アキレス腱炎、足底腱膜炎について

こんにちは!

今回はアキレス腱炎、足底腱膜炎について考えていきます!

ではいきましょう!


構造

①アキレス腱

・腓腹筋とヒラメ筋の腱が一体となり共同腱として踵骨隆起に付着する人体最大の腱である


・加齢により伸張性が低下する


・アキレス腱には腱鞘がないため皮膚との摩擦を軽減するパラテノンがアキレス腱周囲に存在している→パラテノンはアキレス腱を保護し、血管から栄養を補給する

②足底腱膜の構造




・線維性結合組織で構成されている


・縦方向線維は踵骨隆起前内側突起から基節骨底および底側人体との間に張り足底の縦アーチの保持を担っている


・足底腱膜は踵骨を介して下腿三頭筋と繋がっており、下腿三頭筋は踵骨を介して足底腱膜に繋がる→足底腱膜の張力は下腿三頭筋に影響を及ぼす


・立脚前~中期では足趾屈筋とともに緊張を高めながら、アーチを保持し衝撃緩衝を行う


・立脚中~後期では下腿三頭筋の踵骨の回転とともに緊張し足部剛性を生み出す


また踵離地時に足趾伸展が起きウィンドラス機構によりアーチを形成し、推進力を生み出す


他にも足底腱膜は接地時の衝撃を背側に位置する筋や神経、血管を保護する


病態

①アキレス腱炎



・アキレス腱周囲の慢性的な痛みは踵骨後部滑液包炎やアキレス腱皮下滑液包炎、アキレス腱炎、アキレス腱周囲炎、アキレス腱付着部症炎などがある


・アキレス腱周囲の慢性的な痛みは動作時のメカニカルストレスやマルアライメント、量的因子が関与する


・アキレス腱炎はジャンプ動作やランニング動作で繰り返される下腿三頭筋の遠心性と求心性収縮により、筋緊張を増大させアキレス腱の微小損傷を起こす→修復過程で腱の弱化・硬化や変性などを起こす


・アキレス腱は比較的血行が乏しいため、微小損傷が起きると治癒までに時間がかかり慢性化しやすい


また変性による軟部組織の滑走性低下が起こりやすい

②アキレス腱炎の原因

・後足部のアライメントが原因の一つであるため、leg heel アライメントを評価する→非荷重と荷重位で評価する


・leg heelアライメントが増大することにより回内足となり後脛骨筋や足部内在筋の機能不全が起こりやすくなる


・アキレス腱は外側凸の構造をしているので、動作時に後足部が回内することで大きな伸張ストレスが加わりやすい


・knee-in toe-outを呈する場合は回内足を招き内側アキレス腱に牽引負荷がかかる


・逆にknee-out toe-inの場合は回外足を招くため、外側アキレス腱に牽引負荷が加わる


・足底腱膜の硬さや背屈可動域の減少はアキレス腱のメカニカルストレスを引き起こす


・足底腱膜の牽引力増大は踵骨を後方傾斜させ、アキレス腱をストレッチさせる→アキレス腱と踵骨後上隆起部で滑液包の圧迫力が増大し、踵骨後部滑液包炎の原因となる


・アキレス腱へのストレス増大させる歩行として立脚期後半に背屈位での蹴りだしによるパターンと、過度な底屈モーメントによって生じるパターンがある
前者は足部の柔軟性が高いことが多く、後者は足部が硬いことが多い

③足底腱膜炎

・足底部中央と踵骨隆起内側の付着部で圧痛を認めることが多い

・踵接地や立脚中期~踵離地時に疼痛を認めることが多い


④足底腱膜炎の原因

・3つのパターンと原因がある


①立脚中期に足部内在筋の機能低下により内側縦アーチの低下がおこり足底腱膜が伸張されるパターン


②立脚後半に早期に踵離地が起き、蹴りだしの足趾伸展が過度に生じて足底腱膜が伸張されるパターン


→下腿三頭筋の柔軟性低下によるアキレス腱の牽引力増大も踵離地を早期化させ踵骨を前方傾斜させ、足底腱膜に伸張ストレスを与える


③踵離地が遅延することで背屈が強制され、足底腱膜が伸張されるパターン


・踵離地が遅延することで身体に及ぼす影響は


①立脚中期~後期では身体重心前方移動は小さくなり、上下移動が大きくなる


②立脚後期のCOGの下方移動が大きくなる


③COPの床反力作用点は立脚中期までは前方移動が早く、相対的に立脚後期には前方移動が遅くなる


④立脚中期~後期にかけて股関節伸展角度、屈曲モーメントは小さくなる傾向がある


・立脚後期ではアキレス腱や足底腱膜は足関節底屈モーメントとMP屈曲モーメントを発揮し、COGを上方へ持ち上げる作用や下方の移動ストレスを抑制する作用がある


→踵離地が遅いほどCOGの上下移動が大きくなるということは、足関節底屈モーメントやMP屈曲モーメントに負荷が加わる


・また踵離地が遅れると股関節屈曲モーメントが不足することで足関節底屈モーメントやMP関節屈曲モーメントが過活動を起こす

歩行分析の3つのポイント

①COP

leg heel アライメントが増大している場合はCOPが内側に加わるので下腿内側に張り感を訴える


また踵離地が遅い場合はCOPが後方に残るのでMP屈曲、足関節底屈モーメントが強く働き、アキレス腱や足底腱膜へのストレスが増大する


②足部・足関節の荷重肢位

足位、前足部内外反・内外転、leg heelアライメント、横アーチの沈みこみなどの評価を行う

③COG

COGは下半身重心点と上半身重心点によって規定される
上半身重心点では体幹の評価、下半身重心点では股関節の評価などを行う


評価・動作分析

①立位での足踏み動作

足踏み動作は歩行や走行の立脚前半相の動きと関係している
評価項目としてはCOP、足位、前足部内外反・内外転、距骨下関節角、leg heelアライメント、横アーチの沈みこみ、大腿骨の回旋角、体幹アライメント、身体重心位置などの評価を行う


②片脚バランステスト


③歩行・走行動作

立脚前半相と後半相でわけて評価を行う


・後方からの評価


立脚中期以降の身体重心の移動をとらえたうえで、COP、足部・足関節肢位、踵離地の時期、体幹アライメント、股関節伸展可動域を評価する
後半相の身体重心が後方に偏位していると、立脚終期~遊脚前期でのCOPは後方に偏位したりする


・前方からの評価


横アーチの沈みこみ、前足部内外反、足関節底・背屈角、下腿・大腿の回旋・傾斜、体幹アライメント、身体重心を評価する

④荷重位での評価

knee-in、knee-outテスト、片足ジャンプテスト、片足スクワットテストなどの荷重位での評価を行い疼痛や違和感が増悪、または軽減する方向などを評価する


徒手介入

①アキレス腱の滑走性向上

アキレス腱に対してダイレクトストレッチを行う


②下腿三頭筋のストレッチ


③足底腱膜の滑走性向上


運動療法

①足趾エクササイズ

立脚後期の足趾伸展運動、足関節底屈運動が適切に行え、COPの前方移動が蹴りだしに使えるように内在筋の機能向上を獲得する


②股関節屈曲筋エクササイズ

股関節屈曲筋の機能低下や伸展可動域が低下すると足部での代償が起こるため、股関節屈曲筋の求心性・遠心性収縮を行う


③体幹の機能改善




いかがだったでしょうか。

後脛骨筋やアキレス腱は足部で重要ですが、その分ストレスを受けやすい組織です。

臨床でも遭遇する機会は少なくないと思うので少しでもお役に立てれば幸いです!


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ではまた✋

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