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【 経営 / マネジメント 】移動年計グラフでトレンドを抑えて早めに対策せよ!

年計という言葉はあまり聞きなれないかもしれない。しかし経営者やマネジメント層は年計を使うことがとても重要と私は思う。

1.年計とは

よく使われる言葉に「累計」がありこちらは多くの人が知っているはず。売上や粗利など単月の数字をどんどん足していくものだ。その数字をグラフ化するとだんだん右肩上がりに増える。そして12ヶ月の決算最終月の累計数字がその1年間の数値となる。この数値の意味するところは結果。結果の記録は確かに必要だが経営ではその数値だけでは不十分。必要なのは数値から読み取れる未来予測だ。それを可能にするのが年計。これを使いこなせば会社の今後の趨勢、トレンドが読み取りやすくなる。

2.年計数値とグラフ

まず年計数値の出し方を紹介する。例えば1月からスタートする会社の売上年計を考えてみる。
1月100万 2月100万 3月150万 4月150万 6月50万 7月50万 8月100万 9月200万 10月150万 11月200万 12月50万 とすると合計1300万円
この1300万円が俗にいう累計数値だ。これをグラフにするとだんだん右肩上がりのグラフが出来上がることはイメージできるだろう。

累計は1月~12月までを足した12か月間。年計はここからだ。次の1月に150万だったとしよう。すると年計は【1回目2月~2回目1月までを足した12か月間の数値】を取る。よって1350万となる。同じように2回目の2月100万 3月250万だとすると2回目3月の年計は、【1回目4月~2回目3月の12ヶ月間】の数値を取って1400万となる。2回目4月が50万なら同じ計算で1300万だ。

式で言えば
  年計値 =(11ヶ月前数値+10ヶ月前数値+・・・・+今月数値)

簡単に言えば、今この時点から過去12ヶ月の数値を足したもの。すると上記例のように12ヶ月までは累計=年計だから右肩上がり。13か月目からは売上が前年同月とほとんど変わらない推移をしていたらだいたい横ばい。昨年対比より増えていたら緩やかな上昇。逆なら下降。これをグラフ化したものを移動年計グラフと言う。

このグラフの形の変化からわかることは、下降傾向だと放っておけば今後売上がさらに減っていく可能性を示唆し、上昇していると売上がさらに増加していく傾向であると言える。横ばいは事業が成長していないということ。これで未来の趨勢を予測できる。私の感覚では2ヶ月連続で下降していたら結構ヤバい。早めの対策が必要だ。

3.結局移動年計グラフが表していることはなに?

結局このグラフが何かと言うと、突発事項や季節変動を抜きに1年間のトレンドが視覚的に表現されている。例えば決算月に追い込んで数字を作ったとか不測の事態で営業部隊が動けなかったなどの内部事情、商品によっては季節の影響で売れ行きが大きく変わるなど、それらの数値を単月で見ていては経営上の正しい状態が把握できない。

年計の場合、常に1年分の動きを見ているので個別事情に影響されないトレンドを確認できる。これが移動年計グラフの優れた点。これを会社の会計科目全てでやれば毎月過去12ヶ月で年次決算をしているのと同じことになる。これらの数字のトレンドを読むことで早めに対策を打つことが可能になる。

今回は売上を事例に書いたが、粗利、広告宣伝費、集客数などでも同じことが言える。移動年計グラフを使って感覚ではなく事実の数字により自社のトレンドを客観的かつ視覚的に捉えることは経営者、マネジメント層の重要な情報となる。

 

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