登場人物紹介と、時代背景、これまでのあらすじ②
~intermission5 久しぶりに~
静沢美純(しずさわ みすみ)です。最近はずっと、つぶやいてばかりいました。久しぶりに、小説「二十年の片想い」に戻ります。現在は第59話まで投稿済みです。それからだいぶ間が空きました。読んでくださっている方々から、話を忘れてしまった、登場人物が多すぎて覚えていない、というお声をいただいています。私自身もここまでの内容を整理したいので、第60話に入る前にひと呼吸置くことにしました。
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まずは、「二十年の片想い」の登場人物を紹介していきます。(5月6日に投稿した①と、かぶる部分が多いです。)
秋山楓(あきやま かえで)
主人公。白鷺大学(しらさぎだいがく)文学部仏文科の、現在1年生。演劇サークル「はばたき」所属。遠い田舎から上京、一人暮らし。内気、臆病、真面目、精神的に弱い。壮絶ないじめを受けた過去を持つ。母親には厳しく育てられる。
佐倉美咲(さくら みさき)
仏文科クラスの、楓の生まれて初めての友人。テニスサークル所属。楓の「恋敵」ではあるのだが、楓自身が自分の恋心を否定しているため、楓の心の奥の本心を知らない。海が近い田舎から上京、一人暮らし。楓にやさしく接する。1年生だが、すでにフランス語が堪能。絵の才能も。パリに行くことを夢見ている。
小谷花枝(こたに はなえ)
同じく仏文科クラスの、楓の生まれて初めての友人。楓と美咲のお姉さん的存在。東京近隣で実家暮らし。いわゆる「アイドル」的美少女。自分の容姿に自信があり、男子にモテる。ただし、高校時代からの恋人が他大学にいる。
大野誠治(おおの せいじ)
仏文科のクラスメイト。楓の初恋、片想いの相手。美咲に想いを寄せる。東京隣県の田舎から、2時間以上かけて電車で通学。基本やさしく、冷静なのだが、秘めたる情熱を持つ。映画鑑賞サークル「シネマ研究会」所属。
高村航平(たかむら こうへい)
同じく仏文科のクラスメイト。大野の友人。大野を尊敬する一方、ちょっとライバル心も。田舎から上京、一人暮らし。人の目をまっすぐ見て話す癖があるため、楓にはちょっと苦手な相手。花枝に想いを寄せていたが……
美咲の片想いの相手でもある。
片山恵介(かたやま けいすけ)
同じく仏文科のクラスメイト。大野、高村の友人。特に高村とは良き相棒のような関係。愛想が良く、ひょうきん者で、誰からも好かれるキャラ。田舎から上京、一人暮らし。高村と同じく、花枝に想いを寄せていたが……
大野、高村とは、自分と同じ貧乏の匂いを感じて意気投合、友達に。
本間美奈子(ほんま みなこ)
香川理香子(かがわ りかこ)
こちらも仏文科のクラスメイト。2人とも大金持ちのお嬢様で、実家暮らし。高級ブランドに身を包み、香水の匂いを振りまく、派手な女子大生。
「ノートたかり」をされる楓にとっては、2人とも怖い相手。
城之内(じょうのうち)
水戸(みと)、手塚(てづか)
仏文科のクラスメイト。男子3人。お金持ちらしい。楓を馬鹿にする。
坂本竜平(さかもと りゅうへい)
テニスサークルの、美咲の先輩。現在3年生。顔がどことなく高村に似ている。一見、好青年だが……
藤田香菜(ふじた かな)
大野が所属する「シネマ研究会」の4年生。
川畑泉美(かわばた いずみ)
「シネマ研究会」の1年生。
川井瑞穂(かわい みずほ)
菊地真央(きくち まお)
演劇サークル「はばたき」の、楓の同期で、1年生。楓と仲良くしてくれる貴重な存在。
市村雅哉(いちむら まさや)
「はばたき」の4年生。絶世的美貌のトップスター俳優。冬の定期公演で主演を務める。
篠原麗子(しのはら れいこ)
同じく「はばたき」の4年生。トップ女優で、冬の定期公演でヒロイン役を務める。
内野雅樹(うちの まさき)
