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絶景だった「春はあけぼの」-「歴史探偵」に感謝

 大河ドラマの関連回などをときどき視聴している教養番組「歴史探偵」(NHK総合)だが、前回121回では私の推し、清少納言を取り上げてくれた(「清少納言と枕草子」2024年5月15日)。ただただ感謝。NHKの番組にはいつも辛口のことばかり書いているが、良いと思ったときもお伝えしませんと。

 関心を引いた話題は多かったが、何といっての有名な第一段の冒頭「春はあけぼの」の風景を実際に見せてくれたことである。これは私たち個人がいくら聖地巡礼をしようとしても体験できないことだ。なぎこさん(私は清少納言のことをこう呼んでいる・理由は以前の記事をご参照ください)が1000年前に見て美しいと感じ、記さなければと思った風景は本当に絶景であり、感動的である。「細い雲がたなびく」とは実際にはどのような景色かと思っていたがようやく判明した。                      たしかに、春の象徴と言えば昔も今も「桜」というところ、朝の風景を選んだなぎこさんの視点は斬新そのものである。学生のときはそんなことに気づきもせず、ただこの段を九九でも暗唱するかのごとく覚えさせられた。今さらながら古典教育の意味を考えさせられる。このシーンはオンデマンドで何度も何度も再生した。撮影にはさぞかし経費もかかっていることだろうが、このように活用してもらえるなら受信料を払っていてよかった、とたまには思う(笑)。

 「探偵」として今回出てきた男性アナウンサーは、学生時代に枕草子にハマって全段読んだという。報告に前のめりになっている様子がわかり、しょせん男性には枕草子(なぎこさん)の良さはわかるまいと思っていた私は面白かった。いとをかし(笑)。十二単(キャッチ画像のご提供ありがとうございます)を着用した役者さんは、雅な平安朝とは合っていなくて興ざめ。他の人はいなかったのかしらん。なぎこさんが紫式部に悪口を書かれたというエピソードの紹介のところで、その動機を「嫉妬かも」と言ってくれたのも痛快だった。左に式部、右になぎこさんの絵が出てきたが、なぎこさんの方が断然美人で「なぎこさんの勝ち !」と思った相変わらずミーハーな私である(笑)。平生昌(たいらのなりまさ)のなまりをなぎこさんがからかって、中宮定子にたしなめられた、というエピソードの紹介があったが、これはこの生昌という男、完全に藤原道長サイドで、定子の扱いはひどいは定子の兄弟たちを「売る」は、なぎこさんにとっては許しがたい奴だったのだ。でもそれを書かずに定子の美徳の物語としたなぎこさんの忠誠心には、改めておそれいるところである。

 さて、今夜の大河ドラマ光る君へ」の展開も楽しみです。