ないものねだり

高3の頃、とにかく東京の大学に行くことだけを考えていた。

理由は、つまんないから。
娯楽もカラオケくらいしかないし、
ふわふわのパンケーキ屋なんてないし、
遊園地は子どもだましみたいなやつだし、
知り合いばっかりだし、
電車もバスも不便だし、
とにかく田舎すぎた。

その分、東京はキラキラして見えた。
なんでもあると思ってた。

だから東京にある大学を受けまくって、合格をもらえた学校に行った。

やっぱり東京はキラキラしてた。

キャンパスもすてきだし、
女子たちはみんなおしゃれで、
the都会だった。

地元は年に一回帰るくらいでちょうど良かった。

卒業後も地元には戻らないで、
仕事をして、たまには終電近くまで飲んで、休日は友達とパン屋に行ったり、美味しいコーヒー飲んだり、
それなりに楽しみながら過ごしている。

でも最近、そろそろ帰ろうかなと考えている自分もいる。
キラキラしてたものが日常になりすぎて、特別でなくなったから。
楽しい反面疲れることも多いから。

逆にいまは、なにもない静かな田舎に惹かれさえもしている。
たぶん住んだら住んだでまたないものねだりだろうけど、
昔に比べ、イケてるお店もできてるし、
カフェだってジェラート屋だってあるし、
農業とこ町おこしとか楽しいことしてる同級生もいるし、

何より家族がいるってあったかいんだよなぁと、
なんか田舎っていいじゃん!と思う。

どこかで、そんなこと思うなんて歳をとってしまったなとも思うけど。
でも、やっぱり大雪だけは嫌だけど。

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