「はばたき」の4年生。冬の定期公演で監督を務める。風貌や声に独特の迫力があり、「鬼監督」と恐れられる。市村とはライバル関係。
宮本明生(みやもと あきお)
「はばたき」の3年生。夏の定期公演で監督。冬は助監督。
板垣哲哉(いたがき てつや)
「はばたき」の3年生。夏の定期公演で助監督。
江藤俊樹(えとう としき)
「はばたき」の部長。3年生。
長岡百合子(ながおか ゆりこ)
「はばたき」の2年生。楓にきつく接する。
生田香澄(いくた かすみ)
「はばたき」の2年生。
木原綾子(きはら あやこ)
「はばたき」の3年生。
秋山紀美子(あきやま きみこ)
楓の母親。
秋山太一(あきやま たいち)
楓の父親。
秋山華音(あきやま かのん)
楓の妹。4歳下。
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以上が「二十年の片想い」の、現在の登場人物です。女性は下の名前で、男性は苗字で書いています。どちらにも属さない人は登場しません。
主人公はわざと、いわゆる「暗い」と言われる人物に設定しています。こういう主人公の小説はあまりないように思います。共感すること、感情移入することは難しいかもしれません。
他の人物は、人によりますが、なるべく明るく描いたつもりです。
また、主人公を始め、他の人物も、そのキャラクターは、書いているうちに決まっていったところが多いです。最初から構想があったわけではなく、後から肉付けした形です。ですので、ちぐはぐになってしまった人物もいるかもしれません。
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時代背景
この小説の舞台は現在、1991年(平成3年)の東京です。30年以上前です。私自身が大学1年生だった年に設定しています。ですので、現代の大学生とはかなり違うと思います。
スマートフォンはおろか、ガラケーすらなかった時代です。パソコンもそれほど普及していませんでした。友人、恋人、家族とのやりとりは、固定電話、公衆電話、あるいは手紙でした。「電話ボックス」が至るところにありました。公衆電話は10円玉や100円玉でも使えますが、テレホンカードを使うのが主流でした。家庭の電話機も、留守番電話機能のついたプッシュフォンが多かったと思いますが、家によっては、それよりも古い、ダイヤル式の黒電話を使っていました。
音楽を聴く手段は、主にCDでした。CDラジカセを持っていた人が多かったと思います。今でも存在しますが、当時のものは大きさも重量もあったと思います。「ラジ」はラジオ、「カセ」はカセットテープです。友人などからCDを借りて、カセットテープにダビングして聴く、という人も多かったと思います。カセットデッキも2つあり、テープからテープへダビングすることもできました。
テレビも現代のような薄型のものではなく、ブラウン管と呼ばれる、厚み(奥行き)のあるもので、重量もありました。
テレビ番組を録画するのは、ビデオデッキでした。ビデオテープを入れて、それに録画するのです。今のように番組表がテレビ画面に出るのではなく、新聞の番組欄等で調べて、リモコンで日付や開始時刻、終了時刻、テレビ局などを入力しなければなりませんでした。
古い映画を観たい時は、レンタルビデオ屋で借りました。今はレンタルDVDすらなくなっているのでしょうか?テレビ番組も映画も、スマホやタブレットで観るのが当たり前になっていますね。
当時のデートの定番は、映画館に映画を観に行く、遊園地などのテーマパークへ行く、などでしたかねえ……?映画館の大きなスクリーンで観るのは迫力がありました。今は私も、見逃したテレビ番組をスマホで見ることはありますが、テレビの大きさに慣れているので、スマホの画面はとても小さく感じます。
