京ディズニーランド+シーのアトラクション数は合計で79。
単純な数でみれば、仮設のWinter Wonderlandの方が上回っています。
【参考】国内テーマパークのアトラクション数の例
・東京ディズニーランド:44
・東京ディズニーシー:35
・東京ドームシティアトラクションズ:25
■イベント収入
仮に、入場料が一人5ポンドで期間中に300万人が来場すると考えると、単純計算で入場料収入だけでも20億円規模(5ポンド/人×300万人=1500万ポンド。1ポンド=150円として22.5億円)のイベントです。
イベント全体の興行収入としては、これに各種アトラクションのチケット代、クリスマスマーケットや飲食施設等での購入金額が加算されることになります。
公園管理者のThe Royal Parksと、イベント運営者のIMG(元々の運営者であるイベントプロモーター「PWRイベント」を買収)との契約内容の詳細は分かりませんが、2007年の初回から続く人気イベントとして安定した集客数があり、2024年まで契約延長済のニュースもあったため、イベント収支としても良好なものだと推測されます。
なお、イベントオープン前日にはCharity Preview Nightがあり、その日の売上は全額、The Royal Parks charity(主に公園維持管理に活用)に充てられているなど、イベント収入がきちんと公園側に還元される仕組みにも配慮されているようです。
かための説明は以上にして、あとは楽しげなパーク内の様子を写真で紹介します。
ウィンター・ワンダーランド内の様子
感想
冬になるとイギリス各地に現れる移動式遊園地。
今の時期はちょうど冬至を過ぎた頃で、16時前には日没、翌朝の日の出は8時頃と、日照時間が非常に短いです。逆に言えば、それだけ夜が長いということ。
だからこそ、ロンドンの商業エリアではストリートごとに魅力的なイルミネーションが灯り、夜を最大限に楽しむ工夫をしているのだと思います。
Winter Wonderlandも同様。
寒くて長いロンドンの冬をいかに楽しむか。
そして、ロンドン中心部のオアシスである広大なハイドパークをいかに有効活用するかという検討の先に、今のWinter Wonderlandが生まれたのだろうなと感じました。
それと同時に、イギリスで生活をしていると、どんなに寒くても「屋外」で飲食をしたり、長時間滞在できるフィジカル/メンタル(気候、慣習も含めて)を持つ利用者側の存在も大きな要素だなと感じる今日この頃です。
ロンドン冬の風物詩・ハイドパークの移動式遊園地「Winter Wonderland」(前後編)は以上です。
References
Hyde Park Winter Wonderland ウェブサイト
The Royal Parks, ”A magical Winter Wonderland night to support charity”
The Royal Parks, "HYDE PARK MANAGEMENT PLAN" (2014)
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