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知ることから、Feel India.【#2】ドレッドヘアー兄貴編

離陸予定時刻からかれこれ1時間ほど経っていた。どうやら飛行機が遅れているらしい。

いつ呼ばれるかわからないので買い物やスナップにも行きづらく、適当にスマホを触ったり、周りを見渡してみた。

明らかにお金持ちそうなカップルや、電話で流暢な日本語を話す(おそらく)インド人、ゴリゴリに強面のドレッドヘアー兄貴から天使のような白人幼女まで、様々な人間が飛行機への搭乗を待ち、散らばっている。

搭乗開始のアナウンスが流れ、長蛇の列に並びながら少しドキドキしていた。

プライベートでの初海外、向こうで合流するメンバーがいるとは言えまだ一人、しかも7時間近いフライト。

できるならば心穏やかに過ごしたいと思いながら席へ向かう。

僕の席は2列席の窓側。

席に着いたタイミングでは隣に誰もおらず、荷物を少し整理してから席に着いた。

少し経ち、通路正面方向からイカつい様相の男性が歩いてきた。

先ほど搭乗前に見かけたドレッドヘアー兄貴である。

そしてドレッドヘアー兄貴は僕の隣に座った。

ここから彼と約7時間のフライトを過ごすことになる。

ちなみに間を跨ぐ腕置きは、離陸前から既に彼に占領されていた。

そんなことはさておき、離陸。

一瞬で空の上へ。

慣れてる人からしたら当たり前なのだろうけど、正面に小さな画面があって、映画やらドラマやらが観れるようになっていた。ほとんどが字幕無しの洋画だけど、中には英語字幕付きの邦画もある。


ふとドレッドヘアー兄貴の画面を見ると、「学生が先生の理不尽に抵抗する学園モノドラマ」みたいなのが流れていた。もしかしたら彼は繊細なのかもしれない。

窓から外を覗き込むと、列島の形がわかる高さまで来ていた。ここが高いのか低いのかはわからないけど、少なくとも僕は今雲より高いところにいる。気のせいか、いつもより太陽が熱く感じた。

書いてて思ったけど、右を観たり左を観たり、落ち着きがないな俺。

高さが一定に達した頃、機内アナウンスで「もうすぐお昼ご飯やで」的なアナウンスがあった。

機内食!!!!

そうか、これだけの時間乗ると機内食があるんだね。

ここ数年はLCCでの国内移動はしてたけど、機内食は無かったし求めても無かったから、頭からすっぽ抜けていた。

しかし早速機内食が配られるのかと思っていたら、先に何やらお菓子が配られてきた。


おそらく日本人ではないであろう褐色肌のナイスガイスタッフが配り始める。

通路側のドレッドヘアー兄貴はいつからか爆睡していた。

近づく褐色ナイスガイ。

まさか起こすつもりか?

ビクビクするわい。

ナイスガイ「コレ、トナリ、アゲテ。」

褐色ナイスガイ!!!???

どうやら彼は僕とドレッドヘアー兄貴が連れだと思っているようだ。

しかし僕にはそれを否定する語彙力が無い。

わい「Yes...」

ドレッドヘアー兄貴を起こさないよう、そっと椅子ポケットにお菓子を忍ばせるわい。さながらサンタさんである。

12:00頃

機内になんとなく良い香りが漂い始めた。機内食である。

食事の自由がない中でいただく料理としてとても美味しくいただいた。

機内では、事前にスマホにダウンロードしていた映画を観ることにした。

初めに観たのは「スターウォーズ」だ。

高度12,000mで観るこのロゴはかなりテンションが上がる。

ちょうどスターウォーズを観終えた頃に、ドレニキが立ち上がりお手洗いに行った。僕もお手洗いと、身体を伸ばしたりしたかったので、少し間を空けて向こうが戻ってくる前に席を立った。

少し身体を伸ばして席に戻る。

席に座るドレニキに武者震いを起こしながら侍さながら手刀を一閃繰り出し「さっせん」と一声かけると、ドレニキは素早く立ち上がり、その場でアキレス腱を伸ばし始めた。怖い。

16:26

映画疲れで仮眠を取っていたら机が少し揺れた。

ついにドレッドヘアーニキの暴力の手が伸びたのかと瞼を開けたら、配られていた夕刻のお菓子を机に置いてくれていた。優しい。

ドレニキの画面を観るとFirst Loveを観ていた。

ちょうど男優と女優が営みを終えたであろうシーン(雰囲気的にそこそこ大切そうなシーン)で、なかなか観入っている様子だ。

そのタイミングで僕がアイスを食べようとしたら激細プラスチックスプーンがカチカチアイスの硬度に負けて折れ、勢いよく飛んだスプーンの先端部分がドレニキにFirst Loveした。

そして、僕はまた手刀を一閃繰り出す。

ドレニキは特に反応しなかった。

17:25(日本時間)

あと1時間ほどでクアラルンプールに着くとのアナウンスが入る。

そしてなにやら除菌スプレーのようなものが機内に撒かれた。そこそこ煙たい。

そう言えばクアラルンプールに着いてからの導線を確認していなかったことにこのタイミングで気づく。突然の不安。

そうこう考えている内に陸が見えてきた。

あそこはもう日本語が通じないのかと思うと途端に帰りたくなってきた。

空港の近くはまるで密林のよう。

ドレニキ「や〜!すごいですね〜!」

三谷「はひ!?」

ドレニキが話しかけてくれた。

彼(とそのグループ)はクアラルンプールで過ごすこと。僕はこれからインドに行くこと。1人で大丈夫?と聞かれて今から合流すると言うと、安心してくれたこと。

ドレニキ「インドやばいっすね!楽しんできてください!」

そうこうしている内に着陸した機体のドアが開き、ドレニキも足早に降りて行った。

思えばこの旅程で初めて会話した人かもしれない。

コミュニケーションが苦手なことはないけど旅慣れしていない僕にとっては、これもとても貴重な経験だ。

僕のインド旅行のFirst Loveをドレニキに捧ぐ。

そしてマレーシア入国。

次回、どこから書くかわからないけどインドには入ります!

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