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「日本とアメリカ、両国内の分断を明解に説いた大作!読め!!」 『日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略』深田匠(ふかだたくみ)高木書房


(6月24日記)

本書のテーマは、「日本国内の歪んだ思想・信条を持つ勢力と、その主張、及びアメリカに存在する二つの異なった政策・外交の実態」でした。

著者は、『安倍晋三元総理追悼論』(高木書房)をあらわした深田さんです。
これについてのレビューは6月19日付でアップしています(※クリックで記事に飛びます)ので参照して下さい。
大変な好著、名著です!

安倍さんの本もぎっしりと文字が詰まっていましたが、本書も1ページに50字かける22行、589ページ、通常なら3冊ぶん以上、原稿用紙でなんと1600枚にはなる「超労作」でした!
このエネルギーと、少しでも多くの事例を入れようとする情熱と読者への誠実さ、訴えたいという魂の叫びがひしひしと伝わってくる書でした。
初版は平成16年と、19年前ですが、皆さんに政治・メディア・外交・国防をかんがみる上での基本教養、基礎知識として必須のことばかりなので、自信を持っておすすめします!
それにしても、この凝縮のされ方は驚異的でした。

目次の一部をざっと紹介すると、

マスコミが報じないイラク人質事件の真相
北朝鮮の対日戦略
謀略と工作を暴く!
中共の対日戦略
日本弱体化戦略
世界覇権を狙う中共の野望
反日憎日に狂奔する中共!
日本の国家戦略
国益を忘れた日本の漂流と没落
「もう一つの安保」を忘れてはならない
2030年からの警告
国家崩壊を導く奇型マルクス主義の蔓延まんえん
国防アレルギーは滅亡への道
米国の国際戦略
「アメリカ」は二つ存在している!
米国二大政党の異なる対日関係史
イラク戦争の真の開戦理由とは
アメリカVS北朝鮮
ブッシュの靖国参拝成らず!
誇りの記憶を取り戻せ
世界を変えたサムライの国
アジアの平和を保つ日本の核武装
亡国の外務省と日本の迷走
祖国をむしばむ内なる敵を斬る
日本再生への道
憲法・歴史観・政界再編
さらば自虐史観

などとなっていました。

まず、深田さんが国内において最も啓蒙、訴えたいことは、戦後のGHQと、GHQにびた共産主義者ら左翼の捏造した、「何でも日本だけが悪い」「日本は侵略国だ」という誤った歴史観に囚われ、ひたすら中国・北朝鮮・韓国の言いなりになっている自虐史観、反日思想から脱せよ!ということです。
これは何年も書いてきましたが、私の望むことと同じです。

私は、是は是、非は非としてフェアかつ正直に見た上で、日本人としての考え方、捉え方、思想を土台とせよ、と書いてきました。
大東亜戦争では、徹頭徹尾てっとうてつび、「正義一辺倒」の国は一つもありません。
愚かな左派、いや、保守にもいますが、100%正義でなければ、一点でも汚点、瑕瑾かきんあらば正義ではない、正しくないという白か黒かの二元的思考はあまりにも幼稚です。
もっとも、そう考えなければ、日本を非、悪の国とできない史実があるがゆえでしたが。
戦争とは相手があってのことですから、双方の行為を相対化して見なければなりません。

本書では、戦後の日本が、偏向した近現代史観によって、中国・韓国・北朝鮮にどれだけ貢いできたのか、いかに国益を損なってきたのか、類書にはない程、つぶさに叙述されていました。
この詳しさ、深さは、深田さんの真骨頂しんこっちょうです。
日本の主権を犯し、無法に国民を拉致した犯罪国の北朝鮮に対し、与野党の議員、左派メディア、左派勢力が何をしてやったのか、本書では具体的事例を列挙しています。
拉致などないと言い張った社会党の土井たか子をはじめ、自民党の野中広務ひろむ、他にも無惨な対応で、ひたすら利権と私欲のために行動していました。

北朝鮮は、地下資源の宝庫とも言われ、金正恩がまともな人間だったなら、国を平穏に統治し、外資を導入し、資源を利用した経済立国も可能なのです。
トランプ大統領と安倍総理の間では、拉致問題を解決できれば、日本が1兆円レベルの金を出し、日米の企業を主として、資源を利用した産業開発も考慮していたのです。
もっとも金正恩、核を放棄しないでしょうから、難しい案件でしたが。

中国には一方的に貢いでは、恩を仇で返され、まともに相手にされなくなりました。
安倍総理になって、やっと中国も日本の顔色をチラチラと窺うようになったのも、安倍総理が外交を二国間の点と線ではなく、アメリカ、他国も巻き込んでの「面」として構築し、ダメなものには毅然とノーと告げたからです。

ODAにしても、日本の総額の30%も中国に投じてきました。残りの70%を中国以外の約180カ国に投じているという、極度にいびつな構造です。
深田さん、その数字もしっかり入れています。
ODAの予算配分、外務省でやっているので、中国語の研修を受けて「親中国」のチャイナスクールが強いだけあって、特別扱いです。
チャイナスクール、総じて反日の外交官、官僚の集団です!売国奴、国賊とも言えます。
中国が声高に主張する日中間の歴史も虚飾、ウソに満ちたものなのに、歴代政権は安倍総理誕生まで、否定も修正もしていません。
日本には、今の林外相という愚劣な人をはじめ、中国のハニートラップ、マネートラップ、利権のために国を売る政治家がごまんといます。

深田さんは、安全保障・国防においても単に軍事のみならず、食料・水まで触れていました。
本書の刊行から19年、その状況はいささかも改善なく、悪化しています。
近時では自給率38%ともされているものの、これは外国から輸入した飼料で育てた家畜も含まれているので、純国産となると20%を切ると言われているのです。
私たちの口に入る食物の5分の4がなくなるということで、皆さん、よくよく考えて下さい。
自分で家庭菜園、鶏を飼って卵を産ませている知人もいますが、大半の人は何もしていませんね。
水も同じで、森林崩壊がそのまま水不足につながる他、中国が水を目当てに日本の森林、山を買いあさっています。

中国、食料も自給では全く足りず、主食を含め、大輸入国になりました。そのため、海運のシーレーン、非常に重要になったのです。
日米豪印のクアッド、プラス英仏独などがその気になって、中国のシーレーン封鎖をすれば、石油・食糧の入らない中国、大ピンチです。機雷を中国近海にばらまくだけでいいのですが。

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