思い出したように金沢へ行ってみたらしい
それは10月20日のこと。
私は思い出したのです。
――あ、富士茄子見に行かないと!🗻
天下三茄子のうち、九十九茄子と松本茄子を移転前の静嘉堂文庫美術館で見ておりまして、残る富士茄子を見て三茄子制覇したい!! というちょっとした願望を叶えるために、10月22日にやってきました、金沢市!!
新幹線で一本、乗り換えなしで行ける場所。前に来たのはコロナ前なので……およそ4年ぶり。
とりあえず目指すは石川県立美術館……といいたいところだけれど、こんなにお天気なんだからお散歩しつつ、寄り道しつつ。
ぼんやり歩いてたどり着いたのは金沢城公園です。
気持ちのいい青空と、秋めいた景色。思わずここ数日の仕事でのモヤモヤが飛んで行きました。去らば、モヤモヤ🙋
折角来たのだもの、櫓内も見学しなくては!
梁が立派!! 廊下が長い!! 楽しい!!!!
やっぱりお城っていいなぁ、と再認識🏯
さて、お城からちょっと進んで、目的の石川県立美術館へやってきました。
なにやら、人が多い気が。富士茄子ちゃん、めっちゃ人気じゃん!! と思ったのも束の間。
こ、これは……
若冲だ。若冲がいる……!!🐔
去年、東京芸術大学の博物館でやっていた「日本美術をひも解く」という特別展で、若冲の人気っぷりは体験済みです。……まじニワトリ🐔
富士茄子は常設展なので、特別展を見るかどうするか……
まぁ、見ないという選択肢はないに等しいんですよね。これも何かの縁、折角だから見ていきましょう!!
というわけで、三の丸尚蔵館が所蔵する……つまりは皇室と加賀藩に所縁のあるものが並びます。
展示室に入って最初に展示されていたのは、ただ一文字、「忍」と書かれた掛け軸。書は後水尾天皇だそうです。
後水尾天皇と加賀藩2代藩主の利常の共通点、それが、江戸幕府2代将軍、秀忠の娘を妻として迎えている点。後水尾天皇は似たような事情を抱えた利常に「お互い、堪え忍ぼう」とこの字を贈ったのだとか。
……まぁ、うん、そうか(感想)。
その隣に並ぶのは同じく後水尾天皇から利常に贈られた菅原道真の掛け軸。天満宮が完成したお祝いだったそうで、、、描かれている道真は、左遷されて復讐を誓う憤怒の表情……
お祝いのタイミングにそれチョイス?!?
もう後水尾天皇の執念みたいなものが怖いよ。幕府のこと嫌いすぎない? 紫衣事件とか色々あったのは分かるけど!! 重くない?? 重すぎない???? 利常さんどういう気持ちなん??????
という感じで、最初の二つでこの特別展に引き込まれました。掴みって、大事だね、何事も🤔
同じ部屋には他にも、俵屋宗達や狩野探幽の屏風や、某刀剣擬人化ゲームにもいる京極正宗をはじめとする刀剣が展示されておりました。
特に、探幽の源氏物語を描いた屏風は色彩豊かで綺麗でした。利常の娘、富姫が八条宮智忠親王に輿入れする際の品とのことで、なるほど。輿入れの際には東福門院和子(後水尾院の中宮)の養女になって、というのを経ているそうで、前田家と後水尾院の繋がりの強さをひしひし感じました。
第2展示室に場所を移して、ここでは絵巻物、そしてお待たせされました若冲です。
天満宮の縁起を描いた絵巻物がちょっと印象的。
菅原道真がやってきたのは比叡山延暦寺。
「邪魔をされては困る!」と祟る気満々の道真さん。対して延暦寺の僧は「朝廷から頼まれてるんだから仕方ないだろう!」と。
石榴を口にした道真が種をピュッと飛ばすと、種がたちまち燃えましたとさ。
道真、マジで怒ってるじゃん((( ;゚Д゚)))
ちなみに、この話から道真は「石榴天神」だなんて呼ばれることもあるそうな。へぇ、そうなの。
次の瞬間には清涼殿に雷落ちてたけど⚡
掛け軸といい、巻物といい、今日の道真は何だか随分とオコですね。
さてさて、お次は円山応挙の動物勢揃いの屏風です。コロコロしたイッヌがかわいい🐶
鹿、犬、猫、虎……本来なら1つの画面にはおさまらないシチュエーションですが、何ともみんなほのぼのしていて、とても平和な空間が広がっていました。イッヌかわいい、イッヌ🐶
そのお隣で堂々たるオーラを放つニワトリ軍団。きたな、若冲……。
若冲のニワトリはリアルなせいで、幼稚園児の時分の、鶏舎で追いかけられたおぼろ気な記憶が甦るような、そもそもそんな記憶が本当にあったのか……🐔
それはそうとして、若冲の動植綵絵は裏彩色という技法のお陰で画面全体が柔らかくなっている? そんな話を昔、東京芸大の展覧会の時に説明がありました。そういう一手間があって、ニワトリがより鮮明に……やっぱり目がリアルで怖い
ニワトリ軍団に別れを告げて、特別展の第一部のほとんどが終了。
今回のこの特別展は、お隣の工芸館との共同開催とのことで、後半部分はお隣への移動が必要。
ということで、やっと茄子のターン🍆
……と、その前に、仁清の雉さんとこんにちは。
この部屋のみ、写真撮影ができるとのこと。
はてさて、満を持して富士茄子とご対面です。富士茄子をじっくり堪能しました。
もう、かわいいの一言に尽きる🍆
元々は足利将軍家に伝わり、義輝から曲直瀬道三に渡り、それが信長の手に渡り、本能寺で信長が亡くなると曲直瀬道三のところに戻ってきて、道三の孫の代に北野の茶会があってそれに出て、秀吉に献上され、秀吉から前田家に渡ったという……方々色々回ってきたのね、富士茄子ちゃん。
コロンとした富士茄子ちゃん、まさかのポストカードすら売っていない現実に、泣く泣く展示案内の看板の写真を撮るレベル。かわいいでしょ?
