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マスター~回想録~vol.1

MIAT FLAG MAGAZINE vol.1 2020.08.15より

7月23日
マスターのご命日でした。

ここ、そういえば、ペナントだった。。

日々追われると、
そんな当たり前のことすら、
忘れてしまうこともあります。

実は、FLAGとして開店してから、
あまり、マスターと話をしていませんでした。

開店後は日々全く余裕がなく、
落ち着いてから、たまに連絡をしても、
電話口で辛そうにされている、

だんだん、連絡も遠慮がちになっていたところ、
「天国に召された」という知らせを受け取りました。
ちょうど一年前のことです。

「マスターは喜んでくれていただろうか?」
そんなことを考えることもあります。

ご命日のその日は、一日中、お店にいようと決めて、
あっちのソファーに座ってみたり、
こっちの椅子に座ってみたり、

マスターも長年眺めたであろう、
店内を見渡しながら、
昔のことを思い出したりしていました。

私だけでなく、いろんな方が、
この空間で思い出を作って行ったんだ

名刺がたくさん貼ってあった柱の
画びょうの跡を見ながら、
私はそんなことを思いました。

7月25日
朝からあいにくの雨。
同期二人と、国府津にある、お寺にお墓参りしました。

東海道線の高架をくぐり、山側に向かって進むと、
穏やかに佇むお寺があります。
繊細な雰囲気の山門をくぐり、山側に向かって進むと、
やはり穏やかに佇むお墓があります。

周りを掃除して、お花を供えて、線香を灯すと
不思議なことに、ふと、雨が止みました。

三人で心静かに、手を合わせてきました。
マスターのお墓には「無」と一字記されていました。

同期とはお互い19歳の時に知り合いました。

「出会ったころから、倍くらいか…あんま成長しとらんな。。」
「そうやな、マスターに笑われるわ~」
「ははは…」

そんな話をしつつ、
駅前の店で思い出話をすることにしました。


学生時代は、毎日のようにペナントに入り浸っていました。
奥のソファー席を学ラン数名が占拠して、
懐かしいゲーム「戦球」という、
インベーダーゲームのようなゲーム機を
飽きるまでやっていました。

たまに、マスターがやっているのを
黙ってみんなで見ていました。

サラリーマンが疲れた羽を休めに、
ホットコーヒーを飲んでいても
ガチャガチャお構いなしに、ゲームに没頭して、

アイスコーヒーの滴で、画面が
ビシャビシャになっていても、お構いなし

マスターはそんな様子を煙草をふかして、
ニコニコ笑って見ている


下級生時代の決して楽とは言えない練習、上下関係のさなか、
ペナントはオアシスでした。


みんなマスターの顔を見に通っていた。

マスターに見守られている、そう思うと、
不思議と心が軽くなり、力が湧いていました。


今でもきっとマスターが天国で見守ってくれている
そう思うと、

不思議と力が滾ってきます。



世界は混沌とし 、先が読めない世の中ですが、
くさらず、あきらめずに、頑張らないといけませんね。

きっと誰かが、見守ってくれているはずです。


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