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Mr.Childrenのおすすめ曲~『お伽話』『こころ』考察~

いつもありがとうございます。

少し間が空いてしまいましたが、前回紹介した「次回アルバムに収録されそうな2曲」ですね。お待たせしました。

文字数が多くなってしましましたが最後まで読んでいただけると嬉しいです!

前回のはこちらです!
まだ読んでない方はこちらをチェックしてください↓↓


次のアルバムに収録されるであろう曲 4/26現在

①『ヒカリノアトリエ』→2017年発売の36枚目のシングル曲
②『忙しい僕ら』→2017年発売のシングル『himawari』に収録されていた曲
③『お伽話』→2016年のツアーで初出、2017年のツアーでも歌われた
④『こころ』→2016年のツアーで初出、2017年のツアーでも歌われた
⑤『birthday』→38枚目のシングル
⑥『君と重ねたモノローグ』→38枚目のシングル
⑦『The song of praise』→『ZIP!』テーマソング
⑧『others』→テレビCM


おすすめ曲紹介

それでは今後収録されるであろう曲の①~⑧のうち
③『お伽話』
④『こころ』
こちらの2曲をそれぞれ紹介していきます

2曲とも2016年のライブのツアーでいきなり新曲として歌われた曲で、ツアーの模様を収録したDVDには収録されていますがCDにはなっていません。そのため、歌詞のみの紹介となります。

『お伽話』

まず「お伽話」とは何かを調べてみました

お伽話の「伽」は、話相手となって退屈を慰めたり機嫌をとったりすることを意味する。現代でこそ、「お伽話」は大人が子供に語って聞かせる昔話や伝説などを指すものだが、元々は大人に聞かせるもので、貴人の身近に仕えて話をし慰めることを「おとぎ」といい、子供に聞かせる話を意味するようになったのは明治以降のことである。
                      【ピクシブ百科事典】より

一般的に知られているお伽話は「大人が子供に言い聞かせる作り話」だと思っていましたが、ここにある「元々は大人に聞かせるもの」という部分が
この『お伽話』を考察する上で重要なポイントです


『お伽話』の考察

●1番の歌詞↓↓
1番Aメロ→Bメロ→サビ

別にもう上手くなんてやろうと思ってない
そもそもこうして今俺が暮らしてる自体が
お伽話みたいで笑えてくるんだ

ある人は覚せい剤で警察に連行されて
ある人はわいせつ行為を雑誌に暴かれた
どちらかっていうと俺はそっち側の人種

泣いても笑っても一度きりのLife
札束を積んでも引き返すことはできない
悔やんでも悔やんでも
悔やみきれないことがあっても
それはそれで もうどうしようもないこと
                      Mr.Children『お伽話』より

曲調はバラードです

この曲は2016年のツアーの1曲目に披露されました。セットリストのネタバレを確認せずにライブは参加していたので、度肝を抜かれたのを覚えています。

いきなりのメロディからの歌い出しです。ツアーのサポートメンバーでもあるSunnyさんが弾くキーボード(オルガン)の音に乗せて、桜井さんから何か自白めいたような、誰に向けた懺悔のようにも聴こえます。

冒頭の歌詞からも分かりますが、なぜそれが自白や懺悔まいたものだったのかは最後まで聴くとより分かります。

『お伽話』に出てくる主人公の感情を訥々(とつとつ)と桜井さんが語っていきます。

『お伽話』の主人公は、今までいわゆるスキャンダルなものの対象、(『そっち側の人種』であった」)といいます。

「人生は一度きりで、泣いても笑ってもお金を積んでも過去に戻れない」と、過去には戻れないことを嘆いて、自問自答しながら2番に入ります。

●2番
Aメロ→Bメロ→サビ

誰かが落とし穴を楽しそうに掘ってる
俺もまた負けじとスコップを片手に握りしめ
さあ間抜けな奴はどっかにいないかな

意味もなく誰かを傷つけたい日もある
真っ当ってのがなんだか分からないし 知りたくもない
逃げても逃げても
どこまでも追いかけてくるんだろう
自分自身っていう亡霊

泣いても笑っても一度きりのLife
札束を積んでもやり直すことはできない
洗っても洗っても
こびりつくいやらしさがあるけど
それはそれでもうどうしようもないこと
                      Mr.Children『お伽話』より

1番で過去はどうしようもないもので変えられないものであることに気付いた主人公は、2番で他人の弱みを握ろうと、自分と同じような仲間を増やそうと自分も落とし穴を掘ります。

「周りもしているんだから自分も穴を掘ってもいいだろう」「正しいことをしているんだ」と自分を正当化しながら。でも、果たしてそれは正義なんだろうか。誰かを貶(おとし)めて傷つけて、忘れようとしても過去の自分(”自分自身という名の亡霊")」が登場します。

