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アイヌ語は方言じゃない

こんばんは!!北海道産青森県民のMitchionです!!

みなさんはアイヌ文化を知っていますか?

最近はゴールデンカムイのヒットやウポポイの開業などで北海道に縁がない方にもその存在を知っていただけるようになっています。

ちなみにゴールデンカムイは私も大好きです。

シリアスな展開やゴリゴリの戦闘シーンもある一方でたまにやってくるしょーもない小学生レベルの下ネタやアシㇼパさんの変顔など、とにかく緩急とそのバランスが良くて楽しい作品です。

そんな流行も相まって着々とアイヌに対する理解が広がっているようには感じますが、たまに間違った解釈をされた方もいらっしゃることも事実です。

私は北海道に産まれた者として正しくアイヌの存在を知って欲しいと思っていますので(尤も私だって勉強中ではありますが)、皆さんが勘違いしてそうなアイヌのことを書いていこうと思います。

その勘違いのひとつが今回のタイトルにもなっているアイヌ語です。

アイヌ語それ自体を悪く言う人はかなり少なくなったイメージですが、アイヌ語を「アイヌ弁」と勘違いしている方は結構多いです。

おそらく悪気があってそういう言い方をしている方はいないように感じはしますが、正しい理解をしていただくことがアイヌの方々への最大のリスペクトになりますので、アイヌ語は独立した言語だということを覚えて頂きたいです。

「いやお前が住んでる青森の方言だって結構すごいじゃねえか」などとよく引き合いとして津軽弁を出されますが津軽弁とアイヌ語では事情は違います。

津軽弁は大和言葉に端を発する日本語系の言葉です。

そのため、一般的な日本語(以下一般語と表記)を訛らせたような発音の語彙が多く、文法体系はほとんど同じです。

ただ、アイヌ語は違います。

日本語からの借用と認められる語彙もありますが、明らかに独自の語彙が多く、日本語とは別物でないと説明がつかないようなものがほとんどです。

特に否定文が顕著ですが、文法体系も違います。

極めつけはアイヌ語に文字がないという事実です。

現在カタカナで表記しているのは、アイヌ語の発音を「とりあえずカタカナで置く」という感じであり、ローマ字に置き換えられていることもしばしばあります。

そういう意味で明確に日本語と区別があるのです。

また、区別できる理由はもうひとつあります。

それは両者の文化の違いです。

いきなり話が飛躍したような感じがありますが、言語というものはそれが話される場所や人々の文化、思想を示しています。

身近なもので言うと英語の感情動詞が他動詞であるということです。

日本語では「びっくりしたー!!」という表現も英語だと"I'm surprised by your prank!!"という表現になるでしょう。

感情というものが自分の中から湧き上がってくるようなニュアンスである日本語に対し、英語は明確に外部の要因があるから感情が動かされるというポリシーのもと、その感情を抱くことになった原因の物事を記述しなければいけないのです。

これを日本語と英語で区別しやすいもので言うと「神」というものの考え方です。

アイヌ語では「カムイ」なんて表現します(これは日本語の「神」からの借用だと言われています)。

日本語で神と言うとすごくありがたいもの、立場が圧倒的に上で畏れ多いものという感じですが、アイヌはあくまでイマジナリーな存在という意味でカムイを認識しています。

そういう意味で、カムイに対しても対等な立場を取っているのがアイヌです。

イオマンテという儀式があります。

熊の霊送りとも言われますが、これは熊の肉体に身を包んだカムイがその毛皮と肉をプレゼントとして持ってきてくれたことに対するお礼の儀式です。

そこでアイヌは対価としてイナウ(幣)と呼ばれる供物を捧げ、そのカムイはいい気分でカムイの世界へと帰っていきます。

イナウはカムイ的には多く持っていれば持っているほど力をつけ、徳を増していくという意味がありました。

さらにイナウはカムイには作る技術がないとされ、アイヌから貰うしか入手手段がなかいので互いにwin-winなんです。

カムイもそんなイナウを貰ったら嬉しいのでまた来ようなんて思うわけです。

更にはカムイの世界で「この前行ったあそこのコタン(村)はめっちゃ手厚く迎えてくれてイナウたんまりくれたぜ!!」なんて言ってしまえば口コミのように広がっていくようなこともあるらしく、何度も肉や毛皮を持ってアイヌたちの前に姿を現すわけです。

思ったよりも結構対等な関係ですよね?

普通に物々交換って感じがします。

更に究極はカムイも地獄送りをくらうことがあるということです。

私も日本の文化を知り尽くしている訳では無いので、日本の世界観ではなかなかないのではないでしょうか?

例えば人喰いグマです。

カムイの魂を宿したものと言えども、人を食い殺すという行為はアウトです。

というわけでそういうカムイはウェンカムイと呼ばれ、テイネポㇰナモシㇼという何も無い湿原地帯に放り込まれます。

このテイネポㇰナモシㇼこそがアイヌの世界の地獄です。

舌を抜かれるみたいな派手なことをされる訳ではありませんが、ジメッとしていてただただ何も無い場所で虚無感とともにずっとそこに居なければいけないというジリジリと精神を削るタイプの地獄ですが、悪いことをすればカムイだって普通にここに送り込まれます。

そういう意味ではカムイと神は全然違いますよね?

そういう思想の違いがあるからこそ語彙にも違いが出るし、言語が違うとも言えるわけです。

そういうわけでかなり話を散らかした感じがありますが、今回の記事はここまで読んでいただきありがとうございました!!

PS テイネポㇰナモシㇼ、個人的にはなかなか秀逸な世界観だと思います。こっちの方がちゃんと反省しそう。

※私はアイヌの専門家ではありません。正しいことを知って欲しいなんて堂々と言ってますが、もしかしたら間違ったことを話していることが多いかもしれませんので、そこはご容赦ください。

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