ファッションは、私より若干上の世代の女性の間で、ワンレンボディコンが流行っていたのでしょうか?ワンレンとはワンレングスという髪型、ボディコンとはボディコンシャス、身体にぴったりフィットした、ミニ丈のタイトワンピースのことを言いました。
私の出身大学は地味な服装の学生が多かったです。紺色のブレザーを着ている女子学生がわりと多くいました。
おやじギャル、なんて言葉もありました。競馬やゴルフなど、当時のおやじ(オッサン)たちがやるものを楽しむ、若い女性のことです。
1991年、消費税は3パーセントでした。
総理大臣は調べたところ、1990年2月28日~1991年11月5日までが、海部俊樹(かいふ としき)さん、1991年11月5日~1993年8月9日までが、宮澤喜一(みやざわ きいち)さんです。
経済面では、バブル崩壊と言われた時代です。
アッシーくん、メッシーくん、ミツグくん、という言葉もありました。アッシーくんは足(あし)、つまり車で送り迎えをしてくれる男性です。メッシーくんは飯(メシ)、つまり食事をおごってくれる男性です。ミツグくんは、貢ぎ物、つまりプレゼントをくれる男性です。
今は煙草を吸うこと自体が犯罪のように言われます。建物の中はもちろん、敷地内も全面禁煙のところが多いです。1991年当時、私の出身大学では、敷地内の至るところに灰皿が設置されていました。建物の中も、教室内は禁煙だったと思いますが、廊下の壁のあちこちに灰皿が取り付けられていました。
20歳未満の学生も吸っていました。誰も注意したりしませんでした。(私服ですので、20歳を過ぎているかなんてわかりません。)
受動喫煙という言葉も聞いたことはなかったです。
お酒も、サークルの新入生歓迎コンパなどで、20歳未満の学生も飲んでいました。居酒屋でも年齢を聞かれたりはしませんでした。
ビールの一気飲みが流行っていました。急性アルコール中毒の危険性も高かったと思います。
煙草にせよ、お酒にせよ、今ほど厳しくなかったです。
競馬も、20歳未満でも、やる人はやっていました。馬券を購入しなければ、競馬場への出入りそのものの年齢制限はないそうです。
当時の流行り言葉も、今とはだいぶ違うと思います。この小説では会話文も多く書いていますが、若い読者の方には意味のわからない言葉があったり、言葉遣いそのものがヘンだと感じる部分も多々あるかもしれません。
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第59話までのあらすじ
1991年(平成3年)6月、白鷺大学1年生の秋山楓は、大野誠治に恋をする。だが、大野は佐倉美咲を好きになってしまう。
夏休み直前、楓は本来の目標──弱い自分を変え、人間として成長すること──を思い出し、「はばたき」の活動に力を入れることを決意。そこで楓は、正直に向き合うべき大野への恋心そのものを否定してしまう。それが前向きになることだと勘違いして。
夏休み中、9月になって「はばたき」の稽古が再開すると、楓は人が変わったかのように積極的になり、表情や喋り方も明るくなる。冬の定期公演の劇で、1年生女子15人の中から、台詞のある家政婦マリー役に抜擢される。主演を務める4年生の市村雅哉の一声で。
夏休みが明けた9月中旬、仏文科クラスの友人たちは、楓の変わりようを一様に褒めた。後期は充実した大学生活が送れそうだと、楓は期待する。
しかし、楓の運命は残酷な方向へ。大野が美咲に告白したのだ。楓の心の奥の本心はショックを受ける。だが美咲は大野をふる。
一方、高村航平と片山恵介は、ともに小谷花枝に想いを寄せていたが、きっぱりあきらめる。夏休み中に足繁く海に通い、2人とも恋人を得る。高村は胡蝶蘭女学院1年生の野島恵(のじま めぐみ)と、片山は鴨之池大学1年生の羽田千佳(はねだ ちか)と、交際をスタートさせていた。
美咲は地元の恋人と、夏休み中に別れる。そして夏休み明けに真っ先に行ったことは、密かに想いを寄せていた高村に、気持ちを伝えることだった。高村は当然、美咲をふる。想像以上にショックを受けた美咲は、直後に偶然会った坂本竜平と恋人関係になる。