2番では妬みや嫉みから生まれる「他の人も同じように貶めてやろう」という人間の汚い感情が描かれ、さらには「過去の自分が足かせになっている」ことに気付きます。

2番のサビのラストでは「つきまとう」ではなく『こびりつく』と表現しているのが秀逸です。

過去にとらわれて現実逃避を繰り返す主人公は、この語りを次のように結びます。

・ラストのサビ

清らかでいようなんて今さら思ってない
だけど そうあれたらな ってどこかで願ってる
お伽話に出てくるような 間抜けなやつは
どっかにいないかな

これがすごいところだと思います。普通の物語であれば「人間って素晴らしいとか」「くよくよせずに前を向けば大丈夫」などの言葉で終わります。

「今も落とし穴を掘ってしまい」「仲間を探し続ける自分」がそこには居ます。聴いているほうからするとモヤモヤした結末で、いかにも人間のリアルな感情を表現してこの曲が終わります。


『お伽話』の感想

「人の不幸は蜜の味」ともいいます。

誰かをバッシングしまくって叩きまくる風潮、人のイメージを貶めるニュースや報道はたくさんあります。ここ数年、耳を塞ぎたくなるような報道もかなり増えました。

話は変わりますが、2013年に放送された『半沢直樹』というドラマで「勧善懲悪」という言葉が流行りました。主人公に意地悪するようないかにも悪役じみた人が、主人公の「倍返しだ!!」というセリフを境に、地位が失墜し、どん底まで落ちぶれていく痛快さが話題を呼びました。最終回の視聴率は42.2%までいき、「倍返しだ!!」というセリフは流行語にもなりました。

自分は原作のファンでもあったので、このドラマが始まる前に作品は読んでいましたが、中には「こんなの現実じゃあり得ない」「こんなのフィクションじゃん」という意見もありました。

そう意見する人の多くは、ドラマ内の「パワハラ」であったり、「部下が上司のどんでん返しは現実じゃない」ということだろうと思いますが、自分は「白」「黒」つけるという大衆の意見が正義だとする勧善懲悪のブームにも疑問を感じていました。

確かにこうした見ていて爽快なほどの「逆転現象」は現実ではあり得ないかもしれません。でも、実際にこれは会社という組織の中だけではなく、インターネット、SNSでは起こっています。

「いいね」「バッド」という、誰かの投稿に対して、匿名でコメントや評価をすることが当たり前になった今、誰かの悪評を流したり、誰かを傷つけることは簡単にできます。

「粗探し」「揚げ足取り」
まさにこの『お伽話』の主人公の「落とし穴を掘る」という行為はそれに当たります。

誰かを叩く風潮に、自分も乗っかる

『清らかでいよう』と思っていても、落とし穴を掘っている自分。周りもやってるいからいいだろうと、落とし穴を掘る自分。誰かがその穴に落ちないかなと見ている自分。

『お伽話』はそんな人間の汚くてリアルな部分を表現した楽曲であるとともに、世間の風潮に対するアンチテーゼの曲であると考えます。


『こころ』

「こころ」とは?

人間の理性・知識・感情・意志などの働きのもとになるもの。また、働きそのものをひっくるめていう。精神。心情。
                          goo国語辞書より

『こころ』歌詞の考察

冒頭の歌詞になります↓↓
1番Aメロ→Bメロ

数えきれないほど踏みつけてきた 人の心
何年も経った今 その場面を思い返し
恥ずかしくて消えたくなる

忘れてしまえばいいさと 調子者の僕が言う
今から謝りにいこう 計算高い僕が言う
                      Mr.Children『こころ』より

こちらもバラードになります。

しかし、『お伽話』のような懺悔や自白めいた雰囲気ではなく、桜井さんの歌い出しにどこか清々しさを感じます。

このツアーのサポートメンバーでもあったチャランポランタンの小春さんのアコーディオンがからイントロが始まり、桜井さんの一人語りが始まります。

冒頭の部分です。
「思い出すたびに恥ずかしくて消えたい過去を持った僕」がいます。

でもどこかそれとは裏腹に「調子者の僕」「計算高い僕」がいます。

話は進んで1番サビにいきます。


1番サビ

誰が責める訳じゃないし
気に止めもしない
取るに足らぬ出来事に
胸が痛むのは
あなたが こころを僕に教えてくれたから

ここで『あなた』という人物が初めて登場します。

『あなた』というのが「人」なのか「もの」なのか「出来事」なのか。2番以降も登場しますが、「あなた」は人物と捉えるのが自然です。

また、この曲のタイトルである『こころ』も同様に抽象化されています。ここは作詞した桜井さんが聞き手に委ねている部分だと思いますが、解釈が難しいです。

2番は主人公が変われた理由を説明していきます。

●2番です↓↓
2番Aメロ→Bメロ→サビ

時流(ながれ)に乗り走った 自分を許せたのも
それ以上に大きな出逢いが確かに僕を変えてきたから

時々 このこころの在処(ありか)を知りたくなる
あなたならなんて言うかな
そんな問いかけの中に きっとある

誰が讃えるでもない
憧れもしない
たかが静かな気持ちで
嬉しくなるのは あなたが
幸せに触れるヒントをくれてるから
                      Mr.Children『こころ』より

