見出し画像

確定申告の思い出

確定申告の季節ですね。
最近では副業解禁といった世の中の流れもあり確定申告を行う方が増えているのではないかと思います。
私は、卒業後と同時に従業員として企業に勤めることになったので、長いこと確定申告とは無縁のまま過ごしていました。給与明細や源泉徴収票の見方もよくわかっていないサラリーマンがサラリーマン以外の道への憧れから軽い気持ちで個人事業主を始めてみたら、思っていた以上に確定申告が大変だったという話を書かせていただきます。

■給与明細も理解できていない

社会人として働き始めた頃は、確定申告どころか給与からの源泉徴収や年末調整の仕組みも理解できていませんでした。
月末になると銀行口座に給与が振り込まれていることは確認するものの、給与明細の内容までは確認できていませんでした。
明細に書かれている項目の意味や計算方法が分からず、学生時代のアルバイト代は時給×時間で分かりやすかったなぁと懐かしんでいたくらいです。
一般的な職場のことは存じ上げませんが、新人時代に勤務していた職場では給与のことを質問してはいけないという雰囲気があり、空気を読まずに同僚に質問したら「他人に給与明細を見せるものではない」と教えていただき、職場で明細の見方を聞くことは控えるようになりました。

確定申告2

■源泉徴収票も読めない

最近は学校教育の中で教わるのかもしれませんが、私は学生時代に確定申告や源泉徴収、年末調整の仕組みを教わった記憶がありません。
「社会人なのだから何でも教えてもらえると思うなよ。自分で調べろ!」という時代だったためか会社でも積極的に納税や控除の仕組みを教えていただく機会はありませんでした。
とはいえ会社に源泉徴収の仕組みは備わっているので、秋になると会社から年末調整の案内が届くので該当する書類がないことを確認するくらいはしていました。
そのような無知な新人にも年末調整で払い過ぎた税金が返ってくる制度があることを親切に教えてくれる存在がいました。そうです、生保のお姉さんや住宅販売のお兄さんです。
控除の制度については丁寧に説明していただけたのですが、給与明細や賞与明細の金額を足し合わせても源泉徴収票と一致しない理由を尋ねても明確な回答は得られませんでした。

■初めての確定申告

初めて確定申告を経験したのは住宅ローン控除の初回手続きのときです。専門用語だらけで難解な手順書を片手に、電卓を叩いて計算した申請書を税務署に直接持ち込みました。
税務署を訪ねたこと自体が初めてだったのですが、確定申告のために税務署を訪れている人の多さと申告の補助をする人の多さに驚きました。
事業を営まれている方は確定申告を行う必要があるので、当たり前ではあるのですが、サラリーマンとして過ごす中では触れることのなかった風景に新鮮さを感じたのを覚えています。
また、当時はe-Taxも使われてなかったので、今年からCMで宣伝されている「スマホで確定申告」を見ると時代の変化を感じます。

電卓2

■個人事業主として確定申告

住宅ローン控除の手続きから10年くらいは確定申告との縁がなかったのですが、40歳を目前にサラリーマンとは異なる生活への憧れと、簿記に慣れたいという思いから確定申告を行うことを考え付きました。
中小企業診断士の勉強を行う中で苦手意識の強かった科目の1つに財務会計があります。その中でも特に簿記一巡の流れは予備校の授業を聞いても上手くイメージできず、仕訳から決算整理まで自分でやってみたいと思っていました。
そんな折、東京ビッグサイトで行われていた展示会の帰りに怪しげなアンケートに呼び止められ、後日詳しい話をしたいというアポイントの誘いにのってみたら、不動産投資への勧誘でした。
今なら誘いにはのらないし、銀行からの融資も出ないと思いますが、まだ「かぼちゃの馬車」の問題がニュースになるよりも前の話で、私自身も不動産投資に興味があったため、勢いで投資を始めてしまいました。
不動産投資を行うだけであれば株式投資などと同様に開業や複式簿記までの必要はありません。しかし、簿記の勉強がてらという目的があったので中小企業大学校で開催されていた「確定申告セミナー」に参加し、その後、開業届と合わせて青色申告承認申請を税務署へ出すところから確定申告の準備を始めました。

お金1 - コピー

■確定申告をやってみて

当初の目的どおり、仕訳から帳簿の作成までを行ってみたことで財務会計への苦手意識が薄れました。
簿記一巡のイメージができただけでなく、減価償却の効果を実感したり、複合仕訳や事業主貸勘定といった診断士試験では登場しなさそうな実務に近い知識が得られるなど、プラスになることは多かったです。長期借入金と長期未払金の使い分けなど、自分で実際に仕訳をやってみないと身に着かなかっただろうなと思います。おかげで中小企業診断士試験も財務会計で足切りされることなく合格できました。
その他にも、それまで見ないふりをしていきた源泉徴収票の見方を学び直すきっかけになったり、会計ソフトの自動記帳に挑戦したり、e-Taxを使用した申告に挑戦したりと、時間と手間はかかったものの良い経験になりました。

ただし、他人からの勧誘やノリと勢いで投資を始めるのはお勧めしません。人が勧めてくるくる投資に美味い話はない。そんなおいしい話があれば自分でやる。というのが現実で高額な授業料の社会勉強で終わりかねません。
また、開業や青色申告も申請書を出すだけで始めれる簡単さはあるものの、勤務先との関係や失業時の失業保険給付など注意が必要な点もあります。

お金1 - コピー2

■仕訳の自動化は道半ば。

私生活においては、金融機関と連携しているクラウドサービスの家計簿を利用しており、現金以外は自動で記帳できています。
そのイメージがあり会計ソフトでも自動記帳や自動仕訳に期待していたのですが、思っていたよりも手動での作業が多くなってしまいました。
原因の1つに、銀行口座やクレジットカードを私生活用と事業用に分けないまま始めてしまったということがあります。銀行口座やクレジットカードのWebサイトと連携することで入出金の記帳は自動で行われるものの事業用だけを抽出するのに手間がかかります。
また、入出金時は取引がサマリされているため仕訳を手動で行う必要があります。たとえば借入金の返済は通常まとめて記帳されますが、元本と利子で勘定科目が異なるので手動で分解する必要があります。
すべて手作業で行っていた時代よりは技術やサービスが格段に向上していると感じますが、FinTechの発展する余地もまだまだ残っていると感じます。

■手間をかけずに確定申告できる未来

当初は楽しみながら取り組んでいた会計帳簿の作成も、最近は事務手続き感が先行して後回しになっています。そこで今年は昨年までとは別の方法を試してみようと思い、金融機関口座の連携を使用せず、仕訳までをExcelで整形し、会計ソフトにインポートする方法を施行中です。

少し話は変わりますが、実務補習で訪問した飲食店さんは、手数料を節約するためにレジのPOS機能を解約し、店を閉めた後に店主の奥さんが手作業で仕入れや売上の集計をされていました。

キャッシュレス化やデジタル化を進めるには、手数料や資金繰りなどの解消しなければならない問題もあるものの、手間をかけずに会計処理や確定申告が行える未来が待ち遠しいです。

桜2


この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?