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香りではない。「におい」から思い出す映画。昔を懐かしむには、まだはやいのかも… と思いつつたまに思い出に浸るのも悪いものではないかも… 映画『スタンド・バイ・ミー』 Vol.56

苦衷を抱えていた私が自分を見つめ直したことで、最近は人と接する機会がわりと増えてきた。初対面の人と対峙したときの儀式、通過儀礼?そう、「自己紹介」。

『香り』を楽しむ方がわりと多い。優雅。
『香り』というフレーズ。『香り』というとシャレた感じがする。香水やフレグランス、アロマとか。
私はといえば、「匂い」いや、『におい』の方がしっくりくる。
土のにおい。緑のにおい。人の家のにおい。部室のにおい。

映画「スタンド・バイ・ミー」は『におい』を感じる作品だ。
田舎町が舞台となっていて、地方暮らしの私は劇中の風景を見ると、緑のにおいや土の埃っぽいにおいが頭にうかぶ。

1987年公開の映画「スタンド・バイ・ミー」原作はスティーブン・キングの短編小説「死体」。少年時代のちょっとした冒険ドラマ。 オレゴン州の小さな田舎町キャッスルロック。それぞれに家庭の問題や心のキズを抱える4人の少年たちが、町から30キロほど離れた場所に列車の轢死体が放置されているという噂を聞き、死体探しの旅に出る。

死体を探し出し有名になりたい
そんな動機から冒険ははじまる。

冒険を進めていく上で4人それぞれの悩みや葛藤が語られていく。
少年たちは世界の広さを知らない。それは当たり前。いま置かれている場所が、自分の全てだと考えてしまうのは大人も同じ。視野が狭くなり広い世界に気付けない。気が付かない。悩んでいる人の多くはそうだろう。

人は人生の中で多くの出会いや別れをくり返して大人へ成長していく。少年・少女時代のエピソードに忘れられない出来事が誰しもあるはず。

私は小学生時代、隣町の小さな本屋さんへ月に1回ひとりでバスで出かけてた。片道20分ぐらいだろうか。昼間はバスが2時間に1本と、壊滅的な交通事情だったので帰りは徒歩で帰っていた。

徒歩での移動は当時の私にとって冒険だった。 早く帰りたいがために、人通りのない近道を歩く。ある日にはドーベルマンほどの大型犬に追いかけたり、また別の日には不良に呼びかけられたりした。

今振り返ると、犬小屋の何とも言えないにおい。不良少年のタバコのにおい。
思い出にの中に「におい」も組み込まれていた。

4人組のリーダー格「クリス」はやがて逆境を乗り越え猛勉強の末、弁護士になる。
物語は主人公「ゴーディ」が「クリス」の死を報じる新聞を目にするところからはじまる。クリスが亡くなった原因が、昔と変わらず正義感が強いがゆえの喧嘩の仲裁が原因だったことを知る。
クリスを演じた俳優のリヴァー・フェニックスは薬物中毒により、23歳の若さでこの世を去った。

一方、主人公たちの行く手を阻む、ものすごく嫌なやつ、不良グループのリーダー役「エース・メリル」のキーファー・サザーランドはドラマ「24 -TWENTY FOUR-」でロサンゼルス支局の捜査官、ジャック・バウアーとしてテロリストと戦い大人気となる。 

役と役者は関係ないが、2人の運命を見るに数奇な運命を感じざるを得ない。

今の若者は知らない映画かもしれないがぜひ見てほしい。

さっき子供が妻の枕を使うふりをして、枕のにおいを確かめていた。
私は…と言うか、私の家族は愛犬の肉球の香ばしいにおいをみんなで嗜む。
これも遺伝の影響?不思議な感覚をおぼえる。



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