クレームの向こう側
先ほど某交通関係の会社についてのTweetを見て考えさせられた。
企業活動をしていればクレーマー対策はつきものだけれど、謝りすぎて感覚麻痺してしまうと変な方向にいってしまうなとの気付きがあったので書いておく。
あるクレーム対応の方法
その会社は、寄せられたクレームを公開したうえで返信もしている。公開RT・コメントしてRTみたいなものだ。
本来ならリプして終わりのものが、こうして公開RTされると、クレーム自体も第三者が見ることが出来るし、それに対しての返信で「記録を確認してもそのような事実はなかった」と書かれれば、あぁクレーマーが話を盛ってるんだなと思われる。
第三者の目が入ることで、余計なハードクレーマーを排除するにはとてもいい機能だと思う。
そして本当に対応すべきクレームには真摯に向き合っていて、会社の印象も良くなる。
私の小話
昔、私も同じ業種に対してクレームを入れたことがある。
それは明らかな法律違反を見かけてしまったためだ。違反としてはそんな大袈裟なものではなく、被害者とかがいるわけでもないけれど、それでお金を貰っている会社の行動としてはダメだろうと妙な正義感が働いたものだ。
(本当は昔それで死にかけたので怒り心頭だった)
それに対しての返信はこう。
記録で確かに違反が確認できたので、当該者を処分しました。
私はうーん?と思ってしまった。
確かに法律違反だけれど、そのような行動に出てしまったのは会社にも問題があるのでは?と感じていたからだ。
何事にも因果関係があるわけで。
普通に仕事していたら、それが法律違反なことは重々承知のはずなのに、なぜそれをやってしまったのか。
会社からの妙なプレッシャーとかなかったのだろうか?と。
妙な正義感を背負っていた私は追加で、「当該者を処分するのではなく、会社として問題を捉えて再発防止に努めてほしい」なんて言ってしまった。
悪いやつを排除して終わり、ではなくて、全体で問題を共有して再発しないよう戒めましょうね、みたいな。
じゃないと同じことを繰り返す可能性もあるのでね。教訓として前向きに捉えないとねってな。
社員教育との温度差
実は私は人事労務関係の仕事をしていたがために、その観点からとんちんかんなことを言ってしまったなと今になって気付いた。
界隈での話題といえばやはり、社員のメンタルヘルスだとか、いかに社員に辞めないでもらうかという類のことが熱かった。
上司が部下を指導する際に、それがパワハラになっていないか?とか。
メンタル不調に陥る社員の主な原因は仕事にあるので、会社としてメンタルヘルス対策を考えなくてはいけないぞ、とか。
社員教育としての叱り方を勉強するとやはり、個人を責めたり怒ったりするのではなく、背景にある原因を考えて解決し、再発防止のための教訓として前向きに捉えていこうみたいなお手本があったりする。
誰が悪いミスをした、という公表ではなくて、こんな事案があったので全員気を付けていきましょう、みたいなね。
しかしどうしても被害者に寄り添いすぎてしまう懸念もある。
明らかなパワハラ事案とかならまだしも、グレーゾーンな案件だと被害者側がつけ上がってしまうこともある。
どちらの味方になるわけでもなく、主張を受け止めることが必要だけれど、感情的な問題だとどうしても被害者側に感情移入してしまいがちだ。人事担当者も人間なので。
ましてやそんな案件ばかり担当していると、おそらくちょっと感覚が麻痺してくるんだと思う。
中立的な考え方をするのが難しくなってしまうこともある。
そんなに一社員を責めなくても、という感情になってしまうわけだ。
責めた結果としてメンタル不調になったり、辞めてしまったり、そうなると人員不足で仕事が回らなくなり、会社としてもデメリットがある、なんて世界を見まくってきているからな。
処分の境界線
私の小話事例だと、それは確かに法律違反であった。
だから会社はそれ相応の処分をした。
当たり前のことだ。然るべき違反切符を切られたのである。
それに対して個人を責めないでよぉ><なんて言うのはとんちんかんもいいとこ。
違反をした本人にはそれについてきちんと責める。会社としては社会的責任を負って企業活動をしているのだから当然のことだ。
もちろん背景に例えば過度なノルマとか、無理な納期とかがあっても、それは会社の問題なので、一クレーマーにとやかく言われることじゃないんだよな。
「法律違反」という明らかな事例に対して、私は何ふざけたことを言ってたんだろうなぁ。疲れてたのかな。笑
やはり法に触れるかどうかが大きいな。
社内窃盗とかでも、それが明らかに窃盗事件だからこそ犯人が処分されるし、その原因背景がどうこうじゃないんだよな。
まず、悪いことをした人が責められる。
当たり前よな。
叱り方とかを過剰に勉強した結果、妙に被害者側に寄り添いすぎないような社会であってほしい。
クレームから社員を守りつつも、明らかな法律違反に対してなどはきっちり処分をしていく。
時に周りが見えなくなってしまうことがあるので、冒頭の会社のように事例を公表してもらえると、同じ担当者としては目が覚めるようなこともあるのではないか。
謝るべきところ、責めるべきところを見誤らないようにしていきたいものだ。
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