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IT支援で気を付けたいと思うこと

中小企業診断士が行う中小企業向けのIT支援では、いちからシステムを開発することは少なく、既存のITサービス導入をアドバイスすることの方が多いと思います。
私はシステム開発を行う会社に勤務しています。システム開発とITサービスの導入では毛色が違うものの苦手意識はありませんでした。ですが、どちらかというと得意だと思っている分野だからこそ注意しなければならないことをタガックスさんの記事を読んで再認識しました。内容が重複しますが、私が改めて気を付けたいと思った点を記事にさせていただきます。

先ずは、なんでもシステム化すれば良いというものではない点です。
システム開発を行う会社ではシステムを作って売ることが主事業なので、従業員も自然と「顧客の課題をいかにシステム化で解決するか」を考えることが習慣化されています。
そのため『中小企業診断士』として支援を行う際は、IT企業の従業員としての助言が求められているわけではないということを意識しなければなりません。そうしなければ、思考がIT化に偏重してしまい他の解決策を見逃してしまう可能性があると感じます。ヒト、モノ、カネといった他の解決手段があるかもしれませんし、伝統、文化などアナログに部分に価値があったり相性が良いことも考えられます。
そもそも、システムエンジニアだった私が中小企業診断士に興味を持った理由に「システム以外の課題解決策を学びたい」があります。そのことを改めて思い出させてもらいました。

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次に、良くも悪くもIT業界はハヤリものが大好きで、横文字・略語を使いたがる傾向にある点にも注意が必要だと思います。先端の技術をいち早く活用しようという風潮自体は良いことですが、外から見るとITが難解なものにみえてしまいがちなのではないかと思います。試験でも経営情報システムは他科目に比べて特に横文字が多かったように思います。
技術職を離れて5年になるのですが、技術部門で交流に使用されているチャットを久しぶりに見てみたら、かつて聞いたことのない単語が飛び交っていて焦りました。
開発手法やツール、言語なども次々と新しい術が登場しては消えていくので、2年も経つと「いまどき、そんな昔のツールで開発するのは辛いよね。。。」と言われてしまう世界です。

ギョーカイ人が使っていたという「しーすー」「ちゃんね~」や意識高い系の方が多用する「ブレスト」「PDCA」などが独特の言い回しのため巷でネタにされているのを見かけます。
IT業界も世間からは同様に滑稽な集団に見えているのではないかと思うことがあります。私も意識せずに日常会話の中で「デフォルト」や「マージ」といった単語を混ぜて使ってしまい「どういう意味?」と聞き返されたことがあることを思い出しました。普段使っている言葉がいつも誰でも理解してもらいえるというわけではありません。格好よく纏まっていても伝わらなければ意味がない。

話は変わりますが「社会人基礎力」という言葉をご存じでしょうか。経済産業省が2006年に提唱した「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」だそうです。私は社会人になったのが2005年だったためか40を過ぎた今頃になって初めて知ったのですが、最近では学校教育でも取り上げられているそうです。
現在、勤務先で学生(内定者)向けに社会人基礎力をテーマにした教材を製作しており、その中で「聞き手や読み手に応じて単語や表現を変えることも必要です」と偉そうなことを書きながら自分が出来ていなかったことに苦笑してしまいました。新社会人に後ろ指をさされないように自身も研鑽したいと思います。


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