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国・半田労基署長事件①(平成28年8月30日名古屋地裁)

概要

原告が、勤務先である病院で、パワハラや退職の勧奨ないし強要を受けて精神障害を発病したとして、労働者災害補償保険法による休業補償給付を請求したところ、処分行政庁から業務起因性が認められないとして同給付を支給しない旨の処分を受けたため、被告(国)に対し、その取消しを求めた。

結論

棄却 → 控訴

判旨

技師長からのパワーハラスメントに関する認定事実1
技師長からの退職勧奨に関する認定事実2
本件病院関係者からの退職強要に関する認定事実3

の出来事による労働者の心理的負荷を,それらの出来事の数,内容,各出来事の時間的な近接性の程度等を踏まえて全体的に評価しても,内容の関連性や時間的な近接性は一定程度認められるものの,各出来事の心理的負荷の強度が強かったとは認められず,出来事も多いとはいえないため,
その強度は「弱」から「中」の範囲にとどまるものと解するのが相当であって,他にこの心理的負荷の強度を修正すべき事情も見当たらず,労働者の心理的負荷が強かったとは認められないから,労働者の業務における心理的負荷は,認定基準の要件を満たさず,一般的に本件精神障害を発病させるに足りる程度のものであったとは認められないから,労働者の業務と本件精神障害の発病との間の相当因果関係を認めることはできず,労働者の本件精神障害は労基規別表第1の2第9号に掲げる疾病に該当せず,また,同別表に掲げる他の疾病にも該当せず,業務上の疾病とは認められないから,休業補償給付を不支給とした本件各処分はいずれも適法である。

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