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松江・出雲 2023① - 華のおんなソロ旅 

  最近、noteで旅日記に進出したが、これが思いのほか楽しくなったので、忘れないうちに過去のソロ旅も記録しておくことにした。

 さて、休日を利用して島根県の旅に出た。島根県には、足立美術館出雲大社など見どころも多いが、なぜかまだ行ったことがなかったのである。

 1日目、用事があって伊丹空港から出雲縁結び空港経由で松江に向かう。今日の宿は安来市にある足立美術館の真ん前の宿。旅館の送迎を利用してチェックインしたらもう既に日が落ちかかっていた。夕食はなんとお隣の部屋をまるまる一人で貸し切りというぜいたくな空間で、島根県の名産をふんだんに使った和食フルコース。無料の貸し切り風呂も堪能し、幸先のよい旅のスタートとなった。評判が良い宿なのでちょっと奮発したが1日目は大成功。これぞ既存のツアーにはない、ソロ旅の醍醐味である。

貸し切り風呂でリラックス
貸し切りお部屋で夕食
旅館の中庭

 2日目の朝は、旅館のサービスで車を出していただく、白鳥鑑賞ミニツアーがあった。もちろん参加。帰ってきたら、足立美術館入場にちょうどよい時間になっている。

飛び立つ前の白鳥

 ご存知の方も多いと思うが、この美術館は、館内を経路に従って進んで行き、各スポットから、建物をぐるりと囲んだ庭園を大きなガラス窓越しに鑑賞するという造りになっている。シーズン・オフだったので人があまりいなかったが、込み合う時やツアー客がいるときなどは、押すな押すなで窓ぎわまで行けないのかもしれない。その意味ではラッキーで、ひとり旅なのだから観賞用に置かれている椅子に座ってゆっくり時間を過ごしてもよかったのだが、なぜかその気にはなれなかった。あまりに静謐すぎてかえって落ちつかない。日常の忙しさに毒されてすっかり貧乏性になってしまったのか。

生の掛軸 床の間の壁をくりぬいている
館内から池庭

 このエリアには、安来節演芸館という観光名所があることを事前に調べていた。「安来節」といえば、ユニークな衣装のどじょうすくいを思い起こすが、その歴史がわかる展示や映像コーナーがあり、隣接の演芸ホールで40分間の演し物がある。民謡や太鼓、あの有名なユーモラスな男踊りなどが立派な舞台の上で繰り広げられる。せっかく来たのだからと、開演時間を調べて入ってみたら、なんと、200名収容できるという客席に観客は私ひとりであった !
   席に案内してくれた親切なお兄さんが「午前中の第1回には数名いらしたんだすけどね」となんだか申し訳なさそうに。私ひとりのために開演してくれるのだから、申し訳ないのはこちらの方である。前の方に座り、たくさん写真を撮り、いっぱい大拍手をしたが、正直のところ冷や汗ものであった。演じている方々もどこかやりにくそう。でも、熱演ありがとうございました。地方で伝統芸能を盛り立てながら地域の活性化をはかる試みの難しさは、今までの旅行先でも痛感させられてきたが、この体験も忘れられないことだろう。演芸館の敷地内には朝ドラ「ゲゲゲの女房」の写真パネルを展示した小屋があった。ドラマのモデルとなった水木しげる夫人、武良布枝さんの出身地はここ、安来市である。ドラマで主人公の父を演じた大杉 漣さんの記念コーナーもあった。

演芸館にて
ゲゲゲの女房のパネル
どじょうそば 演芸館で

 足立美術館の無料送迎バスを利用してJR安来駅に戻り、特急に乗って向かうのは玉造市。これも今回の旅の楽しみのひとつ、玉造温泉である。もともと石が好きでよく触っていることもあるが、今回の旅の計画を立てるにあたり、ガイド本をめくっていたら、なんともカワイイ(とその時は見えた)緑の勾玉が。「これゼッタイ見たい !」となり、急きょ行程に組み込むことに。JR駅と玉造温泉郷は少し距離があるのだが、たいていの旅館は無料送迎をしてくれるので申し込んで、まずはチェックインしたのが15時ころ。あと夕方までの時間は、このあたりの散策である。

 玉湯川の両岸に沿って温泉旅館や足湯、土産店が並んでいる。玉造温泉は三大美肌の湯としても有名で、それにちなんだスキンケア商品なども売っていたが、ちょっと割高なのよね。それよりも私が関心があるのは、なんといっても勾玉松江市出雲玉造資料館は、温泉街から小高いところにある出雲玉造史跡公園の横を上っていったところにあるが、ナビを頼りに歩いても歩いても着かない。ようやくたどり着いたら、入館期限の16時30分ジャスト。もう館員の方が扉を閉めかかっていたとところに「(フウフウと)もうダメですかァ」。普段はこんなに厚かましくないんだけど(笑)、せっかく来たんだものね。もちろん旅人を温かく迎え入れてくださった館員の方、ありがとうございました。
 下界に戻ると玉造温泉郷にはまだ見どころはあり、美肌の湯を持ち帰れる湯薬師広場、ハートのかたちをした石がハッピースポットとされるまがたまの小島、足湯を楽しめる姫神広場など。玉造湯神社では「叶い石」セット(有料)でお守りを作って供えると叶うというが、「願いごとは極力自分で叶える」ことがモットーの私はスルー。まあ、タダならやってみたかもしれないけど(笑)。玉造湯神社の前にかかっている宮橋という橋は別名「恋叶い橋」。この上から写真を撮って神社の鳥居が写ると恋が叶うとのこと。制服姿の男の子が一生懸命写真を撮っていて微笑ましかった。何も女の子の専売特許ではないよね。

勾玉がいっぱい 勾玉橋
まがたまの小島
川の両岸には神話にちなんだオブジェ
湯薬師広場 湯は持ち帰り可能
恋叶い橋 遠くに鳥居


 夕食まで間があったので、宿の近くの石の専門店へ。目の保養だけでもよいか思っていたが、記念にどうしても欲しくなってひとつ勾玉のストラップを買った。店主の高齢女性は私よりも20歳は上にみえる。熱心に石の由来などを聞いていると、この店では量産品も置いてはいるが、昔からお抱えの職人に勾玉造りを依頼している特注のものもあるのだと別ケースも見せてくれた。機械で作る物と違って横からみると膨らみが違うという。せっかくだからと張り込んで一番ぷっくりしていたのをもらう。「魔除けだからね、いつも身に付けているといいわよ」と言われてその後ずっと財布に入れているが、心なしか禍が遠ざかった気もする(笑)。神頼みはしないけれど石頼みとはなんともおかしいが、それだけ日常のストレスが溜まっているんだなと実感。店主さんとは最後に握手をして別れた。「また来ます。お元気でね」と言ったけれど、たぶんもうお会いすることはないだろう。

 この日の宿は、昨日とは違って泊り客も多く、食事処も機能的である。申し込んだ旅館のプランが「女子旅」のひとり利用だったのだが、このプランの食事の最後のスイーツがスゴイボリュームで、お腹いっぱい。若手女子向きプランは要注意だ(笑)。

いくら別腹と言っても (笑)

 松江・出雲の旅、続きます。