美咲が大野をふったのは、このような事情があったからだ。
想定外にふられた大野は思わず、教室の椅子を蹴飛ばす。いつも冷静な大野の激しさに、楓はもちろん、クラス中が驚く。
その日、帰路についた楓は、ふらっと入ったコンビニで、缶ビールなどを買う。法律違反の酒を買うのも飲むのも初めてだった。
翌日になると、美咲も大野も、前日の騒動が嘘のように、穏やかに会話していた。花枝、高村、片山も、2人の様子を窺ったが、大丈夫そうだと安心する。楓は美咲を妬む。だが、大野も美咲も私には関係ないのだと、自分に言い聞かせる。この「関係ない」は今後、大野のことを考えてしまった後に唱える呪文となる。
「はばたき」において楓は、川井瑞穂、菊地真央とともに、市村が舞台で着用する衣装を製作していた。また、マリーがフランソワ(市村の役)に告白するシーンの稽古も行われた。内野雅樹に怒鳴られ、市村にかばってもらいながら、楓は必死にマリーを演じた。
稽古後、市村も内野も、まるで子供の楓の相手をしたことで、想像以上の苛立ちを感じた。市村は長岡百合子に手を出し、内野は宮本明生に八つ当たりする。
楓は一人、演劇棟から外へ出て、サークル第一棟の近くまで来てしまう。建物の中から出てきた30人ほどの男女の中に、大野を発見し、心を乱す。
それから1週間ほど後の朝、大学へ向かう道で、楓は、大野と見知らぬ美女が腕を組んで歩いているのを見つけ、ショックを受ける。高村と片山もそれを見つけ、その日の昼休みに大野に事情聴取する。大野は藤田香菜と交際を始めたことをあっさり認める。
10月になると楓は、恋人も好きな人もいないのは自分だけだと焦り始める。そして、私は市村のことが好きなのだと、自分に言い聞かせる。市村の美しい顔を見ただけで顔が熱くなり、心臓の鼓動が大きくなるから。大抵の女子が同じような反応をすることもわからずに。
仏文科クラスにおいては、美咲が得意の絵を披露したことをきっかけに、楓は自分の容姿のコンプレックスを増大させ、泣き出してしまう。美咲と花枝は必死で楓を泣き止ませ、外食と買い物に連れて行く。そこで楓は口紅を買う。
翌日、楓はその口紅をつけて大学へ向かった。大野に口紅に気づいてほしいと、心の奥の本心は願ったが、叶わなかった。
同じ日、「はばたき」では、二度目のマリーのシーンの稽古が行われた。時間に遅れた楓に、内野は「役を降ろす」と怒鳴りつける。楓は泣いて謝罪する。市村が救ってくれ、もう一度マリーを演じた結果、降ろされずに済んだ。市村だけはやさしいと、楓は「恋」を作り上げてゆく。
先輩部員たちから、楓は密かに「ひよこ」と呼ばれていた。あまりにも泣き虫だからだ。この日、「ひよこストレス」を感じた市村は、恋人の篠原麗子を部室で抱いた。それを知った百合子は、想像以上にショックを受ける。
楓は、市村を思い出してため息が出ることで、この「恋」を確信した。私にも好きな人ができたと、クラスの友人たちに胸を張って言えると一安心する。
楓は当初の目標を忘れ、「恋」のためだけに演劇棟に行くようになった。果たしてこの「恋」の行方は?大野への想いは?
一方、坂本との交際を選んだ美咲にも、試練が待ち受けていた。やさしい坂本の本性とは?
そして大野は、川畑泉美と交際を始める。香菜のことは鬱陶しくなっていたが、身体の欲求には逆らえず、泉美とデートをした翌日に、香菜を抱く。大野と泉美、そして香菜との関係はどうなってゆくのか?
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以上があらすじです。
intermission5を最後までお読みくださり、ありがとうございました。第60話以降も、よろしくお願いいたします。m(_ _)m
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