やることは終わった! と常設展を出ることなかれ。俵屋宗達の屏風がありました。
そういえば、一説には石川に所縁があるとかなんとかな俵屋宗達。こうなると一度も見かけない七尾市出身の長谷川等伯が恋しい。
金地に墨で竹が描かれた槇檜図。なんとなく柔らかい風を感じそうな枝葉が優しいなぁと思ったり。
特別展で並んでいた扇面散屏風とはまた少し違った雰囲気……雰囲気程度しか分からないです。
さてさて、折角なので特別展の後編を見るべく隣の工芸館へ向かいます。
もう、工芸品については「わー!」「すごーい!」というくらいの残念な感想しかない。
さて、一通り特別展も楽しんで、帰りの新幹線まではまだ時間があります。どこへ行こうか?
……と思い歩いていると、何やら神社を発見。神無月だけれど、ご挨拶はしておこうと参拝。
主祭に菅原道真がいらっしゃいます。
完成時に、あの、憤怒の道真を贈られた天満宮とは別物のようですね。青空と朱と緑が映える、よき場所でした。
少しお散歩しよう👣
ということで、兼六園を突っ切るルートを選択。観光しながら、目指そう「ひがし茶屋街」!
空いてる券売所にて入園券を……買いません。
金沢城の五十間櫓との共通券を購入済みなのです。
苔をみて、傾いた秋の日に照らされた柔らかい緑に包まれて……気づけば時間は15時を回り、お腹もすきだすこの時間。お昼ごはん食べ損ねてた🤦
というわけで、園内でちょっと休憩。
あんころ餅、美味しいー!!
お茶が体に染み渡るー!!
こんな感じでまったりな時間を過ごしました😌
日帰り旅の割にはゆっくりしている今回。
時間があれば金沢三文豪の文学館ハシゴとかしたかったけれども……こうなったら仕方ない。兼六園でまったりするに限る。
それにしても、流石は秋晴れの兼六園。お客さんが多い。そして飛び交っている多国籍な言葉たち。徽軫灯籠で写真撮ろうと並ぶ列の8割くらい外国人さんでは? という感じ。
まぁ、綺麗なものとか名物とか写真スポットとか、そう言うものに惹かれる気持ちに国籍は関係ないのよね、ということで、お一人様並びます。
誰かに撮ってもらうというより、自分が撮りたいだけ😌
むしろ虹橋渡りたかっただけでは? というスピード感。並んでる時間の方が圧倒的に長い🙌
日が傾いてきたので、そろそろ次を目指しましょう。
てくてくと歩き、道を間違えたことに後から気づき、ちょっとばっかし遠回りをしながら、着きました「ひがし茶屋街」
もうすっかり、夜ですね。
ここで何かしようという計画もないので、写真を撮るためだけにやってきました。本当ならお買い物とかするのだろうけど……これでおしまいです。
何か夕御飯を食べながら帰りたい。
そう言えば、前回来たときに市場の立ち飲み屋さんみたいなところで食べた「のどぐろ」のお寿司美味しかったなぁ……
駅方面へ歩いていると、泉鏡花の記念館近くで「バス停どこにあるか知ってますか?」と、和装のおば様に声をかけられました。
スミマセン、旅ノ者デス……
話を聞けば、駅まで向かわれるとのこと。
更に聞けば、おば様は今日、太鼓を見に来たとのこと。
……そういう世界も、あるンだなぁ
富士茄子ちゃんのために来た私が言える立場ではないんですけれどもね。御陣乗太鼓か……新幹線を使って、それを見るために金沢までくる人がいるという事実に、新しい扉が開いた気分。
そして、御陣乗太鼓の由来を調べて、ちょっと気になっちゃったりする単純さ。
話に花が咲き、バス停で待つこと約10分。バスがこない。バス停が違うのかしら?
待ってても仕方ないか、と言い出したのは私の方。
知り合ったばかりのおば様と、タクシーに乗り合わせ駅へ。
……あれ、夕御飯の計画何だったっけ? と思い出したのは駅についてからでした😇
袖振りあうも多生の縁。
旅先でのご縁は夕御飯なんかよりも大事なのです。
おば様と分かれて、さて、夕御飯どうしようか🤔
新幹線でお弁当食べるのでもいいんだよなぁ
駅構内をグルグルグルグル2周ほどして、見つけたのは立ち食い蕎麦屋さん!!
これだ!!
白えびのかきあげが乗ったお蕎麦! ちゃんとその土地っぽいものを食べたので、とても満足😳
今回も楽しき、よき旅でした。
2023.10.22