後脛骨筋腱、腓骨筋腱の障害
みなさんこんにちは!
今回は後脛骨筋、腓骨筋による障害についてやっていきます!
それぞれの筋の特徴
・後脛骨筋
①下腿後面から起こり、舟状骨に停止する。
舟状骨に停止したあと更に楔状骨、載距突起、立方骨、第2~4中足骨基底部の足底面に停止する→後脛骨筋が障害されると縦アーチ、横アーチともに破綻する
②立脚相の足底接地の直前~踵離地までの間に活動する
足底接地直前~立脚中期までは回内している後足部を減速させる
踵離地以降では舟状骨を底屈、内転し距骨下関節を介してショパール関節をロックさせる
また蹴りだし時にも底屈の補助を行う
・腓骨筋
①長腓骨筋は下腿外側近位1/3から内側楔状骨、第1中足骨底に停止する
外側縦アーチを引き上げる、立位時には第1中足骨を引き上げることで内側縦アーチの保持を補助する役割がある
長腓骨筋腱の牽引時には横アーチが高まり、後脛骨筋腱の牽引が起こるとその作用は強くなる
②腓骨筋群は立脚中期前半~足尖離地の手前まで作用する
立脚中期前半には長・短腓骨筋の協働により足根骨を固定し、中期後半には長腓骨筋の作用により中足骨が固定され推進期における荷重負荷機能を果たすための安定性を得る
踵離地以降は長腓骨筋は推進機能としての足関節底屈を補助、短腓骨筋とともに過剰な足部内反の抑制に働く
また踵挙上に伴い、前足部の外側から内側への体重移動を補助し、対側下肢の立脚初期の開始に役立つ
・短腓骨筋
①腓骨外側面の遠位2/3から起こり、第5中足骨粗面に停止する
長腓骨筋と同様に外側縦アーチを引き上げる作用がある
腓骨筋腱は外果後方では1つの腱鞘内に長・短腓骨筋腱が存在するが腓骨筋腱滑車部では別々の腱鞘に分けられる
後脛骨筋に関連する障害
①シンスプリント
・脛骨内側中下1/3のやや広い範囲での運動時痛、圧痛を認める
・足部の回内接地に伴う内側縦アーチの低下により、ヒラメ筋や後脛骨筋が過伸張や過収縮することが原因で生じるといわれる
・内側縦アーチの低下はショパール関節によって起こるが、ショパール関節の回内は後脛骨筋の回内によって助長されるので後足部、中足部の確認は必須である
②後脛骨筋機能不全(PTTD)
・急性外傷やオーバーユース、全身性疾患に続発する滑膜炎や腱変性に伴う後脛骨筋の筋力低下、後脛骨筋腱の機能不全や疼痛がある状態をいう
・骨性因子→外脛骨との関連
軟部組織性因子→バネ靭帯損傷との関連
血行性因子→内果の約1㎝遠位で約15mmにわたって血管分布のない領域があり、この部位が血行不良に陥り、腱が壊死断裂を起こす
急性外傷性因子→外傷後から後脛骨筋腱に沿った疼痛が持続した状態でどんどん腱の変性が進んでいくこともある
後脛骨筋へのストレスの原因
・足部アーチを支持している靭帯の破綻や足部内在筋の機能低下などに伴う内側縦アーチ、横アーチの低下による
・踵骨外反→後足部レベルの内側縦アーチの低下
舟状骨高が低下→中足部レベルの内側縦アーチの低下
・力学的な点では荷重下では床反力は足関節外側を通る場合、足関節に外反モーメントが起こる
これに拮抗する形で内力として内反モーメントが起こり、回外筋である後脛骨筋の筋活動が増大する
もう一つは内側縦アーチの低下が起こる回内運動を繰り返すことにより、内側縦アーチの低下を防ぐ後脛骨筋が過剰に活動する
腓骨筋に関連する障害
①腓骨筋腱鞘および腱炎
・運動などによるオーバーユースによって発症する
・足関節内反捻挫などによる外側側副靭帯損傷などにより起こる足関節不安定性が関係していることが多い
・外果後方~下方に圧痛と運動時痛を認める
・長腓骨筋腱は腱性部が長く急なカーブを通る部分が多いので、脱臼や断裂を起こしやすい
・停止が第1中足骨底にあることから母趾列の弛緩性により引き起こされることもある→第1中足骨の強制背屈により疼痛が起こる
・短腓骨筋腱による第5中足骨付着部炎は陸上競技やサッカーなどで靴による圧迫が原因で生じる
腓骨筋へのストレスの原因
・局所的にみると外果後方、外果下~踵骨の腓骨筋滑車部における圧迫が考えられる
・足部の過度な背屈や回外による腱部の伸張、立方骨や足の母趾列の弛緩に対するアプローチが必要
・後足部の内反、中足部の舟状骨高が高くショパール関節の回内の柔軟性が不足していれば、回外による腱部の伸張が起こる
・回外が強いと踵離地以降に足部の柔軟性低下により、補償する形で筋活動が増加する
・回内足の場合でも後足部の外反に伴い距腿関節は背屈しやすくなるため、踵立方関節や母趾列も弛緩しやすく腱部の伸張が起こる
・力学的な点では荷重下において床反力が足関節の内側を通る場合、足関節には内反モーメントが起こる
それに拮抗する形で内力として外反モーメントが起こり、腓骨筋群の活動が高まる
・また内側縦アーチが高く足部が回外位を呈して小指球荷重の場合、母指球荷重にするために腓骨筋群が過剰に働く
・片側立位においては上半身が足部より内側にあれば状態を保つために足部は回外により支持基底面を外側に移動させる→腓骨筋群が過剰に働く
障害に対しての介入
トレーニングやテーピングなど様々な介入があるが、ここではトレーニングについて解説する
①非荷重下でのトレーニング
・疼痛に応じて求心性、等尺性、遠心性へと収縮形態と負荷を上げていく
・ゴムチューブを使ったトレーニングでは下腿を固定し股関節の回旋動作が起きないように内外反を行う
・下腿三頭筋の筋力低下が起こると、腓骨筋に対しては下腿の前傾の制御する作用が低下し足関節背屈が強制されることで腓骨筋に伸張性の負荷が加わる
後脛骨筋に対しては距骨下関節の回内による内側縦アーチの低下が繰り返されることで後脛骨筋に伸張性の負荷が加わる
・足関節最大底屈位にした状態での内外反の等尺性収縮を行う方法もある(最大底屈では下腿三頭筋の収縮力は低下する)
・後脛骨筋、長腓骨筋は前足部の横アーチを補助しているため、剛性の低下した足部や内在筋の機能低下をきたすと両筋は過活動が起きる
そのため、タオルギャザーや内在筋トレーニングも重要である
②荷重下でのトレーニング
・動作中の収縮としては遠心性収縮が重要になるため、ヒールレイズは効果的である
座位→両脚支持→片脚支持へと段階的に負荷を上げていく
・ヒールレイズをより高負荷で行うには前足部にボックスなどを入れた状態で膝関節屈曲位、前足部支持、最大底屈位で最大背屈位までゆっくりヒールダウンを行う→これはheel cord障害においても効果的である
・ヒールレイズ時は足趾屈筋による代償(クロウトゥ)や、外側荷重(小指球荷重)による回外が強くなっていないかなどの確認を行う
足部以外のトレーニング
座位や立位での体重移動トレーニング、スクワットやランジ系のトレーニングを組み合わせながら全身の運動連鎖を促していく
いかがだったでしょうか。
足部でも特に大事になってくる筋肉なので、しっかり抑えておきたいですね!
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