春の風を感じた

何ヶ月かぶりに自転車のタイヤに空気をパンパンに詰めて4年間勤めたバイト先へと向かった。

何度通ったか分からないこの道を通るのもきっと今日が最後だ。始まりがあれば終わりがあって、今日がきっとそうだった。

空気を入れたからかいつもよりペダルが軽かった。

バイト先へ着くといつもとは違う入り口から入る。

もう私は従業員では無いから裏口から入る必要は無くて、それがどこか寂しくて。

制服をとロッカーの鍵を渡すと私はすぐに店を出た。

名残惜しかったけれどそこに私の居場所はもう無かった。

自転車に跨る。

何となく遠回りをしてみた。

バイト先の近くにある川の側に菜の花が咲いていて春を感じた。桜の木もあったけれどさすがにまだ花は咲いていなかった。

今日はアウターを着ずに出かけた。

春が来るなとそう思った。

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