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文系不要論と社会科学者が本来すべき仕事

 最初に書こうと思ったのが英語で文系・理系に相当するのがArtsとScienceだ。ところが今時の美術ArtsはScienceなので意味不明なってしまう。美術・音楽の理論の中身は数学と物理学満載の科学になっている。例えばアイレベルの話は球面幾何学だから大学数学の範囲、オクターブは周波数が2倍、1/2倍の指数関数。そもそも波の合成自体が三角関数と物理学。教科書や参考書は、かなりわかり安く書いてあるけど中身は三角関数と物理で構成されている。数学と物理学を意識させずツールとして使いきっている世界。だから文系はもはや人文オカルトだと言い切った方がいいのかも。美学と音楽だけが人文科学。

 ついでに何が言いたいか書いておく。要不要論じている暇があったら生き残りの方法を考えろ。その理由は、人文系の消滅は予想以上に早い。しかもその動きに対して日本が一番遅いのだ。幸か不幸か文系諸氏が英語が理解出来ないので危機感もかなり薄い。

 国税を投下する教育は人材への投資である。つまり投資に対してはリターンがなければならない。本来の社会科学はそのような研究を行うはず。つまり事実は、文系不要論ではなく文系不採算論だ。要するに援助を切るだけなので独立採算で利益を上げれば良いだけの話。国公立はともかく私立は独立採算で黒字を出さないとおかしく国の補助金を貰って存続するのは憲法89条に抵触している。

 取りあえず、以下を計算して考えるのが仕事。

  生涯年収 ー 教育コスト ー 福祉コスト ①

 ①が>0ならば国が教育に税金を投下する意味があると言う事になる。<0なら国が投資する意味が無い。自分の金でやらせる(国は補助金を出さない)国が補助金を出さないだけで潰れる学問は、役所のハンコ押し見たいな学問だな。これらは平均値で求めれば良い。そもそも投資と言うもの勝ちと負けがあり、そのトータルをプラスにするものだ。

 例えば、医者は平均生涯年収が6億あるので、教育コストが億を超えても、>0になって元が取れる。金持ちが金積んで医学部に行く理由がここにある。途中、脱落者が出るかも知れないが総和は>0だ。自然科学の基礎研究は、個々のリターンは少ないが当たるとでかい特徴がある。例えば量子力学。実はこれが無いとコンピュータが作れない。トンネル効果を処理しないと微細な半導体は動かず、SSDも存在しない。その結果、リターンは1000兆円を超える。失敗するプロジェクトが1万あろうが1つで充分お釣りが来る分野だから投資が行われる。

 それでは国外に目を向けよう。アメリカは兵隊になれるぐらいの教育しか保証しない。なぜなら連邦政府の仕事は本来、国防と外交だけだから国防に必要な兵隊の面倒までしかみない。そして福祉や教育は州のお仕事になる。その中身は州ごとに異なる。特に、キリスト教保守は教育は民間でするものと言う考えが根強く国にやらせない。これらを連邦政府にやらせようとすると共産主義者と叩くのだ。そう言う根底があるため、学生の方も上級国民でもなければ生涯年収が低い学部などわざわざ選ばない。だから文学、哲学などの学科は潰れまくっている。まさにザ・資本主義。社会からはじき出された人文系諸氏は、LGBT、BLMを叫び、社会問題のドラッグや医療費からは目をそらすWokeとなりゾンビさながら徘徊している。むしろ害悪になっているので文系有害論すら出ている。

 ヨーロッパではこの部分が大幅マイナスになる学科があって、文学、哲学、つまり人文系。人文不要論はこれが根底にあることを忘れてはならない。若年層は文系の失業率が20%超えているに対して、理系は3%前後、つまり理系が税金を払っている間、文系が国から金を貰って生活していることになる。これでは、あまりに不公平だし不採算だから文系に金を出せないと言う話になる。なぜなら大学の選択は病気や障害と違い自己判断によるもの。さらに不況ならともかく、好況時に大学の選択を間違えて就職出来ないのは自己責任だ。日本が不況の最中もヨーロッパは好景気だった、それでも文系の失業率が高すぎる。つまり要らないと言われて仕方無い背景がある。

 そういうわけで学生を減らしているのが現実だ。要するに文系に投資すると不採算と言う現実に基づく判断にすぎない。ここで言えるのは、教育に対するリターンは将来の税収に反映される。税金が減れば福祉も教育もままならなくなる。そのような自分のクビを絞めるマネなどしたくないと普通は考える。財務省や文科省のお役人で無ければ。文科省に教育が将来の国に対する投資と言う概念が存在しないから滅茶苦茶な科研費のバラマキが行われるし、財務省は補助金を減らすことしか考えない。

 こいつを学部、学科、属性ごとに算出すると<0になる学科は自分の金でやれと言う話になる。教育は、プライドだけが高く社会の訳に立たない人格破綻者を食わせるための福祉ではない。大学卒業した後に、就職するために国が事業所に金を出すなら無駄な負担になる。それこそ大学の補助金は不要だ。

