HSPにとっての会社での”仕事”って業務じゃなくて対人関係とセルフメンケア
初就職で務めた会社では、朝は9時に出勤して18時に退社。
残業はほとんどなくまぁ普通にホワイト企業。
小さな会社の支店だったので、マンションの1階の一室にデスクが島になって6つほど並んでそこにひとりひとり座るような形だった。
社長は部長などは外出が多いため居たり居なかったりだが、ヒラ社員たちはお昼休憩以外ほとんどこの部屋にこもりきりだった。
都会のおしゃれなオフィスとは違いBGMも流れていないので、2、3人になったときのシーンという音すらうるさいくらい静かだった。
タイミングよくオフィスに自分ひとりしかいない時間というとの時々あった。
ひとりきりになった瞬間にやっと呼吸ができる感覚がとんでもなく気持ちよかった。
周りに人がいないというだけでこんなに息がしやすいなんて。
この初就職の会社はわりとホワイトな会社だったが、それでも会社という組織に所属したのはここが初めてだったため、学校とはまた一味違う、他人と同じ空間にいることの苦しさはここで初めて知った。
その後、いろいろな組織を渡り歩いた中で、HSPでない人にとっては難なく過ごせる状況でも自分には本当に耐えらえないものだったということをまとめてみる。
上司とずっと同じ空間にいるのが無理
普通に仕事をしていて、まだ何もミスなどをしないうちから何か怒られるんじゃないか、指摘されるんじゃないか、と1分1秒ずっとアンテナがはりつめている状態になりとにかく疲れる。
仕事遅いって思われてないかな、今日の服、この人(上司)的には仕事に着てくる服装じゃないとか思われてないかな、など絶対そんなことないのにずっと監視されているような気持ちになったり、機嫌が悪くないかなどを気にしてしまう。
ちなみに、後輩となら同じ空間にいてもわりと平気で、監視されているとも思わなくなる。
年上や上司の立場の人でも平気なのは、忙しくて、または完全に自分の世界に入り込んでいるなという感じの人だ。
要するに上司か部下かという基準よりも、自分に注意が向いていて自分に何か指摘をしたり、心の中で何かネガティブな評価をするのかどうかが基準となるのかもしれない。
電話対応を聞かれるのが無理
電話が鳴り、その場に数人いる中で私が受話器を取ることになった場合、電話口の向こうの相手よりも今こちら側で同室にいる人たちの目や耳ばかりが気になってしまう。
敬語の使い方や感じの良い話し方は心得ているつもりで、来客対応や電話対応は好きな方だ。
それでも、話し方や声のトーンはこんな感じでいいかな、出来る人ぶってるって思われてないかな、逆に子供っぽいって思われていないかな、電話対応上手だなって思われてもそれはそれでなんか恥ずかしいな、なんて思っていたら自然と少し吃ってしまったりする。
良く思われても悪く思われても「外用(そとよう)」の自分に切り替えて会話しているところをとにかく聞かれなくない、どうか社員同士でおしゃべりでもして私の対応が耳に入らないような状況になってほしい、などと願いながら口を動かす。
ひとりきりで誰にも聞かれていないのならストレスなくできるのに。
お昼休憩を一緒に過ごすのが無理
パソコンから離れ、上司からも解放される唯一の脳をOFFにできる時間であるお昼休憩。
この時間を同僚といっしょにランチに出掛けるという行為に充てられる人はもはや自分とは別の人種なのではと思ってしまう。
休憩時間くらい周囲の環境から切り離され、ぼーっと思考停止したり自分との会話だけをしていたい。
数ある動物の中で人間を人間たらしめる能力、それはコミュニケーションだったり会話だったりの意思伝達能力なのではないかと思う。
8時間の労働時間のうちたった1時間の貴重な休憩時間に、誰かを会話をしながら食事をするというそんな高等機能を無意識にでも駆使することに使うなんて私の脳には負担が大きすぎるので信じられないのだ。
HSPの自分にとってよほど気のおけない仲でない限り、この場合のように会社の同僚と他愛もない会話をすること自体、自分にとってはそれは”仕事”なのだ。
飲み会も同様で、最近の若者は飲み会に参加しないなんて言われているが、HSP関係なく、会社としてはイベントだったり楽しいこととされている行事でも、HSPにとって、または最近の若者にとって、本当に近しい人間や本当に親しくしたい人間以外と時間を共有することは必要最低限に収めたいことであって、渋々やらされる”仕事”に位置付けられるのだと思う。
当たり前に休憩時間に数人でランチに出掛ける人が大勢いることは未だに信じられない。
なんならスーツ着て何人かでずらずらとランチに向かってる人たちを見るだけでおえぇとか思ってしまう。(すみません)
向こうからしたらこちらがマイナーなのかもしれないが、こちらからしたら向こうの方が希少種だと感じている。
ペースを乱されるのが無理
学生時代に、ホテルの客室清掃のアルバイトをしたことがある。
接客じゃないし体力にも自信がある。
そんな自分に合うのではと思って応募したが、実際に自分のストレスとなったのは先輩のマダムたちとその忙しなさだった。
自分のペースで部屋のあちこちを片付けていくものだと思っていたら、数人でタイムリミットまでに共同作業をして片付けていくというスタイルだった。
バラバラになった大きな敷布団を次!ハイ次!というふうになるべく早くできた人から次々にまとめてはリネン袋に放り込んでいく。
また、自分的には丁寧にトイレの便器を磨いていたつもりだったが、「時間かかりすぎぃ」とマダムから言われた時に、あぁ辞めようと思ったことを覚えている。
うぜぇ。(笑)
業種的に仕方のないことだが、自分には合わないことが分かった。
自分のペースで物事を進めたい私にとって、「早く」や「遅い」や「まだ?」は禁句なのですよ。
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HSPは共感力が高いと言われているので、きっと自分がこうしたら相手はこう思ってしまうだろうなという配慮をしがちであり、それがが優しさとも言えるが、その迷いが当人にとってストレスや生きづらさとなることがある。
だからこそ、そういう配慮をしない、またはできないような行動を取る人と同じ空間にいることは大きなストレスとなるのでは、と思っている。
例えば、威圧的な態度を取る人や必要以上にせっかちで急かしてくる人などは良い例かもしれない。
自分は気を遣ってこうするのにな、ということに反することをする人と1分も一緒にいられない。
HSP関係なくなってしまうが、私は指図されることが本当に嫌いで、かつ誰かに指図することも縁遠いので、そもそも会社というものが向いてないなぁとしみじみ思った。
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