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システム開発と客先常駐

他業界の話は新鮮で面白いと思うことが多いのですが、同業他社の話は「それウチも!」と同意したり、参考になることが多かったりします。

勤務先で客先常駐者の「帰属意識」について話題になることが増えてきたなと感じていたタイミングで、久保悟さんが「客先常駐者に対するマネジメント」を投稿されたので頷きながら読むことができました。

私の勤務先では、離職者数が増えている要因の1つに客先常駐者の帰属意識の低下があるのではないかと話題になっています。

「人売り業」と揶揄されることもあるITベンダー界隈では、客先などの他社で働くことが頻繁にあります。設計やプログラミングといったシステム開発を主業としていても従業員の3割位は客先に常駐しています。なぜ客先(社外)に常駐する必要があるかというと、企業向けのシステム開発では、システム化に向けた顧客業務習得(案件切出し)、システム稼働に必要な環境構築、システム導入・テスト・運用・保守の支援など、システム開発の前後で客先でなければできない作業があるためです。これはIT業界の中でも消費者向けに汎用的なアプリケーションやサービスを提供するIT企業とは異なります。

常駐時の契約形態は請負契約、派遣契約、出向など案件・目的によってさまざまで、期間も数日程度から数年と案件によって異なります。稀ですが客先に行ったきり自社のシステム開発業務に携わることなく定年を迎えたという方もいらっしゃいます。

居心地

客先に常駐する際は、自社よりも規模が大きく有名な企業に常駐することが多いため、綺麗なオフィスや福利厚生が充実した快適な職場に憧れてしまうことがあります。

これが、短期間であれば、自社に戻った際に目が覚めて「客先は肩身が狭いな」「自社の方がくつろげる」など自社の居心地の良さに気づくことが多いのかもしれません。

ところが、常駐期間が長くなると、顧客と打ち解け、憧れの職場が普通の状態になる代わりに、自社が物足りなく見えてくることがあります。
それどころか、自社に対して居心地の悪さを感じることも出てきます。たとえば、

  • 久しぶりに帰社したら顔見知りが少なくなっていて部外者扱い。

  • 常駐者が自社内システムにアクセスできず情報格差が生じる。

  • 社内便が届かず期限超過、かつ、受け取れなかった本人が叱責を受ける。

  • 顧客からの評判が良いからといって自社で評価が高いとは限らない。

といったものがあげられます。1つ1つは細かい不便や違和感であっても積み重なると帰属意識が段々と低下していくようです。

話が逸れますが、上司から「常駐者視点での自社の改善点や顧客の良い所を自社でも取り入れたいので提案して欲しい」という要望を受けて行う話であっても、伝え方とタイミングに気を付けなければ、自社批判していると捉えられることがあります。「助言」って難しいものですね。

隣の芝が青く見えたり、自社が疎ましくなったりしてくると、転職を考え始めるきっかけになります。そして、賃金などの数字に目が行きだすと転職サイトなどに煽られることも出てきます。

転職や独立は悪いことではないのですが、今後も一緒に働きたい同僚や成長が楽しみな後輩がいるのであれば、その方の帰属意識を高める取り組みが必要です。社内外問わず自社の居心地の悪さや不満を解消していく必要があると思います。

そこで改めてですが久保さんが記事内で書かれている「帰属意識を高めるためにはどうしたらよいか。」の項がとても参考になりました。私の勤務先でも「帰社日の設定」や「定期的な訪問」といった取り組みを始めた部署はあるものの、「社内メンバとの交流会」などはイベント自粛でむしろ減っている気がします。コミュニケーションの機会を増やして社内外の理解を深める取り組みを考えてみたいと思います。

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