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配転後に解雇された従業員に対する会社代表者のパワハラ事実が認められた例(平成24年12月21日長野地裁)

概要

被告の従業員であり、本件配置転換命令を受けて配転先で勤務した後、解雇された原告A及び休職期間満了による退職となった原告Bが、被告に対し、本件配転命令後、被告が原告らを退職に追い込むため種々の精神的圧迫を加えたことなどが不法行為であるなどとして、不法行為に基づく損害賠償等を求めるとともに、原告Aが、本件配転命令は無効であるとして、配転先において勤務する労働契約上の義務がないこと等を求め、
被告が原告らに対し、原告らが被告から得た時間外手当等の支払には法律上の原因がないものが含まれているとして、その返還を求めた。

結論

一部認容、一部棄却

判旨

配転しうることを規定した就業規則の定めは有効であり,Aらが基本的には転勤がなく,転勤の場合には本人の意思を尊重するという説明を入社時に受けたとしても,業務上の必要がある場合に本人の意思にかかわらず転勤を命ずることがあることを否定するものではないことは明らかであるが、、、、
社長が,Aらが長野本社に転勤してから間もなくミーティングを開き,Aらを誹謗した上で社員集会の開催を指示し多数の社員から誹謗中傷させたこと,会社従業員に対してAらを無視することおよび監視して言動を報告すること,Aらのあら探しをすることを命じていることなどからして,本件配転命令は,社長がAらを自らの意に沿わない従業員であると考え,Aらを被告から排除するために,その手始めとして本件配転命令を行ったものであることは明白であるというべきであるから,本件配転命令が不当な目的により権利を濫用して行われたことは明らかである。
社長が自分の意に沿わない従業員であると考えたAらを退職に追い込むために,強制的に長野本社へ配転させ,食堂の使用を禁止したり,携帯電話の電波妨害装置を設置したり,同僚に悪印象を与えるような内容のメールを送ったり,Aらを無視するよう指示したり,同僚に監視し報告するよう命じたり,社員集会を開催して多数の社員から誹謗中傷させたりするなど様々な精神的圧迫を加え,退職強要を行っていたが,Aがなかなか退職しなかったため,最終的に解雇を行っており,このような解雇は解雇権の濫用であることは明らかである。
会社における評価給の性質は,営業職員の実際の営業内容による会社に対する貢献度に基づいて支払われる加算給であると解すべきであり,Aらの長野本社での研修期間中は,営業職員としての営業の実働がない以上,評価給を請求することはできない。

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