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JKのパパはツライ Vol.74

「期待していることを言わないからだよ」
妻からそう言われた。

娘であるJKの彼女は日々のほとんどが不機嫌だ。(私の前だけ?)
電車通学の彼女を最寄り駅まで妻が朝晩送り迎えをする。朝は6時に家を出る必要がある。

妻が辛そうな時には私が送迎する(私は運転が下手)。その時に大抵娘は後部座席へ。
タクシーと同じ扱い。彼女はお客さんだ。

だが、ここ数回は珍しく助手席だった。
でもでも、昨日は後部座席。駅についても

「ありがとう」と感謝のひと言もない。


私は男2人兄弟で育った。女の子のことはよく分からない。いや男のこともよく分からない。
けど本当に難しい。女心。

なんと声をかけるべきか?

声をかけないべきか?

威厳のある父親の如くどっしり構えていればいいのか?

私にはよくわからない。

この春に就職した長男はとても素直。
2人のギャップに驚く。
どっちがいいというわけではない。分かっている。


瀬尾まいこさんの
『そして、バトンは渡された 』を読んだ。

3人の父、2人の母、血の繋がらない親の間を「リレー」され、水戸→田中→泉ヶ原を経て、現在は4人目の父親 森宮壮介と暮らす17歳、高校2年生の主人公・森宮優子が成長していく様子を描いている。

wikipediaより

久しぶりに一気に読み。
文庫本で432ページ。あっという間だった。

あらすじだけを聞くとものすごく不幸な子を思い浮かべる。しかし全然そんなことはない。全編通して温かい。

登場人物が互いに相手を思いやる。
そして思いやるがゆえに
『血の繋がりがない』壁が立ちはだかる。


主人公「優子」と娘を重ねながら読みすすめた。

優子は次へ次へと環境が変わる中、どう立ち回るかを自分なりに会得したつもりだった。しかし、

「不器用じゃん」と指摘される。

誰しも器用に立ち回っているつもりが、実はそうではないのかもしれない。

物語では食べ物の描写 、音色の描写がとても印象的。湯気が立ち上り「ふわっ」と 鼻をいい匂いがかすめてきそうな表現。

音の表現も聴覚を刺激して心地の良い印象を受けた。


中でも現在の父である「森宮 壮介」
彼がいい。素晴らしい。親近感がわく。

著者の『瀬尾 まいこ』さん。
女性であるのになんでこうも、男性でその上ややズレている、不器用な男心を絶妙に巧みに表現できるのか?


生みの親、育ての親、何が本当の親なんだろう?
血のつながり?絆の深さ?

私は親になれているのだろうか?

結婚するのは簡単だ。
子供を作るのも簡単だ。

私は思う。

親になるのは 一番難しい

私はまだまだ子供だから。
子供から学び、子供と共に学ぶ。

すこしは親になれているのだろうか?

私には自信がない。

ただ一つだけ確かなことは
娘にとって私はたった一人の父親ということ。


今朝の送迎は私。
助手席に座った彼女。

ありがとう

目も合わさず降りて行った。

「いってらっしゃい 」心の中でつぶやいた。

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