変われた理由→それは『大きな出逢い』があったから。

『こころの在り処』
『あなたなら何て言うかな』
『そんな問いかけの中にある』

「誰も讃えたり憧れたりしないけど」
「ほんの些細なことでも嬉しくなる」
「あなたが幸せになれるヒントをくれる」

この曲のイメージが『お伽話』と比べて明るいイメージを持ったのはこの2番の部分です。

続いて大サビです。

●ラストの大サビです

誰が喜ぶでもない気にかけもしない
取るに足らぬ出来事で
嬉しくなれるのは
あなたがこころを僕に与えてくれてるから

転調します。

最後も2番のサビのように
「あなたが僕にこころをくれるから、誰も喜ばない、気にかけないような出来事でも嬉しくなれる」

1番は「胸が痛むのはあなたが僕にこころをくれるから」です。

つまり、「あなたがくれるこころは胸が痛んだりもするけど、嬉しくもなる」ということです。相反する感情ですが、これもいかにも人間らしい部分ですね。


続いて考察にいきます。

この曲のポイントは歌詞に出てくる
「あなたとは何なのか?」「こころとは何なのか?」です。


『こころ』の考察
~『お伽話』と『こころ』の主人公は同一人物??~

結論から言うと
●『お伽話』と『こころ』の主人公は同一人物だと考えます。

年月がは『お伽話』『こころ』の順番で進みます。

『お伽話』の主人公も『こころ』の主人公も
自分の過去にもがき苦しんでいる


◎『お伽話』では
自分の過去を『自分自身という名の亡霊』と表現し、
「それが今でも自分の目の前や脳裏に登場する」

◎『こころ』では
「人のこころを数え切れないほど踏みつけてしまった過去」
「恥ずかしい過去」
「思い出すと消えたくなる過去」

"両者とも「忘れたい過去」があります”

→これが二つの曲の主人公が同じである理由です

『こころ』では、主人公がその過去を俯瞰し、なぜ成長することができたのかが」語られます。
↓続きます

『お伽話』の続編『こころ』

『何年も経った今 その場面を思い返し』
→時が経っても「忘れたい過去」を思い出してしまいます。

しかし、1番のBメロでは

忘れてしまえばいいさと 調子者の僕が言う
今から謝りにいこう 計算高い僕が言う

「忘れちゃえばいいし、謝ったら許してもらえるんじゃない?」と過去の出来事を達観した自分もいます。

ここから先が主人公が成長できた部分であり、ここからがこの曲の本題です


◎「あなた」の存在

ここは考察なので、主観だということを再度念押しします(笑)

「あなた」はこの曲では4回出てきます。


胸が痛むのは
あなたが こころを僕に教えてくれたから 1番サビ

時々 このこころの在処(ありか)を知りたくなる
あなたならなんて言うかな          2番Bメロ

嬉しくなるのは あなたが
幸せに触れるヒントをくれてるから      2番サビ

嬉しくなれるのは
あなたがこころを僕に与えてくれてるから   大サビ

①③④のサビの「あなた」は大切な家族や恋人と考えるのが自然ですが、桜井さん作詞ということもあり、「ファン」のことではないでしょうか。

18枚目のアルバム『REFLECTION』に収録されている『幻聴』という曲があります。この曲はセルフプロデュースに踏み切ったミスチルというバンドがこれからも前に進んで行くというメッセージが込められていて、NHKの「SONGS」という番組内でもその思いが語られています。「君」という歌詞は「お客さん(ファン)」のことだと考えられます。

もしそうだとしたら非常に嬉しいです。
(いちファンの妄想ですが笑)

次に
②の「あなた」は過去の、つまり、過去の自分であると解釈します。「問いかけの中にある」→自分自身への問いかけていて、過去の自分のこころ、心情がどこにあったのか聞いているのではないでしょうか。

童心というものは忘れがちです。子どもの頃、何かに夢中になっていた時間や熱い想い。そんな懐かしい想いが時には懐かしくなったり、恋しくなったりもします。

ミスチルというバンドもデビュー当時の90年代、2000年代は今と比べて歌詞やメロディはかなり尖っていたと思います。ここでの「あなた」は過去の自分であり、本当のこころ、本心を探りたいという気持ちがあるのではないでしょうか。

「過去の自分から見て現在の自分はどう見えているのか」

①③④の「あなた」と同様に考えることもできますが、あえて別の視点から考えてみました。

まとめ

2曲とも非常に人間臭いですね。

次作のアルバムが全部収録されるとしたら結構バラード曲多めのダークなアルバムになりそうです。

世間的にはこういうしっとりした曲は好まれない、隠れた名曲的な位置になりがちですが、個人的には非常に好きで、バンドの奏でるメロディ、桜井さんの書く歌詞を勝手に分析してしまいます。

ヒット曲がA面だとしたら、まさにこの2曲はその裏にあるB面の曲かもしれません。

でもこれがMr.Childrenが幅広い世代に愛される曲を作る所以だと思います。

これからも隠れた名曲を隠れたままにしないぐらいに、こちらで紹介していこうと思います。

長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。

またよろしくお願いします。




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