 ところで教育コストは計算しやすいが、福祉コストはどのように計算するのだろう?その部分が社会科学のお仕事じゃないかな?それ以前なら経済学の範疇。幾ら稼ぎが多くてもメンタルを壊し、リタイアが多い仕事なら構造に何か問題があるわけで、そのための教育に投資しなければならないだろう。勤続年数を伸ばすのはリターンを伸ばすためには必要だし、簡単にメンタルを壊す仕事しかなけば却って福祉コストが増大することになる。そこに人文系が生き残れる余地があるかも知れない。しかし、それを数値=金銭に変換できなければ感情論やオカルトで終わってしまう。こと日本に於いては理系より低い総合力、応用力などと言う能力を比較しているからオカルト極まり無い。あのあたりは、専門学校化している海外の大学での総合分野と専門分野の対比の文脈で使っているだけ。この専門化、既に文系の分野でも起きているので金持ち向け私立とそれ以外の大学との対比だぞ。アメリカにおいての専攻別失業率トップはマスメディア専攻、二番手がリベラルアーツ、三番手が人類学、四番手が哲学。つまりマスコミが一番不要だった。五番目に建築があるが、この業界はリーマン・ショック(2009年)の影響が未だ残っている。リーマン・ショックでサブプライムローン(低所得者向けの住宅ローン)が壊滅し建築需要が1/4にしぼんだ。そして未だにリーマン・ショック前の水準まで回復していない。

 それはともかく、例えばアメリカの場合、教育コストに治安維持の概念が全く含まれていない。だから、歪な資本主義になり、人文系Wokeがゾンビさながら彷徨いている。教育により治安が上昇するなら治安維持コストが下がるから投資の意味はある。なぜならば、治安維持コストが減らせ、犯罪者の更正コストも下がるため全体の福祉コストは下がる。Woke大州カリフォルニア州などは貧困層の医療費と犯罪者を放り込む刑務所の予算だけ破産しそうだから教育に回す金が十分にない。そして教育費や生活費の高騰に耐えきれない中産層が逃亡している。サンフランシスコからは20代後半の白人男性の1/4以上が逃げ出し、人口は8%以上減少した。より安いベイエリア郊外に移住したのはまだマシな方で、一部は、シアトル、オースティン、メキシコに逃げているのだ。このような都市設計に失敗し、政治家が腐敗しきっている都市を教育により犯罪率を日本並みに減らせるならこのコストは恐らく半分以下に減らせる。

 そう言う社会設計を行うのが社会科学だ。しかし、日本には、社会学詐欺師はいても、社会学者がいないから期待するだけ無駄。特にTwitterはオカルトばかりで絶望しか流れてこない。

 戦後日本の教育は分厚い中産層を育成する教育政策だったが、21世紀には入ると世界に通用しなくなっているので、日本の教育のスキーム全体を見直しする時代に入っている気がする。

 文系有用論だが、概ね論点がおかしい。何がおかしいかと言うと粛清対象が有用論を叫ぶ点。人文知に学んだら役人や文系学者は粛清対象だ。中国史は、官僚と外戚・宦官の暗闘の歴史なので参考にすると良い。なぜこうなるかと言うと旧弊・既得権益が国益を害すからだ。皇帝は旧弊を排除するために対抗勢力を重用し、旧弊を粛清していた。その状態が固定すると国家が腐敗し、崩壊することを繰り返している。三国志演義では、袁紹が宦官を皆殺しにしようとしている。これは後漢が宦官・外戚に権力が集中していたからだが、実はその逆も行われている。なぜこの部分が注目されないかと言えば、中国の正史は全て官僚に都合の良い様に改竄されているからだ。例えば、明の洪武帝は20万とも30万とも言われる役人を粛清し、その力を奪った。洪武帝の行動原理は国民が疲弊させる要因を排除することなので、役人が国民を疲弊させているから粛清したのだろう。その変わり力を付けたのが宦官になる。この宦官は時代が降ると旧弊になり国民を虐げるようになる。そのため、清朝では宦官が政治から排斥された。宦官が排斥されると官僚が実権を持つと思うが、実は、官僚も政治から排斥されたままだった。なぜなら満洲人が政治を行っており儒学者(今で言うところの人文学者)を政治から丸ごと排斥したからだ。中国史最良の善政はこうして生まれたのだ。儒学者は、する事が無いので、古典の読み下しばかりやっていたのだ。これが清の考証学の正体だ。この仕組みは乾隆帝時代までは上手くいったようだがそこからおかしくなったようだ。時代と共に旧弊に変わり、西太后と言う怪物を生み出すことになる。毛沢東も、この人文知にならったのかは知らないが文化大革命により、知識人を粛清した。コレにより旧弊人文階級が絶滅した。変わりに入ってきたのが江沢民、習近平と言う理系官僚だ。ヨーロッパでも同じ事が起きている。フランス革命は、聖職者と言う旧弊官僚を粛清し、聖職者を見つけ次第ギロチン送りにしたものだ。代わりにエリート学校出身の官僚に置き換えた。

おまけ:

 マスゴミ、左翼が大好きな韓国の大卒就職事情(2017-2020)

求人倍率 0.56 126.4万(就職口) / 223.4万(卒業数) 

以下は推定値

理系  1.03 85.8万 / 83.3万
文系 0.28 40.6万 / 140.1万

 スペックに数学と物理がないとどれだけ積んでも就職先がない。これだけ酷いのに文系が根こそぎ潰れないのはおかしい。市場原理が働いてないのかな。

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