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商店街の並びにあった。

五階建ての、縦に長い建物が目を引いた。

表向きは趣向を凝らしているように見える。

夜になっても、人通りは絶えない。

姫容李のプライドの高さからは少しそぐわない気がした。

こっちっぽい―――と行って、入真知はエントランスに入った。

ダウンライトが一つ、くすんだタイルを照らしている。

掲示板に、指名手配犯の精悍なポスターが貼ってある。

オレンジの光がゆっくりとカウントダウンして、鉄の古い扉が開いた。

正面に、何故か姿見が貼られている。自殺防止用だろうか。

当然入真知の姿は写っていない。

ガン、と閉まって、宙へ浮かぶ。

壁に持たれて、腕組みをした。

蛍光灯が消えかかって、室内が暗くなったりする。

「指示はこっちでするから−−−二時間後には出ないと、心臓止めるから。」

屈託のない笑顔でこちらを見ている。

入真知の挑発を横目に、仮野は別の事を考えた。

姫容李の生活リズム等、全く想像したこともない。

この時間に茂木と会っているんだろうか?

「−−−深入りすんな」

こちらの想念を読んで、入真知はサラッと言った。

廊下に出た。

下町の夜景を一望できた。

飲み屋から出てきた学生が大声を上げている。

一番端の部屋の前で止まった。

「バレたら仮野のせいだからな」

ニヤニヤしていた。

どうリアクションしたらいいのかもわからない。

「何か言って下さいよ」

入真知は扉をすり抜けると、暗がりで指輪を嵌めた。

ノブが冷ややかな音を立てた。


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