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労働生産性


受験生時代に理解しきれず棚上げしていた「労働生産性」について再度調べてみたけど、やっぱり理解しきれなかったという恥ずかしいお話です。

中小企業診断士の1次試験は範囲が広いため、気になった用語や不明点について調べ始めると、芋づる式に不明点が出てきてキリがなくなることがあります。そのため、後で調べ直そうとストックしていた用語がいくつかあります。結局、試験合格後は放置していたのですが、ニュース解説を聞いていて、引っかかる話がありました。

ニュース解説(抜粋)

・日本でも物価の上昇が続いている。
・賃金が上がらないと生活が苦しくなる。
・日本の賃金は諸外国に比べて伸び悩んでいる。
・「労働生産性」も諸外国に比べて伸び悩んでいる。
・賃金を上げるには労働者一人一人が生産性を高める必要がある。

この解説で生産性ではなく「労働生産性」という用語が使われていたので反応してしまいました。「経済学・経済政策」や「中小企業経営・政策」で登場した用語なのですが、後で見直そうと思って放置していたのを思い出しました。

経済学で「労働生産性は従業員1人当たりの付加価値」と紹介されていて、実際にはどのように算出するのだろう?と気になっていたのですが中小企業白書で以下のような式があります。

労働生産性
=付加価値 ÷ 労働投入量

{営業純益+役員給与+従業員給与+福利厚⽣費+⽀払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課+役員賞与+従業員賞与}
÷
{従業員数×労働時間}

この式を見ると。
賃金を上げれば、労働生産性が向上するのではないか?
日本の労働生産性が低いのは賃金水準が低いせいなのではないか?
そもそも原資がなければ賃金は払えないからやはり生産性の向上が必要か?
労働分配率を上げることで賃金は上げれるのではないか?
などと考えだしたら生産性と賃金の関係が整理できなくなり、後で調べようと棚上げしていました。

今回、労働生産性とは?と改めて調べたことで知ったのですが、付加価値の算出には「中小企業庁方式」や「日銀方式」など複数のパターンがあるそうです。
また、国際比較でよく利用されるOECDの統計では付加価値としてGDPを利用し、労働⽣産性=GDP÷就業者数になるようです。

冒頭のニュース解説を聞いた時は画面を見ていなかったので不確かですが、国際比較を持ち出していたのでOECDのデータを紹介していたのではないかと思います。
そうすると、1人当たりGDPが他国に比べて低いという話に言い換えれます。
GDPともなると日本人の性格(安全志向・貯蓄性向)、政府支出、貿易収支といった様々な要素が影響するので、この労働生産性のみをもって個々の日本人労働者の生産性が低いとは言えない気がします。

そして、
「労働生産性を上げると賃金が上がる」
または
「賃金を上げると労働生産性が上がる」
という関係が成り立つのかは理解することができず、再びテキストを閉じました。
私のリテラシーが足りていないだけかもしれませんが、経済学は統計によって定義が違うし、データをこじつけている印象があって仲良くなれないみたいです。

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